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110、歓喜の都
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「みんな、ただいま。心配かけてごめんね」
そんなルナを呆然と見つめる仲間たち。
リンがボロボロと涙を零す。
『ルナぁ! ルナルナルナぁあああ!!』
可愛い子リスは涙を流しながらルナの体を駆け上がると、ちっちゃなその手でルナの頬に触る。
『ルナだぁ! やっぱりルナだ! うえ、うぇえええん!!』
『リン、ただいま』
『ぐす……ルナの馬鹿ぁ、死んじゃったと思ったんだから』
ルーとスーもいつもののんびりした彼女たちとは思えない程の勢いでルナの足元に駆け寄ると、大きなグルグル巻きの角をすり寄せる。
『ルナぁ! どこ行ってたの? ルー寂しかったよぉ』
『スーも! ルナにもう会えない思ったら一杯涙が出たもん!』
ルナはしゃがむと二人の頭を撫でる。
『ごめんね、ルー、スー』
大きな目に涙を浮かべて、ルーとスーの後ろをチョコチョコと駆けてきたピピュオ。
『ま~! マァマ!!』
少し大きくなった真っ白なその体を、ルナに押し当てる白鷲竜のヒナ。
ルナはその体を抱き上げた。
『ピピュオ、少し大きくなった? 心配かけてごめんね』
ルナの腕の中で、安心したように丸くなるピピュオ。
ジンがシルヴァンの頭の上で口をパクパクとさせている。
『おい、シルヴァン……嘘じゃないよな。あれってルナだよな?』
『ああ、ジン……』
シルヴァンの目から涙が零れる。
ジンはそんな相棒の姿を見て、思わず鼻をすする。
『へへ。ちくしょう、涙でよく見えねえや!』
そんなシルヴァンたちを見つめるルナの姿。
駆け出すシルヴァン。
『ルナ! ルナルナルナ!!』
『ちょ! シルヴァン! もう、シルヴァンったら』
ルナに抱きつく白銀の狼の姿。
体は大きいが、まるで子供に戻ったかのようなその姿にルナは目を白黒させながらもしっかりと弟の体を抱きしめる。
もふもふとしたその体に身を埋める。
『ただいま、シルヴァン』
『……ルナお帰り』
ジンはそんな相棒の姿を見てもう一度鼻をすすった。
『よかったな、ほんとによかったなシルヴァン』
そう言ってメルと顔を見合わせてルナの肩の上に乗る。
『ジン、メル、ごめんね心配かけちゃって』
『いいんです、ルナさんが帰ってきてくれたら私は……』
『ああ、そうさ!』
仲間の動物たちにもみくちゃにされるルナ。
ルークやミーナはそれを見て微笑む。
懐かしいその光景。
「ルークさん、ミーナ、ただいま。心配かけてごめんね」
「ルナ様ぁ!」
「ルナさん……本当に貴方にはいつも驚かされます。お帰りなさい、私たちの誇り高き王太子妃殿下」
ルナはルークの言葉に首を傾げる。
「王太子妃殿下?」
アレクは動物たちに囲まれるルナを見守りながら、静かに白い墓標を見つめる。
そこには、ルナの名と『美しく、誇り高きエディファンの王太子妃、ここに眠る』と書かれている。
「アレク? これって」
「ああ、お前はもう俺の妻だ。これは生涯、お前以外を妻に迎えないという誓いの証」
「嘘……まだ式だってあげてないのに」
少し残念そうにそう呟くルナ。
それを聞いてアレクはピクンと眉を吊り上げる。
「ふざけるなこのお転婆娘が。何が式だ、俺がどれほど……ええい、もういい!」
そう言って再びルナを抱きしめるアレク。
そして、ピピュオごとお姫様抱っこ状態で腕に抱きかかえる。
「きゃ! アレク!」
「式など今から幾らでも盛大にあげてやる! そうだろう、ルーク」
「ふふ、はい殿下!」
ルナの帰還はさざ波のようにエディファンの都、エディファルリアに伝わっていく。
そして、街は歓喜に沸いた。
国王や王妃がルナを迎えて、獣人たちの都では盛大な祭りが行われた。
ロジュレンスにいる大公やエルザの元にも、それを知らせる早馬が送られる。
純白のドレスを着て皆の前に姿を現した美しい王太子妃の姿に、街中から割れんばかりの歓声が上がる。
まるでパレードのように都を回るアレクとルナ。
人々は口々に言った。
「ああ、こんな日が来るなんて、奇跡だわ!」
「ルナ様ぁ!!」
「お帰りなさいませ!!」
「我らが王太子妃殿下万歳!!」
「ああ、なんてお似合いのお二人なのかしら。素敵だわ!」
日も暮れ、王宮の一室にあるテラスにルナとアレクは立っている。
部屋の中では、パレード中一緒に行進して疲れ果てたのかすやすやと眠る動物たちの姿が。
『ルナぁ、リンもうお腹一杯だよ』
『ルーもぉ』
『スーもお腹一杯』
むにゃむにゃと寝言を口にして、体を寄せ合うリンと羊ウサギの姉妹。
ルナが帰ってきて安心したのかパレードの後、美味しいご馳走を一杯食べた仲間たち。
幸せそうなその顔を、ルナはテラスから眺めて微笑んだ。
アレクはそんなルナを見つめる。
そして、その柔らかいブロンドの髪を撫でた。
月明かりの下、そっと口づけをする二人。
「ルナ、一体あの後何があったのだ?」
「アレク……」
それを聞いてしまうと幻のようにルナが消え去ってしまいそうで、胸にしまっていた問いをアレクは口にする。
命を燃やして花が散るように消えたルナの姿を思い出せば、聞かないわけにはいかない疑問だ。
「獣人の王子よ。それは私が答えてやろう」
一体いつの間に現れたのか。
二人がいるテラスに、一人の美しい貴公子が立っていた。
そんなルナを呆然と見つめる仲間たち。
リンがボロボロと涙を零す。
『ルナぁ! ルナルナルナぁあああ!!』
可愛い子リスは涙を流しながらルナの体を駆け上がると、ちっちゃなその手でルナの頬に触る。
『ルナだぁ! やっぱりルナだ! うえ、うぇえええん!!』
『リン、ただいま』
『ぐす……ルナの馬鹿ぁ、死んじゃったと思ったんだから』
ルーとスーもいつもののんびりした彼女たちとは思えない程の勢いでルナの足元に駆け寄ると、大きなグルグル巻きの角をすり寄せる。
『ルナぁ! どこ行ってたの? ルー寂しかったよぉ』
『スーも! ルナにもう会えない思ったら一杯涙が出たもん!』
ルナはしゃがむと二人の頭を撫でる。
『ごめんね、ルー、スー』
大きな目に涙を浮かべて、ルーとスーの後ろをチョコチョコと駆けてきたピピュオ。
『ま~! マァマ!!』
少し大きくなった真っ白なその体を、ルナに押し当てる白鷲竜のヒナ。
ルナはその体を抱き上げた。
『ピピュオ、少し大きくなった? 心配かけてごめんね』
ルナの腕の中で、安心したように丸くなるピピュオ。
ジンがシルヴァンの頭の上で口をパクパクとさせている。
『おい、シルヴァン……嘘じゃないよな。あれってルナだよな?』
『ああ、ジン……』
シルヴァンの目から涙が零れる。
ジンはそんな相棒の姿を見て、思わず鼻をすする。
『へへ。ちくしょう、涙でよく見えねえや!』
そんなシルヴァンたちを見つめるルナの姿。
駆け出すシルヴァン。
『ルナ! ルナルナルナ!!』
『ちょ! シルヴァン! もう、シルヴァンったら』
ルナに抱きつく白銀の狼の姿。
体は大きいが、まるで子供に戻ったかのようなその姿にルナは目を白黒させながらもしっかりと弟の体を抱きしめる。
もふもふとしたその体に身を埋める。
『ただいま、シルヴァン』
『……ルナお帰り』
ジンはそんな相棒の姿を見てもう一度鼻をすすった。
『よかったな、ほんとによかったなシルヴァン』
そう言ってメルと顔を見合わせてルナの肩の上に乗る。
『ジン、メル、ごめんね心配かけちゃって』
『いいんです、ルナさんが帰ってきてくれたら私は……』
『ああ、そうさ!』
仲間の動物たちにもみくちゃにされるルナ。
ルークやミーナはそれを見て微笑む。
懐かしいその光景。
「ルークさん、ミーナ、ただいま。心配かけてごめんね」
「ルナ様ぁ!」
「ルナさん……本当に貴方にはいつも驚かされます。お帰りなさい、私たちの誇り高き王太子妃殿下」
ルナはルークの言葉に首を傾げる。
「王太子妃殿下?」
アレクは動物たちに囲まれるルナを見守りながら、静かに白い墓標を見つめる。
そこには、ルナの名と『美しく、誇り高きエディファンの王太子妃、ここに眠る』と書かれている。
「アレク? これって」
「ああ、お前はもう俺の妻だ。これは生涯、お前以外を妻に迎えないという誓いの証」
「嘘……まだ式だってあげてないのに」
少し残念そうにそう呟くルナ。
それを聞いてアレクはピクンと眉を吊り上げる。
「ふざけるなこのお転婆娘が。何が式だ、俺がどれほど……ええい、もういい!」
そう言って再びルナを抱きしめるアレク。
そして、ピピュオごとお姫様抱っこ状態で腕に抱きかかえる。
「きゃ! アレク!」
「式など今から幾らでも盛大にあげてやる! そうだろう、ルーク」
「ふふ、はい殿下!」
ルナの帰還はさざ波のようにエディファンの都、エディファルリアに伝わっていく。
そして、街は歓喜に沸いた。
国王や王妃がルナを迎えて、獣人たちの都では盛大な祭りが行われた。
ロジュレンスにいる大公やエルザの元にも、それを知らせる早馬が送られる。
純白のドレスを着て皆の前に姿を現した美しい王太子妃の姿に、街中から割れんばかりの歓声が上がる。
まるでパレードのように都を回るアレクとルナ。
人々は口々に言った。
「ああ、こんな日が来るなんて、奇跡だわ!」
「ルナ様ぁ!!」
「お帰りなさいませ!!」
「我らが王太子妃殿下万歳!!」
「ああ、なんてお似合いのお二人なのかしら。素敵だわ!」
日も暮れ、王宮の一室にあるテラスにルナとアレクは立っている。
部屋の中では、パレード中一緒に行進して疲れ果てたのかすやすやと眠る動物たちの姿が。
『ルナぁ、リンもうお腹一杯だよ』
『ルーもぉ』
『スーもお腹一杯』
むにゃむにゃと寝言を口にして、体を寄せ合うリンと羊ウサギの姉妹。
ルナが帰ってきて安心したのかパレードの後、美味しいご馳走を一杯食べた仲間たち。
幸せそうなその顔を、ルナはテラスから眺めて微笑んだ。
アレクはそんなルナを見つめる。
そして、その柔らかいブロンドの髪を撫でた。
月明かりの下、そっと口づけをする二人。
「ルナ、一体あの後何があったのだ?」
「アレク……」
それを聞いてしまうと幻のようにルナが消え去ってしまいそうで、胸にしまっていた問いをアレクは口にする。
命を燃やして花が散るように消えたルナの姿を思い出せば、聞かないわけにはいかない疑問だ。
「獣人の王子よ。それは私が答えてやろう」
一体いつの間に現れたのか。
二人がいるテラスに、一人の美しい貴公子が立っていた。
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