神楽坂学院高等部祓通科

切粉立方体

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Ⅰ 第一学年

42 そして夏休み9

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都内での仕事を片付けてから事務所に戻ると、何か事務所の中の人口密度が偏っている。
みんな部屋の隅っこに寄って怯えているのだ。
彼女達の視線を追って行くと、応接セットで鬼が一匹、彼女達を威嚇していた。

「おう、雷人、ずいぶん綺麗どころを一杯集めたじゃねーか。極楽だなここは、この助平」
「お久しぶりです権田さん」

警視庁の権田さんだ、人食い鬼の件以来だ。
見かけに寄らずお茶目な所がある人で、拳銃を磨いて彼女達の反応を楽しんでいたようだ。
可哀想に、舞なんか半分涙目だ。

「ちょっと悪いんだが頼まれてくれないか」
「良いですよ、僕に出来ることなら」
「すまんな、EUから外務省に圧力が掛かってよ、俺たちじゃ手が出せなくなっちまったんだ」

一通りの説明を聞いた後、世間話をして  さんが帰った。
誰もコーヒーを入れてくれなかったので、僕が自分でドリップして振る舞った。

帰った後、みんながドッと寄って来た。

「雷君、犯罪に手を出しちゃ駄目だよ」
「雷君、麻薬取引の話じゃないよね、弱みを握られても警察に相談した方が良いわよ」
「いいえ、もっと危ない闇取引の相談ですわ」
「殺しかもな」
「子供の人身売買」
「誰か偉い人の恐喝だよ」
「アイドルの拉致暴行」
「要人の暗殺」
「臓器の売買」
「会社の乗っ取り」
「雷人、両親が泣くぞ」
「雷君早まっちゃ駄目よ、一緒に自首しましょうよ」

なんか僕を日頃どんな目で見ているか、解った様な気がする。

「あの人ヤクザに見えるけど、警察官だよ」
『えー!』

ーーーーー

醜い猿どもの猥雑な国に到着しまいた、主以外の神を信じる劣等民族、しかも日替わりで神を変える無節操で破廉恥な奴らです、その醜い姿を見ているだけで反吐が出そうです。
そんな国だからこそ悪魔を受け入れるなどと言う、罰当たりな事が考えられたのでしょう。
脳味噌が性欲と煩悩で満たされているのでしょうか、悪魔と一緒にこの国全体を劫火で浄化したいくらいです。

でもそれは残念ながら本部から止められています、この猿共が卑しい金の力を持っていると言う理由だけで。
我々の文明を模倣しているに過ぎない猿共の癖に、憤りを感じます。

おっと、携帯電話を見て歩いていた青年にぶつかられてしまいました。
まったくこの国はモラルがなってない、もっとも猿にモラルを期待すること自体が間違いなのかもしれませんが。

列車でトーキョーに向かいます、窓を鏡代わりに車内を見渡て視ても、追跡者はいない様です。
EUの官僚達は、きちんと我々の指示に従ったのでしょう。
時々見える窓の外には、猿達にお似合いの貧しく醜いバラックが通り過ぎて行きます。

都内のホテルで協力者の赤の人に出迎えられました、本来は敵対勢力なのですが、利益が一致したので折合を付けたのです。
彼等の目的はシンプル、赤の勢力の拡大です、今回の私の任務で社会不安を煽ることが出来ると考え協力を申し出て来たのです。
イケブクロと言うサキュバスのコロニーが有るという地区に関して、我々の情報が不足していたので丁度良い申し出でした。

私の任務はサキュバス狩、なるべく凄惨な狩を行い、この国が安全地帯で無い事をサキュバス共に知らしめて、恐怖のどん底に追いやり、より狩が容易な東南アジアに追い出すのです。

地図に示されたサキュバス共のコロニーを囲む大きな円を描いて、焼き払う地域を確認し、念のため封鎖すべき道をチェックする。
警視庁が接触した少年の情報も聞かされましたが私に抗する力は無いでしょう。
決行は今夜です。

時計の針が真夜中を指しました、聖なる水晶を頭上に掲げ、主に祈りを捧げます。

「悪なる者を打ち滅ぶ我に、聖なる者共よ力を貸したまえ」

水晶から光り輝く大鎌を持った戦天使が現れた。

「行け!」

天使が手近な店のドアを焼き払い中に侵入します、中からサキュバス共の悲鳴が聞こえ、刈られた頭が道に転がり出てきました。
さあ、次の通りに移動しましょう。

全部で十二体の天使を呼び出しました、清めの火が輪となって繋がりサキュバス共を閉じ込めました。
悲鳴を上げて逃げ惑っているサキュバス共に、天使が容赦なく鎌を振り下ろしています。

一カ所天使の動きが止まっている地区があります、見るとあの情報にあった少年でしょうか、少女達と協力して天使を封じようとしています。
仕方が無い、念のために持って来た大天使様を呼び出しましょう。

大天使様の剣の一閃で少年の首が転がり落ちました、それを見て逃げ惑う少女達を大天使さま次々に刻んで行きます。
あっ、大天使様その小柄な少年は残しておいて下さい、持ち帰って尋問しますので。

明け方前には周囲が一面の焼野原に変わった、サキュバスと猿共の首の無い遺骸が累々と転がり、中央に刈り落とされた首が棒に刺さって並んでいる。

さあ任務完了だ、これでサキュバス共は震え上がるだろう。
宿に少年を持ち帰って尋問を楽しもう、苦痛に歪んだ顔で懺悔を請う姿を想像しただけで股間が膨れ上がって来る。
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