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高年期[二学期・後編]
攻略対象者に会いに行こう。
しおりを挟む「な、何故今更・・・」
「いいじゃん?二階堂くん狙ってたんだから。」
「そーゆう問題ではありません!始めの頃はとにかくイベント消費してなんとか好感度を上げようと頑張りましたわ。・・・ですが何故か二階堂くんはほぼ100%で薫風くんにベタ惚れしてるんですもの。諦めるに決まってますわ!」
「・・・あーそう、だね。なんでシナリオが崩れたんだろう?明らか僕が逆ハー状態になってたよね?」
「・・・嫌みですの?・・・それで今更ヒロインに戻り私に向けさせるよう攻略しろって?ふざけてますわ!」
「・・・確かに。都合よすぎるよね。それに今まで僕の事スキスキ言ってた人が急に陽南さんの事をスキスキ言い出し、挙げ句に僕をライバル視してくるんだもんね・・・百年の恋も覚めるわ。」
「・・・薫風、いいか?・・・他の対象者?はどーなってるんだ?」
「そーいえば天野くんは?」
「天野くんは・・・今の所会ってませんわ。何故か生徒会室にもいませんでした。」
「あれは?体育教師たちは?」
「神馬先生なら授業で会ったよ。でも至って普通に見えたけど?花塚さんか薫風に会えば少し変わる気がするけど・・・」
「・・・薫風さん、鳳さんは?」
「それが・・・色々混乱して未だに会ってないんだ。でも克典とは義兄弟なわけで関係は変わらないと思う。スキンシップが減るくらいじゃないかな。」
「・・・あとは蛭間さんですわね。まさかあの庭師さんと別れていたことになっていたとは・・・」
「・・・あ?鬼龍院がどうした?」
「庭師の鬼龍院さんと警備員の昼間さんは恋人同士だったんですよ。でも対象者である蛭間さんの記憶がリセットされたせいか兄弟分な関係に戻ってしまったようです。」
「・・・そうだったのか。どうりでよく2人で歩いてるの見かけたのか・・・」
「あの2人は仲睦まじい感じだったね。じゃれつく蛭間さんに甘やかしてる鬼龍院さんがとてもお似合いで・・・そうか、2人は別れた、というか付き合ってすらない事になったんですね。」
「身近で見てきた僕も淋しいよ・・・あ、僕、この後蛭間さんに会って話そうと思ってるんだ。」
「そうなの?・・・じゃあ俺も一緒に行こう。・・・本当に付き合ってないのか気になるし。」
「ありがとう愛翔お兄。」
「・・・それより、これからだな・・・とにかく薫風、お前、風間の事はどうする?」
「・・・うん、僕は風間くんの事が好きだよ。昼間だって・・・凄く傷ついたし・・・でも未だに恋人同士ってのが腑に落ちないんだけど・・・」
「ああ、俺も問い詰めたら、お前と風間と恋人契約をしていたぞ。・・・内容は驚いたが。」
「・・・え?契約?」
「確かに用紙には薫風の直筆サインがあった。間違いない。」
「なに、それ・・・」
恋人契約・・・本当に仮の恋人って事か。ああ、落ち込む・・・初めはあんなに嫌がってたのに。
「っと、すまん。時間のようだ。俺は理事長室へ帰る。・・・何かあったら明日にでも呼んでくれ。」
「わかった。・・・じゃあ愛翔さん一緒に蛭間さんの所へ行こう。」
「・・・そうだね。」
「私はもう帰りますわ。・・・なんだか人生で一番疲れた日になった感じですわ・・・」
「陽南さんは今日ほんと疲れただろうね。ほら、僕が嘆いてた気持ち、わかっただろう?君はいつも傍観してたようだしね。」
「ええ、ええ!よっくわかりましたわ。あんな辛い物とは思いませんでした!壁ドンから始まり顎クイ、バックハグ、耳つぶ・・・イケメンは何をしても様になるので見惚れてしまいますわっ!」
「うわぁ・・・」
「「・・・?」」
ああ、うん、お兄たちには通じないだろうね。胸キュンシーン満載ですからね、乙女ゲームですから。
「僕はそれを約半年やられてたんだからな。・・・ま、頑張りなよ。・・・ただ、今度、ヒロインが攻略達成したのちが心配だけどね・・・僕みたいにリセット選択とかまたしてくるのかな?」
「まだわかりません。が、私はリセットなんて選択絶対しませんわ!」
「そうだね。・・・じゃあまた明日。愛翔さん、行こうか。」
はい解散ー。僕は愛翔さんと蛭間さん探しをしましょうか・・・
___________
「あ、いた。」
「・・・記憶はなくなっても園庭へ通うのは変わらないんだね。」
「でも・・・なんだろう距離が・・・蛭間さん、仕事として園庭に訪れてるような距離だね。」
「・・・」
まず始めに園庭へ行った。そしたら丁度蛭間さんがその場にいた。うん、丁度庭師さんとの距離があるから連れ出してみようか。
「蛭間さん。」
「ん?・・・お~薫風やないか。それに鳥羽くんやね。俺になにか用か?」
「・・・ちょっとお話があります。すみません、こちらへ来てもらえますか?」
「?勤務中やから手短になぁ?」
「はい。」
う~ん、この関西弁は変わらずだけど・・・うん質問しないとわからないね。
「んでぇ?どないした?」
「・・・鬼龍院さんってどんな方ですか?」
「鬼龍院さん?見ての通り庭師やないか。見た目は厳ついが面倒見のええ人やよ?」
「・・・蛭間さんは鬼龍院さんの事、どう思いますか?」
「うん?さっきから何がいいたいねん?・・・まぁ、鬼龍院さんは俺の尊敬する人やね。もう10年以上の仲やから!兄弟分ですわ!鬼龍院さんは俺をウザがってるよーやけどな。」
「・・・あの、恋心とか、は・・・?」
「恋ぃ~!?ありえへん!鬼龍院さんは幼い頃から付き合ってる女性おるねん。それに俺は・・・あ、なんでもない。まぁ鬼龍院さんに恋心抱くなんて俺にとっちゃ烏滸がましいわ!」
「へ?・・・う、うそ・・・」
「・・・」
「あはは~なんや薫風、鬼龍院さん狙ってるんか?まぁ目の付け所は良いが無理やな!他に当たりぃ~?」
「・・・」
鬼龍院さんに付き合ってる人がいる!?そんな・・・だって鬼龍院さんは兄弟分の頃から蛭間さんの事を・・・
「もう気ぃ済んだか?警備に戻るでぇ~?」
「・・・わかりました。仕事中にすみませんでした。」
「ええよ~。薫風、辛かったら慰めてやってもええよ?落ち込むなやぁ。」
「・・・」
呆然と立ち尽くしてしまった。・・・烏滸がましいって・・・だって鬼龍院さんが蛭間さんに告白したんだよ?それを受け入れたのは蛭間さんなんだから多少は好意を寄せてたんじゃ・・・
「薫風、薫風・・・とにかく移動しよう。」
「あ、愛翔お兄・・・」
「近くにベンチがある。そこに座ろう?」
「・・・」
愛翔さんに促されベンチに座らされた。・・・うん、かなり精神的にきてるな。
「・・・リセットというのは恐ろしいですね。・・・正直、薫風にここは乙女ゲームの世界と言われた時、あまり信じてませんでした。・・・ですが身近な人がこうも1日で変わるのは異常です。・・・俺達は今、ここで生きてます。神の悪戯、にしてはやり過ぎな気がしますが・・・」
「・・・元に、戻らないかな・・・」
「今の時点では無理でしょう。俺はまだ鬼龍院さんとは話してないので何とも言えませんが蛭間さんと先程のやりとりを聞いてると・・・元の、恋人にはなれないでしょう。しかも鬼龍院さんには付き合ってる方がいるようですしね。」
「・・・」
このまま戻らないのだろうか・・・本当に?
この流れじゃ蛭間さんもヒロインに恋をするのか?それはそれでも構わないが陽南さんが物凄く嫌がりそうだな・・・
あとは・・・体育教師、天野くん、あと克典か・・・もう皆リセットされたものと考えた方が良さそうだな。
応援ありがとうございます!
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