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Ⅰ 第一学年
32 討伐合宿6
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「でっ、如何だね、花ちゃんの評価としては」
「教師としては嬉しいけど、大神宮家に連なる者としてはちょっと複雑よね」
「ほう、実家に関わる玉と見ておるのか、ずいぶん評価が高いのー」
「火地ちゃんも風音ちゃんも見たでしょ、あの馬鹿力。あの子が居なかった今日危なかったわよ」
「確かにそうじゃが、辛口の花ちゃんとしては珍しいと思ってのう」
「あら、私は甘い物も大好きよ、この御饅頭みたいな」
ここは厨房奥の調理人達の休憩室、八畳の和室の座卓で三人は酒を飲んでいる。
この部屋の存在は、生徒達には知られていない。
風吹雪が饅頭を口に含みながら酒を煽る。
「雷羅の爺さんが無理矢理学院に放り込んだのも納得かの、中級の最年少記録保持者だしのー」
「それだけじゃ無いの、あの子、あの助平の恭平よりも情報世界の扱いに長けているらしいの」
「ほー、第一人者の恭平君を凌駕するなんて尋常じゃ無いのー。羽振りの良い雷の一族の力が増々強くなってしまうかのー」
「財力では既に雷羅家が乱動家に迫って来て居るからなー、祓いのニーズも八割方情報分野関連に集中しておるし、まー、時代かのー、高収入なのは」
「普通の家の娘はその高収入目当てに接近するからまだ良いんだけど、主家の娘達はあの能力目当てに近づいて来るからトラブルが起き易いのよねー。まあ今回は火見ちゃんが致命的にお酒に弱かったから大丈夫だったけど」
「それじゃ何かい、大神宮家でも動きが有るのかい」
「ぴんぽーん、メールでの問い合わせが実家から山程来てるの、好みとか性癖とか。無視する訳には行かないしねー、困ってるのよねー」
「珍しいのー、孤高の一族と思っておったがのー」
「全然、全然。今焦りまくり。情報の世界って虚の世界でしょ、だから自分達のテリトリーだって遠吠えしてるんだけど、純血主義だったから能力空きしなの。密かに分家の子を恭平の研究室へ送り込もうと画策しているらしいんだけど悉く弾かれちゃったらしいの」
「じゃから方針を長期ビジョンにシフトして次世代に託すか、本気じゃの。動かんのは乱動家ぐらいかのー」
「その乱動家の例のお孫さんが今年高等部に入学したの」
「ほう、もうそんなに大きくなっておったかの」
「しかもその子は雷夢と同じクラスで同じ寮なの、何時も一緒に食事してるらしいわ」
「そりゃ雷夢君も災難だったな」
「でも平気な顔で何時も一緒に居るらしいの」
「そりゃ凄いな、特殊な才能でも有るのかの」
「だから私の実家もなおさらピリピリしてるの、雷一族と乱動家が接近したら大変でしょ」
『なるほどのー』
ーーーーー
全員が華やいだ服を着ているものの、昨夜の宴会が応えたのか、出発と同時に大口を開けて爆睡。
オルゴール館、サボテン園、バナナワニ園、石廊崎等の定番観光地に到着するとゾンビの如くむくりと起き上る状態を続け、無事夕暮れに奥伊豆のホテルに到着した。
なんか、観光地の光景が断片的にしか残っていない。
勿論、横腹に神楽坂学院高等部祓通科と大書されているバスなので、車内の飲酒は控えた。
その程度の常識は、勿論僕等にだってある。
ホテルの部屋は和室で、火地さん風音さんと同室だった、良かった、飢えた雌狼が目を爛々とさせていたので、心配していたのだ。
目の前に海が広がる眺めの良い部屋だった。
浴衣に着替えて風呂に入り、さっぱりしたところで缶ビールを開けて喉を潤し、寛ぐ。
しばらくしたら電話が鳴って、フロントから食事のお知らせが来た。
雛段に座卓が十四卓、生徒達の卓は縦に四卓、横に七卓、二間を抜いた横長の宴会場で夜の食事が始まった。
女子は桜の花弁をあしらったピンクの浴衣、男子は鯉の図柄の若草色の浴衣だ。
なんか宴会場に春が訪れた様で華やいでいる。
学年主任のだらだらした挨拶が終わると水と称する透明な液体が配られた。
乾杯の挨拶は風吹雪先生だ。
「水着は買ったか」
『おー』
ホテルに着いてから女性達は街に繰り出したのだが、目的は水着だった様だ。
「支部の御好意で今日は地元の水や葡萄ジュースが飲み放題だ。肴も山程有る、存分に楽しんで欲しい。青春は短いぞ、恋は短期決戦の早い者勝ちの争奪戦だ。気合い入れてけよ、じゃっ乾杯」
なんか変な挨拶だった、肴と言った時にチラリと見られた気がする。
水は勿論お酒で、葡萄ジュースはワインだった。
「ねえ、飲んで飲んで」
直ぐに隣席の風織先生と火地さんが自席から弾き飛ばされて、僕は女生徒達に囲まれた。
皆赤い顔で、裾と胸元は当然乱れている。
「ねえ、舞とはどんな関係なの」
なんか、危険球の臭いがする変化球が飛んで来た。
「友人だよ、仲の良い」
「きゃー、あの子可愛いからなー、お風呂は一緒に入るでしょ」
「ああ、勿論男同士だからね」
「ふーん、誤魔化したってだめよ、舞が風呂場で無理矢理キスされたって嬉しそうに言ってたわよ」
「わー、獣」
実は風呂場で舞の唇を見ていると、感触の遠い記憶が蘇るのだ、特に酔った時はとっさに抱すくめたくなる衝動に駆られる。
最近は大丈夫なのだが、以前は良く記憶が飛んだ、完全に否定できる自信は無い。
「ふーん、雷夢君ってロリでサドでホモだったんだ」
「ちょっと待った、誰に聞いたか知らんけど、僕はロリでもサドでもホモでもないぞ。至ってノーマルだ」
「へー、風織先生を持ち帰りしないからてっきりホモだと思ってた。ねえ、風織先生、雷夢君ホモじゃ無いらしいよ」
風織先生は、可哀そうに、席が無いので隅っこで一人お酒を飲んでいる。
「にゃあに」
あっ、いかん、出来上がっている、てこてこと走り寄って来た。
「りゃいむきゅん、きゅしゅしてひい」
”ぶちゅー”
何時ものが絡み酒が始まった。
「わー、先生狡い、じゃっ私も」
「じゃっ私は口移しで飲ませてあげる」
「きゃー、私も私も」
そして溺れそうになった記憶までは覚えている。
気が付いたら女生徒の中に埋もれていた、皆パンツ丸出しの半裸の乱れた格好ですやすやと寝息を立てている。
僕の胸や腹はキスマークだらけだったが、パンツは履いているのでセーフだった様だ。
部屋に戻って酒でぐっしょり濡れた浴衣を着替え、一風呂浴びてから布団に潜った、火地さんと風音さんの鼾が次第に意識から遠ざかって行く。
おやすみなさい。
「教師としては嬉しいけど、大神宮家に連なる者としてはちょっと複雑よね」
「ほう、実家に関わる玉と見ておるのか、ずいぶん評価が高いのー」
「火地ちゃんも風音ちゃんも見たでしょ、あの馬鹿力。あの子が居なかった今日危なかったわよ」
「確かにそうじゃが、辛口の花ちゃんとしては珍しいと思ってのう」
「あら、私は甘い物も大好きよ、この御饅頭みたいな」
ここは厨房奥の調理人達の休憩室、八畳の和室の座卓で三人は酒を飲んでいる。
この部屋の存在は、生徒達には知られていない。
風吹雪が饅頭を口に含みながら酒を煽る。
「雷羅の爺さんが無理矢理学院に放り込んだのも納得かの、中級の最年少記録保持者だしのー」
「それだけじゃ無いの、あの子、あの助平の恭平よりも情報世界の扱いに長けているらしいの」
「ほー、第一人者の恭平君を凌駕するなんて尋常じゃ無いのー。羽振りの良い雷の一族の力が増々強くなってしまうかのー」
「財力では既に雷羅家が乱動家に迫って来て居るからなー、祓いのニーズも八割方情報分野関連に集中しておるし、まー、時代かのー、高収入なのは」
「普通の家の娘はその高収入目当てに接近するからまだ良いんだけど、主家の娘達はあの能力目当てに近づいて来るからトラブルが起き易いのよねー。まあ今回は火見ちゃんが致命的にお酒に弱かったから大丈夫だったけど」
「それじゃ何かい、大神宮家でも動きが有るのかい」
「ぴんぽーん、メールでの問い合わせが実家から山程来てるの、好みとか性癖とか。無視する訳には行かないしねー、困ってるのよねー」
「珍しいのー、孤高の一族と思っておったがのー」
「全然、全然。今焦りまくり。情報の世界って虚の世界でしょ、だから自分達のテリトリーだって遠吠えしてるんだけど、純血主義だったから能力空きしなの。密かに分家の子を恭平の研究室へ送り込もうと画策しているらしいんだけど悉く弾かれちゃったらしいの」
「じゃから方針を長期ビジョンにシフトして次世代に託すか、本気じゃの。動かんのは乱動家ぐらいかのー」
「その乱動家の例のお孫さんが今年高等部に入学したの」
「ほう、もうそんなに大きくなっておったかの」
「しかもその子は雷夢と同じクラスで同じ寮なの、何時も一緒に食事してるらしいわ」
「そりゃ雷夢君も災難だったな」
「でも平気な顔で何時も一緒に居るらしいの」
「そりゃ凄いな、特殊な才能でも有るのかの」
「だから私の実家もなおさらピリピリしてるの、雷一族と乱動家が接近したら大変でしょ」
『なるほどのー』
ーーーーー
全員が華やいだ服を着ているものの、昨夜の宴会が応えたのか、出発と同時に大口を開けて爆睡。
オルゴール館、サボテン園、バナナワニ園、石廊崎等の定番観光地に到着するとゾンビの如くむくりと起き上る状態を続け、無事夕暮れに奥伊豆のホテルに到着した。
なんか、観光地の光景が断片的にしか残っていない。
勿論、横腹に神楽坂学院高等部祓通科と大書されているバスなので、車内の飲酒は控えた。
その程度の常識は、勿論僕等にだってある。
ホテルの部屋は和室で、火地さん風音さんと同室だった、良かった、飢えた雌狼が目を爛々とさせていたので、心配していたのだ。
目の前に海が広がる眺めの良い部屋だった。
浴衣に着替えて風呂に入り、さっぱりしたところで缶ビールを開けて喉を潤し、寛ぐ。
しばらくしたら電話が鳴って、フロントから食事のお知らせが来た。
雛段に座卓が十四卓、生徒達の卓は縦に四卓、横に七卓、二間を抜いた横長の宴会場で夜の食事が始まった。
女子は桜の花弁をあしらったピンクの浴衣、男子は鯉の図柄の若草色の浴衣だ。
なんか宴会場に春が訪れた様で華やいでいる。
学年主任のだらだらした挨拶が終わると水と称する透明な液体が配られた。
乾杯の挨拶は風吹雪先生だ。
「水着は買ったか」
『おー』
ホテルに着いてから女性達は街に繰り出したのだが、目的は水着だった様だ。
「支部の御好意で今日は地元の水や葡萄ジュースが飲み放題だ。肴も山程有る、存分に楽しんで欲しい。青春は短いぞ、恋は短期決戦の早い者勝ちの争奪戦だ。気合い入れてけよ、じゃっ乾杯」
なんか変な挨拶だった、肴と言った時にチラリと見られた気がする。
水は勿論お酒で、葡萄ジュースはワインだった。
「ねえ、飲んで飲んで」
直ぐに隣席の風織先生と火地さんが自席から弾き飛ばされて、僕は女生徒達に囲まれた。
皆赤い顔で、裾と胸元は当然乱れている。
「ねえ、舞とはどんな関係なの」
なんか、危険球の臭いがする変化球が飛んで来た。
「友人だよ、仲の良い」
「きゃー、あの子可愛いからなー、お風呂は一緒に入るでしょ」
「ああ、勿論男同士だからね」
「ふーん、誤魔化したってだめよ、舞が風呂場で無理矢理キスされたって嬉しそうに言ってたわよ」
「わー、獣」
実は風呂場で舞の唇を見ていると、感触の遠い記憶が蘇るのだ、特に酔った時はとっさに抱すくめたくなる衝動に駆られる。
最近は大丈夫なのだが、以前は良く記憶が飛んだ、完全に否定できる自信は無い。
「ふーん、雷夢君ってロリでサドでホモだったんだ」
「ちょっと待った、誰に聞いたか知らんけど、僕はロリでもサドでもホモでもないぞ。至ってノーマルだ」
「へー、風織先生を持ち帰りしないからてっきりホモだと思ってた。ねえ、風織先生、雷夢君ホモじゃ無いらしいよ」
風織先生は、可哀そうに、席が無いので隅っこで一人お酒を飲んでいる。
「にゃあに」
あっ、いかん、出来上がっている、てこてこと走り寄って来た。
「りゃいむきゅん、きゅしゅしてひい」
”ぶちゅー”
何時ものが絡み酒が始まった。
「わー、先生狡い、じゃっ私も」
「じゃっ私は口移しで飲ませてあげる」
「きゃー、私も私も」
そして溺れそうになった記憶までは覚えている。
気が付いたら女生徒の中に埋もれていた、皆パンツ丸出しの半裸の乱れた格好ですやすやと寝息を立てている。
僕の胸や腹はキスマークだらけだったが、パンツは履いているのでセーフだった様だ。
部屋に戻って酒でぐっしょり濡れた浴衣を着替え、一風呂浴びてから布団に潜った、火地さんと風音さんの鼾が次第に意識から遠ざかって行く。
おやすみなさい。
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