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105、光の矢
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ルファリシオの言葉にエルトは思った。
(聖王妃リディア、まさか! ……でも、あの姿はまるで伝承に描かれた)
千年前、まだ魔物がはびこり争いが絶えなかったこの地を統一した勇者。
そしてその隣に立つ、白銀のティアラを付けた銀狐族の聖女。
ルナの体の中から沸き上がる魔力が、その純白のドレスの裾をひらりと舞い上がらせる。
具現化する魔力。
ルナの右手の剣が、白い炎に包まれていくのがエルトにも見えた。
立ち上る魔力に、周囲の空気も渦を巻いていく。
少し距離を取って対峙しているルファリシオ。
剣を構えるその姿に隙は無い。
その剣の先が静かにルナの方を向く。
「ふふ、いくぞ」
「言ったはずよ、来なさいと」
その瞬間──
「ルナ様!!」
ルナの体が消えたかのようにエルトには思えた。
そして代わりにその場所を貫いているのは、ルファリシオの剣だ。
見事な突きが、ルナが先程までいた場所を貫いていた。
(速い!)
しかし、エルトが本当に驚いたのはルナの動きの方だ。
消えたと思ったその体は、ルファリシオの剣から逃げるのではなく身をかがめて前に進んでいる。
その頬にルファリシオの突きが掠めて、浅い切り傷を作る。
だが、その目は怯えることも無く目の前の黒髪の貴公子を見据えていた。
白い炎に包まれた剣が男の胴を薙ぐ。
まさに一瞬の攻防だ。
一人は恐るべき突きを、そしてもう一人はそれをかわしてその胴を薙ぐ。
鮮やかにそれをかわし、下がるルファリシオ。
その頬をルナの追撃の一閃が掠める。
(強い……やっぱり今までのルナ様じゃない、まるで別人だ)
エルトは思った。
後ろに飛んだルファリシオの動きの速さもそうだが、それを追って踏み込んだ純白のドレスの女性の動き。
まさに神技と呼べるほどの速さだ。
黒髪の貴公子の頬に浅く赤い線が走る。
ルナと同じ場所につけられた傷。
大きく距離を取るルファリシオ。
そして、その頬をなぞる。
「この俺の顔に傷をつけるとはな、やってくれる」
ルナの頬の傷は塞がっていく。
自ら回復魔法をかけたのだろう。
そしてルファリシオの傷跡も消えていく、こちらは邪神の力によるものか。
イザベルは、純白のドレスを着た女を睨みながら歯ぎしりをした。
(どうしてルナにこんな力が、私の方が優れているはずなのに。ジェラルドだって簡単に靡いたわ、私のほうが女としての魅力があるからよ!)
いずれは自分がファリーンの王妃にもなっていたはずだと思い、イザベルは純白のドレス姿のルナを睨みつける。
「本当に忌々しい女! ルナ、貴方さえいなければ!!」
怒りが力を増幅させたのか、その体から黒いいばらの蔓が再び広がっていく。
イザベルは、ジェーレントの大船団とそちらに向かうロシェルリアの船団を一瞥した。
まもなく戦いは始まるだろう。
それを見て、笑みを浮かべるイザベル。
同時にグリフォンが大きく羽ばたく。
魔獣はイザベルを乗せたまま大空に舞い上がった。
上空から聞こえてくるイザベルの笑い声。
「ふふ、見てなさいルナ。殺してあげる、貴方が愛しているあの男を! そして、貴方を聖女などと崇める愚かな獣人たちを!!」
「イザベル! させないわ!!」
一瞬、冷静な聖王妃の顔にルナの面影が強く宿る。
そして、その傍に半透明のパネルが開いていく。
名前:ルナ・ロファリエル
種族:人間
職業:もふもふの聖女
E・G・K:シスターモード(LV100)
E・G・K:レンジャーモード(LV100)
もふもふモード:獣人化(上級)
力:775
体力:772
魔力:1320
知恵:1520
器用さ:1130
素早さ:1270
運:750
物理攻撃スキル:聖弓技、聖剣技
魔法:回復系魔法、聖属性魔法
特技:【探索】【索敵】【罠解除】【生薬調合】【祝福】【ホーリーアロー】【自己犠牲】
ユニークスキル:【E・G・K】【獣言語理解】【もふもふモード】
加護:【神獣に愛された者】
称号:【もふもふの治癒者】
<ホーリーアローの真の力が、聖弓技により目覚めます>
ステータス画面に描かれた文字。
右手に持っていた剣は腰の鞘にしまわれ、いつの間にかその手には光の弓が握られていた。
そして、シスターが神聖魔法を唱える時に現れる光の翼がルナの背に開いていく。
「ライトニングアロー!」
即座に紡がれた詠唱の直後、神聖なる力が込められた矢が弓から放たれた。
それは以前のルナが放った、聖なる矢とは別次元のものだ。
凄まじい速さで空を切り裂くその光の矢は、イザベルを追っていく。
地上を見て、ルナを嘲笑っていたイザベルの表情が凍り付いた。
かわすことなど敵わぬほどの速さだ。
だが──
聖なる矢は僅かにそれて、イザベルの首筋を掠める。
エルトは叫んだ。
「ルナ様!!」
地上から弓を射たルナの体は、黒い蛇に絡めとられていた。
ルファリシオの黒髪が蛇に変わって、ルナの体を締め上げている。
「くぅ!」
首元を締め上げられ光の弓が消えていく。
苦し気に呻くルナ。
ルファリシオは、イザベルを乗せ船団に向かって羽ばたいていく黒いグリフォンの背を眺めながら言う。
「イザベルめ、勝手な真似を。ふふ、だがまあいい。聖女よ、俺との勝負の最中に隙を晒すとはな、お前程の女でも愛する男の命は惜しいらしい」
(聖王妃リディア、まさか! ……でも、あの姿はまるで伝承に描かれた)
千年前、まだ魔物がはびこり争いが絶えなかったこの地を統一した勇者。
そしてその隣に立つ、白銀のティアラを付けた銀狐族の聖女。
ルナの体の中から沸き上がる魔力が、その純白のドレスの裾をひらりと舞い上がらせる。
具現化する魔力。
ルナの右手の剣が、白い炎に包まれていくのがエルトにも見えた。
立ち上る魔力に、周囲の空気も渦を巻いていく。
少し距離を取って対峙しているルファリシオ。
剣を構えるその姿に隙は無い。
その剣の先が静かにルナの方を向く。
「ふふ、いくぞ」
「言ったはずよ、来なさいと」
その瞬間──
「ルナ様!!」
ルナの体が消えたかのようにエルトには思えた。
そして代わりにその場所を貫いているのは、ルファリシオの剣だ。
見事な突きが、ルナが先程までいた場所を貫いていた。
(速い!)
しかし、エルトが本当に驚いたのはルナの動きの方だ。
消えたと思ったその体は、ルファリシオの剣から逃げるのではなく身をかがめて前に進んでいる。
その頬にルファリシオの突きが掠めて、浅い切り傷を作る。
だが、その目は怯えることも無く目の前の黒髪の貴公子を見据えていた。
白い炎に包まれた剣が男の胴を薙ぐ。
まさに一瞬の攻防だ。
一人は恐るべき突きを、そしてもう一人はそれをかわしてその胴を薙ぐ。
鮮やかにそれをかわし、下がるルファリシオ。
その頬をルナの追撃の一閃が掠める。
(強い……やっぱり今までのルナ様じゃない、まるで別人だ)
エルトは思った。
後ろに飛んだルファリシオの動きの速さもそうだが、それを追って踏み込んだ純白のドレスの女性の動き。
まさに神技と呼べるほどの速さだ。
黒髪の貴公子の頬に浅く赤い線が走る。
ルナと同じ場所につけられた傷。
大きく距離を取るルファリシオ。
そして、その頬をなぞる。
「この俺の顔に傷をつけるとはな、やってくれる」
ルナの頬の傷は塞がっていく。
自ら回復魔法をかけたのだろう。
そしてルファリシオの傷跡も消えていく、こちらは邪神の力によるものか。
イザベルは、純白のドレスを着た女を睨みながら歯ぎしりをした。
(どうしてルナにこんな力が、私の方が優れているはずなのに。ジェラルドだって簡単に靡いたわ、私のほうが女としての魅力があるからよ!)
いずれは自分がファリーンの王妃にもなっていたはずだと思い、イザベルは純白のドレス姿のルナを睨みつける。
「本当に忌々しい女! ルナ、貴方さえいなければ!!」
怒りが力を増幅させたのか、その体から黒いいばらの蔓が再び広がっていく。
イザベルは、ジェーレントの大船団とそちらに向かうロシェルリアの船団を一瞥した。
まもなく戦いは始まるだろう。
それを見て、笑みを浮かべるイザベル。
同時にグリフォンが大きく羽ばたく。
魔獣はイザベルを乗せたまま大空に舞い上がった。
上空から聞こえてくるイザベルの笑い声。
「ふふ、見てなさいルナ。殺してあげる、貴方が愛しているあの男を! そして、貴方を聖女などと崇める愚かな獣人たちを!!」
「イザベル! させないわ!!」
一瞬、冷静な聖王妃の顔にルナの面影が強く宿る。
そして、その傍に半透明のパネルが開いていく。
名前:ルナ・ロファリエル
種族:人間
職業:もふもふの聖女
E・G・K:シスターモード(LV100)
E・G・K:レンジャーモード(LV100)
もふもふモード:獣人化(上級)
力:775
体力:772
魔力:1320
知恵:1520
器用さ:1130
素早さ:1270
運:750
物理攻撃スキル:聖弓技、聖剣技
魔法:回復系魔法、聖属性魔法
特技:【探索】【索敵】【罠解除】【生薬調合】【祝福】【ホーリーアロー】【自己犠牲】
ユニークスキル:【E・G・K】【獣言語理解】【もふもふモード】
加護:【神獣に愛された者】
称号:【もふもふの治癒者】
<ホーリーアローの真の力が、聖弓技により目覚めます>
ステータス画面に描かれた文字。
右手に持っていた剣は腰の鞘にしまわれ、いつの間にかその手には光の弓が握られていた。
そして、シスターが神聖魔法を唱える時に現れる光の翼がルナの背に開いていく。
「ライトニングアロー!」
即座に紡がれた詠唱の直後、神聖なる力が込められた矢が弓から放たれた。
それは以前のルナが放った、聖なる矢とは別次元のものだ。
凄まじい速さで空を切り裂くその光の矢は、イザベルを追っていく。
地上を見て、ルナを嘲笑っていたイザベルの表情が凍り付いた。
かわすことなど敵わぬほどの速さだ。
だが──
聖なる矢は僅かにそれて、イザベルの首筋を掠める。
エルトは叫んだ。
「ルナ様!!」
地上から弓を射たルナの体は、黒い蛇に絡めとられていた。
ルファリシオの黒髪が蛇に変わって、ルナの体を締め上げている。
「くぅ!」
首元を締め上げられ光の弓が消えていく。
苦し気に呻くルナ。
ルファリシオは、イザベルを乗せ船団に向かって羽ばたいていく黒いグリフォンの背を眺めながら言う。
「イザベルめ、勝手な真似を。ふふ、だがまあいい。聖女よ、俺との勝負の最中に隙を晒すとはな、お前程の女でも愛する男の命は惜しいらしい」
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