隠れゲイが夢見た結果

やの有麻

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「………団長、少し相談したいことがあるのだが……」
「珍しいな。どうした改まって……あぁ大丈夫だ。粗方仕事が片付いたからな。」


私がまず頼ったのは王国騎士第3部団隊団長アルクレス・タハンバー団長だ。
アルクレスとは見習いの時から常に一緒にいた一番に信用できる奴で、私と恋仲じゃないかと噂されるほど仲が良い奴だ。ちなみにアルクレスには妻がいる。団長になってすぐ付き合ってた女性にプロポーズしたようだ。もちろんその女性は了承してめでたく結婚。今では2児の父親だ。


「今から話す事………信じられないかもしれないが最後まで口を挟まず聞いてほしい。」
「…………おう。わかった。」


真剣な眼差しを向けてアルクレスに話すと、いつもはヘラヘラしておちゃらけているが私の真剣な態度に尋常じゃない何かを感じ取ったらしく、アルクレスも真剣な眼差しで返してくれた。


……………まず、今朝見た夢の事を覚えている範囲で全て話した。王城から帰宅する公爵様の護衛に付いてた時、襲撃に会い、そこで私は一度は耐え切り伝書鳥に緊急事態の紐を結び騎士団に知らせた所で、また襲撃に会いそこで致命傷を負う。護衛である私が倒れ辺りが静まった所に公爵家の執事が馬車から出て様子を見た所で執事も殺され、次に馬車から公爵様が出てきてしまい殺されてしまう。数分後に現れた騎士団はこの残劇を目の当たりにして嘆いていた………


そんな夢を見たと包み隠さず話した。するとアルクレスは青い顔をしながら考え込む姿勢をとり沈黙した。


「なんとも………生々しい、な。作り話にしちゃ現実的で有り得る出来事のような話しだからなんとも………」
「…………じつは、こうゆう夢を見るのは、これが初めてではない。」
「何っ!?」
「今から5年前にあった王太子の披露宴があったのを覚えてるか?」
「もちろんだ。」
「…………あの時も披露宴が始まる数日前に夢を見た。披露宴で魔術師のようなローブを着た奴が王太子に襲いかかってる夢を…………」
「!……………あぁ、あぁ思い出した。確か披露宴の前日にお前が「警備を強化してほしい」と言ってきたな。………まさかその夢がきっかけで?」
「そうだ。そのお陰で怪しい奴が捕まり王太子様は未だに健在だ。…………一番初めの夢は、見習い騎士の時によく通ってたパン屋さんの店の事だ。夜、その店で火災が起きて中にいた店主が丸焦げの遺体で見つかる夢だった。その夢をみた時は「変な夢」で終わらせていたが………数日後、夢の通り火災が起き店主が死体で発見された。……私はその事実に、店主に懺悔したい気持ちで一杯になった。私が一言「火の用心を」と言ってればもしかしたら火災は起きなかったんじゃないかって、ね。」
「…………………」
「それから些細な事だが何度も夢を見てはそれが現実に起こり………4度目の現実的な夢を見て、それで私は確信した。私には予知夢の能力がある、と。」
「…………そうか。」



俯きながら話しているので今アルクレスがどんな顔して私の話を聞いてるのかわからない。ただ、沈んだ声を出してる時点で半信半疑なんだろうと判断できる。


「…………お前の話を信じる。」
「!団長…………」
「よせ、俺は今は親友として話を聞いている。まぁ………前々からお前の勘が異常に冴えてるとは思ってたんだがな……まさか予知夢を見ていたとはな。」
「………よく、信じようと思えたなアルクレス。」
「ハンッ!お前と何年付き合ってると思うんだ!そこら辺の奴とはわけが違うんだからな。ちなみに副団長にお前を指名したの、俺だかんな!」


パッと顔を上げアルクレスを見るといつもの人懐っこい笑顔を私に向けていた。
その後「良い奴だな」と言ったら「惚れ直したか?」と冗談を言ってきた。あぁ………やはり持つべきものは友だな。




それからさっそく今日から私の他に3名、第3部団隊から選び護衛に付くことになった。宰相様には「法案が確定するまで護衛を強化して警備にあたります」と伝えた。さすがに私の夢の事を話さなくても良いだろう。





「今日もよろしくね騎士団の皆さん。」
「「「「はっ!」」」」



警護を増やしてから数日。まだ夢のような出来事は起こってない。警護を増やした事で相手が怯み襲撃を諦めてくれればいいのだけど………



「そうだカズーリくん、もうすぐ新しい法律が確定するよ。」
「!………それは良かったです。私もスラムの子を気にしていたので………これで少しはスラムもまともになれば良いので、すが……………?」


ん?この台詞聞いた事が…………あっ!


「そうだね。これで頭痛の種が1つ無くなったよ。あとは────」



ヒヒィーーン!!!



馬車を引いてる馬の足元に矢が放たれ驚いた馬が悲鳴を上げた。
…………やはり来てしまったか。夢の通りだ。だが夢と違う点がある。それは────


「公爵様、このまま馬車の中でお待ちください。」
「了解した。」


夢のようにはいかない。何故なら今日は頼もしい仲間が一緒にいるからだ。


「カズーリ!お前は馬車から離れるな!」
「はい。伝書鳥に緊急要請をだしておきます。」
「任せた!」


そう、今日はたまたま時間が空いたアルクレスも一緒にいた。「公爵家をこの目で見たい!」といったなんとも軽々しい感じで護衛にと付いてきたのだが………まさか今日、襲撃に会うとは思いもよらなかっただろう。
まぁ本人は最近体が鈍って仕方がないと言っていたから丁度いいのかもしれないがな。
アルクレスは団長を任される程実力の持ち主なので大丈夫だろう。………そもそも夢の中で苦戦はしてたが私一人で切り抜けられたのだから問題ないだろう。

私は馬車を盾に伝書鳥を呼び脚に緊急信号の赤い紐を括って干し肉を渡し飛ばした。あと数分で第3部団隊の援軍がくるだろう。私が護衛を強化したと同時に何人か交代で待機してもらってるのですぐ来るだろう。


数分後に辺りは静かになり何人か生け捕りに成功したようだ。………良かった。今の所命の危機は脱したように思える。だが宰相様を公爵家に送り届けるまで警戒は解かないほうがいい。


「これで終いか?なんだ呆気ないな。」
「………私はこの人数を一人で倒したんですよ?」
「なんだぁ?お前も鈍ってたのか?よしっ!明日から早朝訓練を取り組もうか!」
「止めてください。私はともかく、部下が可哀相です。」
「なんだ、お前は良いのか?」
「私も団長と一緒に書類整理に付き合わされ体が鈍ってるので問題ありません。むしろ歓迎します。………だが早朝訓練と言ったな?奥さんの朝食は今後食べれなくなるぞ?」
「ぐっ…………!そ、早朝訓練は先送りに」
「ま、そうでしょう。あまり軽口を叩かないでくださいね?私、本気にしちゃいますから。」
「ちょちょっ!?冗談が効かないなぁ~カズーリくんはぁ~……………」


はぁ…………ほんと、この人と一緒にいると気が抜けてしまう。それが彼の良さなんだろうが私としては今は気を抜く事ができないので気を使ってもらいたい。



「………カズーリくん?」
「あぁ公爵様、もう大丈夫です。ただ他にも忍んでる可能性がありますのでこのまま馬車の中で待機しててください。」
「………了解した。」


そう、このまま無事に屋敷までたどり着ければ良いのだが…………



ヒュン……………………パシャ!


「!?」


何かが顔面に当たり、なんの液体かドロッとしたものが少し口の中に入ってしまった。……………なんだこれは?
他にも投げられては木に当たったり馬車に当たったりしていた。………当たったのは私だけのようだ。闇雲に投げつけてきたのか?
音がしなくなったのを見計らいアルクレスが近付いてきた。……奴は当たってないのか。まぁ私が少し油断したのが悪いのだが。第一球が飛ばされ私に当たったため他の者は直ぐに物陰に隠れてしまったからな。なんともみっともない。不覚。


「カズーリ!?大丈夫か?」
「ああ。ただ顔面に何か液体を投げつけられたようで視界が妨げられました…………すまん、周りの警護を」
「言われなくて、もっ!…………ほいっと!」


ヒュン、ヒュン、…………………バサバサバサ………ドサッ



「捕えろ!」
「「はっ!」」


さすが団長。短弓で撃ち落としたようだ。よく居場所がわかったな………


………………ドクン


「!?……………あっ」
「カズーリ!?」


なんだ?体が熱い、足が勝手に震え力が入らない………そして、


「なん…………っ!?」
「おい、大丈夫か?」
「これ、は…………しくじったようだ………すまな、い……だんちょ…………これ、多分媚薬の類だ。」
「あぁ!?…………まさかピンクスライムの液体か?」
「その液体かは知らん。暗くて、よく見え、ん…………」
「チッ、なんつーもの投げつけてくれるんだ野郎どもは………」
「ハァ………ハァ……………ぅぐ、」
「とりあえず木陰に移動しろ。もうすぐ援軍がくる。」
「すま、ない………………ヒッ!?」


腕を捕まれた瞬間、痺れるような快感が押し寄せてきた。へ、変な声がでたっ!これは、かなりマズい気がする。


「僕の屋敷に運ぼう。ジブサ手伝え。」
「承知しました。」
「ちょっ!?宰相殿っ!」


意識が朦朧としてる中、誰かに腕を引っ張られまたあられも無い声がでた気がした。そのまま引っ張られ何かに上らされ柔らかい敷物の上に寝かされた気がする。

辺りが騒がしくなり、それと同時にガタ、ゴト、と馬車が動く音が耳に響いてきた。


「第3部団長、カズーリ殿の顔にかけられた液体がピンクスライムだと言う理由はなんだ?」
「………確かではありませんが、闇市に売られてるのを見たことがあり、それは丸い球体に入ってる物が多く、軽く衝撃を与えれば弾け液体が流れる仕組みになっており、それを摂取すると猛烈に発情状態になると聞いております。…………その症状を一度、巡回中に目撃した事があり、それを摂取した者と今のカズーリの状態と酷似してるので、そう判断いたしました。」
「解毒方法は………」
「いち早くその液体を払拭し、その発熱を発散すれば元に戻ります。副作用もなく多くの貴族が愛用してると聞いてます。違法薬物でもないので取り締まるのも難しく………せいぜい闇市に行かぬよう警告するほかありません。」
「わかった。………とにかく熱を発散させればいいのだな」
「あの………宰相様?」
「大丈夫だ。彼は私の元で安全に保護させてもらうよ。君は僕たちを送り届けたら先程襲撃してきた奴らの裏を調べてくれ。」
「………………………………………………承知しました。」


アルクレスは宰相の言葉を聞いて顔が引くつくのを懸命に我慢して護衛に徹しようと前を向いて現実逃避した。
……………心の中でカズーリに合掌したのは言うまでもなく。





************




「は、ぁ……………」


体が熱い。私は一体どうなってしまったのだろうか。熱が引かない、熱射病にでもなりこのまま死ぬのだろうか………
そうか、結局私の死亡は確定していたのかもしれないな………


「死なせはしないよ。というか、こんな物で死にはしないよ。」
「んぅ?…………だ、誰?」
「リュートリムスだよ、カズーリ。」
「リュー………?」
「ふふ、リューでいい。カズーリ………さぁ湯から上がろうか」


ザバッと水が弾ける音が聞こえた。………そうか、私はいつの間にか湯に浸かっていたのか。ああ、だから体が火照ってたのか。

椅子に座らされ髪から足の指まで綺麗に拭いてもらった。こんな事、私が見習い騎士に入る前の実家の伯爵家にいた時以来だ。とても気持ちがいい…………


それから宙を浮く感覚に体に緊張が走ったが「大丈夫」と言われフッと力を抜いた。






「あ、はっ………んんっ、はぁ……ん」
「あぁ………気持ち良さそうだねカズーリ。君の体は芸術的な、綺麗な体をしているね。」
「んんぅ………ぅああっ!」


私は今、何をしてるのだろうか。風呂に浸かって運んでもらってベッドに寝かされて………そして誰かが私の上にいる気配がするのだが………?


「は、あ、…………っ!?……………あっ、えっ?…………っ!??」
「少し意識がはっきりしてきたかな?大丈夫かい?」
「あ、え…………?」


意識がはっきりしてるかと言われたら曖昧だ。熱が体を這い回ってて意識が朦朧としてるが………なんか既視感が……
澄んだ泉のような水色な瞳……宝石を散りばめられたような輝かしいプラチナシルバーの髪……この2ヶ月余りずっと見慣れている麗しのお姿が何故今私の前に………?
混乱してる最中、細長く筋張ったものが体中を弄って冷静に考えようにも集中できず思考が定まらなかった。なんだ………?凄く気持ちがいい………


「は、ん………」
「ふふ……胸って力を入れてない状態だとこんなにも柔らかいんだね。弾力があって……ほら、ココが触ってほしいと主張してるようだ」
「んんっ!?」


何があった!?私は何をされてるのだ?今、胸の辺りから電気が走ったような快感が押し寄せてきたんだが………


動悸が激しい……全身熱くて、全身びっしょり汗を掻いてるようだ……快感が過ぎて目元が潤む……下半身に熱が溜まる………辛い……


「こら、自分でしようとするのは良くないね。ああ、辛いんだね。一度果てたほうが楽になるし意識がハッキリするかもね。………抱く時はちゃんと僕を意識してほしいからね。」
「イきた、い……………っえ!あ、ああっ!?」


急に何か自分の陰茎に暖かい滑った何かに包まれた。驚いて頭を上げ下を向くと、目にしたのはプラチナシルバーの髪を持ち、整った顔立ちの人物が、私の下半身に顔を埋め、信じられない事に私のものを口に含んでる姿を目の当たりにした。驚き固まってその姿を凝視してると、その人物は少し口角を上げ、笑ったかと思ったら卑猥な音を立て顔を上下に動かし私のものをしゃぶり始めたのだ。


「ああっ!や、やめっ………あ、くぅぅぅっ!」
「!」


口の中の気持ちよさに呆気なく達してしまった………な、なんなんだこの状況は…………?
前世の言葉でゆう『賢者モード』に入ってると、おもむろに私の下半身に顔を埋めていた人物が顔を上げ身体を起こした。
……………あ、そういえば私は…………っ!!!


「とても濃いね。あまりこういった行為をしないのかな?」
「こ、公爵様………」
「ん?あぁ、やっと意識がハッキリしたんだね。大丈夫かい?まだ辛いかい?」
「あ、あの………私は一体………?」
「君はね、私の護衛中に襲撃者にピンクスライムを顔面に投げつけられ、それによって発情状態に陥ってしまったんだよ。」
「………それで、こんなにも体が熱いのか……………っ!?は、発情!?」
「そうだよ。それに、先程出したにも関わらず君のモノはまだ反り立ったままだ。」
「!?」


公爵様の言ってる事を信じられず自分の下半身を見たが、いや確認しなければ良かったと後悔する程、私の陰茎は…………元気のままだった。
…………それにしても、今、公爵様、なんて言ってた………?


「こ、公爵様………あの、伺いたい事が」
「なんだい?」
「あの、先程、私の聞き間違いかもしれませんが、………『濃い』、とは………?」
「あぁ。それは君が出した精子が濃いねって」
「っっっっ!!!!」


死にたい!今すぐ穴を掘り埋まりたい!しかも濃いって………男同士だから濃いだの薄いだのわかるのか!?てかそもそも味なんて……………はっ!!


「ま、まさか……私の………?」
「ごちそうさま」


にっこりと輝かしい笑顔を向けられたっ!!な、なんてことだ………
私は公爵様の口で達し、公爵様は口の中に放たれた物を飲み込んでしまったようだ。なんたる失態!
私はどうすればいい?このまま自害すれば済むのか?いや、そんなんで罪は拭えない……どうすれば…………


「っ!?」
「まだ足りないだろ?」


悶絶してる私にお構いなしに公爵様が私の陰茎を緩く扱き始めた。え、ちょっと待ってほしい。まだ頭の中が整理されてないっ!


「ま、待ってくださ…………ひっ!?」
「今度は僕も一緒に気持ちよくなりたいのだが……いいだろうか?」
「!?」


私のを扱きながら、今度は後孔の方を扱い始めた公爵様。
ピンクスライムの効能のせいかすんなり異物を受け入れどんどん中へと公爵様の指が入っていくのを感じる


「んんっ………」
「大丈夫かい?潤液を使ってるが気持ち悪かったら言ってくれ。」
「い、いえ………大、丈夫かと。…そ、その……私はこの行為事態初めてなのでどうしたら良いか」
「…………初めて?」


ピタッと私の中に埋まってる指の動きが止まった。…………なにか気に障る事を言ったのだろうか?


「カズーリ、君はこうした行為は初めてなのかい?」
「は、はい………あの、恋人は疎か………わ、私は淡白なようで自慰すらあまり……」
「で、では………僕が初めて……?」
「も、申し訳………んんっ!?」


25にもなって初体験すらしたことのない自分を恥とは思った事はなかったが居た堪れず謝罪しようとしたら目の前に影ができ唇に柔らかいものが押し付けられた。恥ずかしくて目を閉じてたのを見開き、目の中に入ってきたのは公爵様の整頓な顔がドアップで入ってきた。そして謝罪の言葉を遮られ口が半開きの所に生暖かい柔らかいものが口の中に入ってきた。それが公爵様の舌だと現状から理解し、押しやろうと舌を伸ばしたら逆に絡みつかれ吸われたっ!
それと同時に私の中に入ってる指も再び動き出し、気付いたら圧迫感を感じる程指を増やされバラバラに動かされされるがままになってしまった。

私は一体どうなってしまうのだ………?







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