神楽坂学院高等部祓通科

切粉立方体

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Ⅰ 第一学年

41 そして夏休み8

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火見さん、水見さん、風見さんの三人も、何回か繰り返しているうちに感覚を掴み始めたようだ。
大神宮さんは自力での情報世界への進入が可能になったので繰り返し練習している。

僕の見る限り、霊体として情報世界に入ることは、一長一短が有りそうだ。
存在としての強さが有るので情報の水で溺れることはない、だが、水の上に立てるほど浮力が大きいので、情報の湖に潜ることが出来ない。
水に意識が溶け出す事は無いが、水に手を入れて情報を感じることが出来ない。
鬼の討伐に関しては、水から鬼を引き出せば、意識よりも霊体の方が力は有りそうだが、水の中に潜っている相手には手が出せない。
幽体でもシステム間の移動やシステム機器の操作は慣れれば可能になるだろう。

意識を送る事が苦手だった理由も想像が付く、彼女達は幽体の扱いに長けてる分、意識と幽体の境目が不明瞭になっているのだ。
繊細な意識の狭い通路に、幽体をがんがんとぶつけて通ろうとすれば、情報世界に拒まれて当然だ。
今使っているルートは、美子ちゃんの魂を情報世界に連れて来るために苦労して探り当てた裏ルートなのだ。
でも原因がはっきりした、苦労はしそうだが、幽体と意識を分離する訓練を積めば、彼女達も普通に情報世界が扱える様になるだろう。

でも今日のところは、情報世界に入る感覚を覚えて貰って、情報世界に馴染んで貰えればそれで十分だ。

僕の手助け無しに、彼女達が情報世界への移動ができる様になったので、後は自分で練習して貰うことにして、僕も迷子達の酒盛りに加わることにした。

「こら、雷人。随分楽しそうだったじゃないか、あたい達の前でよー。ちんこ引き抜いてやろうか」

うっ、こいつら完全に出来上がっている、雷子はうつ伏せになって半分死んでるし。

「雷人ここに座れ。こら、だれが胡座をかいて良いと言った、そこの板の間に正座だ」
「雷君、ずいぶん楽しそうだったね」
「うん、顔が緩んでる」
「鼻の下も伸びてたぞ」
「あはははは、折檻よ、折檻」

手足を押さえられて口に一升瓶を突っ込まれた、うー、溺れる。

ーーーーー

もうほぼ完璧です、情報世界に入る技は会得しました、これでもう、雷子になんか大きな顔をさせません、うふふふふ。
情報世界の湖畔で、雷夢さんが用意してくれたお茶を飲みながら、火見さん達と小休止して寛いでいます。

「弥生、これで雷の血を入れる理由が無くなったんじゃない」

えっ、言われてみれば確かに、全然考えていませんでした。
これであの男に媚を売らなくて済むのかもしれません、でもそう思った途端、雷子の高笑いが頭に浮かんで来てなんかむかつきます。

「なあに、浮かない顔して。弥生はあの男に惚れてましたの」
「いいえ、飛んでもないです。誰があんな男に。でも、私達にはノウハウが不足してます。だから、もう少し様子を見てからでもいいんじゃないでしょうか」
「そうよねー、でもこれであいつと急いでエッチする必要も無くなったことは確かだよね」
「ええ、私達って汚れ役のキャラは似合わないもの、やはり高嶺で清楚に咲く花の役なのよ」
「安売りする必要も無いし、無理に肌を露出する必要も無い。そんな役回りはあの雑草達がお似合いですわ」
「それは言えてるわね。でもこれでやっと陰陽師界の秩序が正常に戻るのかも知れないわね。うふ、私達の未来は前途洋々よ」

そんな事を話していたら、突然目の前に空間の入口が現れました、中にプールや温泉、人気ひとけが無いようですが、ここのスパリゾートの光景が広がっています。

突然背後から足音が聞こえ、振り向くと裸の一団が走って来ました。
先頭に来夢君、最後尾に小さな女の子と妖精の様な女の子が居ます。

唖然としていたら、雷夢さんが私の前で立ち止まりました。
思考停止状態で立ち竦んでいたら、御人形さんの様に裸に剥かれて、右腕に抱えられていました。
左腕で裸に剥いた灯さんを抱え、雷夢さんが目の前の空間に飛び込みました。

広いスパリゾートの中へ、私は裸で放り込まれました。

「いやー!!」

ーーーーー

あーあ、気の毒に、こんな時って酔っ払ったもん勝ちだと思います。
火見さん達は、ここはハルさんが作った空間だと解ってないようです。
必死に逃げ出そうとするんですが、みんなで面白がって追掛け回してます。
火見さん達の悲鳴が静まり返ったスパリゾートの中に響き渡っています。

翌朝、起きてから火見さん達がしくしく泣いていました。
雷君達は相変わらず何も覚えていないようでした。

ーーーーー

短い休暇を終えて学院に戻る、帰りのバスの中、火見さん達はぐったりしていた。
申し訳なく思い、今後の訓練のポイントを説明して、訓練に付き合うこと約束したのだが、なんか余計に落ち込んでいた。
さあ、また仕事が待っている。
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