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111、二人の神獣
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「貴方は!」
テラスに立っているその貴公子の姿を見て、アレクは思わず声を上げた。
月光のように美しい光を帯びた髪。
そして銀色の狼耳。
「久しいな、獣人の王子よ」
「神獣セイラン! どうして貴方が!?」
突然現れたセイランの姿に、アレクが声を上げるのも当然だろう。
アレクの問いにセイランは何故かばつが悪そうに軽く咳ばらいをすると、澄んだ声で夜空に向かって呼びかける。
「フェニックス! 何をしている? お前が来なくては話になるまい!」
少し怒りがこもったファリーンの神獣の声に、ルナはとりなすような声で言う。
「セイラン様そんなに怒らなくても……」
「いいのだ、あの男にはこれぐらいでなければ通じぬ」
セイランのその声に、アレクは思わず空を見上げる。
神獣の視線の先にある夜空。
「あれは!」
遥か大空に美しい何かが羽ばたいている。
白い大きな鳥だ。
それは、少し躊躇した様に滑空すると大きく翼を羽ばたかせて王宮を目指してやってくる。
なめらかで美しい動きだが、まるで光の矢のような速さだ。
そして、それは王宮の上空でもう一度翼を大きく羽ばたかせるとその勢いを止めてテラスに向かって舞い降りてくる。
ただし、人の姿になって。
白く燃える炎のような美しい髪。
野性味を感じさせるその美貌。
それは、天上の貴公子ともいうべきセイランに引けを取らない。
背中に広がる白い翼。
まるで重力のくびきから解き放たれているかのようにふわりとテラスに着地するその姿。
女性なら誰でも目を奪われるだろう。
「ちっ! どうして我が呼びつけられねばならぬのだ」
美しいその貴公子は、ぶすっとした顔でアレクとルナを眺める。
そしてルナを見つめると言った。
「嬉しそうな顔をして。それほどその男がいいのか? リディア……いや、今世ではルナだったな」
「フェニックス、まだ怒ってるの?」
ルナの言葉にツンとした表情で、ぷいっと顔を背ける美しい貴公子。
子供のようなその態度を見てセイランはふぅとため息をつく。
一方で、突然現れたもう一人の神獣の姿にアレクは動揺しながらもルナに尋ねる。
「お、おいルナ。フェニックスとはあの神獣フェニックスの事か?」
「え、ええ……」
歯切れが悪いルナの言葉。
アレクは首を傾げながらフェニックスに一礼する。
「神獣フェニックス。ジェーレントとの海戦の折は力を貸して頂き感謝している。エディファンの民を代表して礼を申し上げる」
邪神の器と化したルファリシオ。
その野望と打ち砕いたのはルナが放った一本の矢だ。
そこには、確かにフェニックスの力が込められていた。
フェニックスはアレクをチラリと見ると答える。
「お前を助けたのではない。ルナを助けたのだ。我のお気に入りを、前世だけではなく今世までも独占するとはあつかましい男だ。それにルナ、この男は前世の記憶が無いのであろう?」
「え、ええ……でもいいの」
はにかむように笑うルナを見て、益々不機嫌になっていくフェニックス。
その時、ミーナが慌てて部屋に駆け込んでくる。
「アレクファート殿下、ルナ様! 今王宮の上に大きな炎の鳥が!!」
ルークと衛兵たちも一緒だ。
「この部屋に舞い降りたように見えと報告が! ルナさん、殿下、ご無事ですか!?」
ルナとアレクの傍に立つ人影に衛兵たちは殺気立つ。
「アレクファート殿下! 王太子妃殿下!!」
「お、おのれ、狼藉ものめ!!」
「何者だ!」
思わず剣を抜く兵士たち。
その騒ぎに動物たちも目を覚ます。
ルナが帰ってきたことが嬉しくて、柄にもなくパレードではしゃいだシルヴァンはまだ眠そうだ。
『なんだぁ、どうしたんだよ?』
ジンが寝ぼけたまま飛び起きて、シルヴァンの頭の上に飛び乗る。
『ど、どうしたんだ! 剣を抜いてるぞ! 大変だぁ敵が攻めて来たぞ!? ルナはもう渡さない、俺たちが守るんだ!!』
その声を聞いて目を覚ましたリンやスーも慌てて駆けまわる。
『ルナはどこ! 敵になんて渡さないんだから!!』
『スーだって戦う!』
『ルーも!!』
勇ましく可愛らしい角を振りかざす寝ぼけ眼の羊ウサギたち。
部屋の中にルナの姿が無いのを見て部屋中を駆け回る。
可愛らしいその姿。
そして、テラスにその姿を見つけてリンが真っ先にその肩に駆けあがる。
『良かったぁ! ルナがまたいなくなっちゃったかと思ったんだから。悪い奴はどこなの! リンがルナを守るもん!!』
ルナはその姿を見てふぅとため息をつきながら指で頭を撫でる。
『あ、あのねリンそうじゃないのよ』
ルーやスーもぴょんぴょんと跳ねてくる。
『悪者はどこ!?』
『スーがやっつけるんだから!』
シルヴァンとジンもやってきて、ルナを守るように傍に立つと牙を剥いた。
『ルナは渡さないぞ! なあ、シルヴァン!!』
『もちろんだジン!! って、ん?』
ミーナや衛兵たち、そして仲間たちが駆け回りすっかりすっかり騒がしくなった部屋。
ピピュオとメルはまだ寝ぼけ眼で顔を見合わせている。
『ピュオ?』
『どうしたんですか? 騒がしい』
メルの冷静な声にようやく目が覚めたのか、シルヴァンは唖然として目の前に立っている人物と見つめる。
半ば呆れた様な顔をして息子を眺める月光の貴公子。
『シルヴァン、まったく騒がしいことだ。少しは大人になったと思ったが、やはりまだ子供だな』
『父さん! どうしてここに!? ルナがいなくなってからずっと探してたんだぞ!』
目を見開くシルヴァン。
ジンも驚いた様子でセイランを眺める。
『ほんとだ、セイラン様だ! どうしてこんなところに!?』
『『『セイラン様!!』』』
リンたちも訳が分からないと言った様子でセイランを見つめている。
揃って小首をかしげる姿が愛らしい。
すっかり大騒ぎになった部屋の中を見てルナはふぅとため息をついた。
『もう、仕方ないわね。せっかくだから皆にも話すわ』
そう言ってルナは、アレクたちはもちろん動物たちにも自分がいなくなっていた時のことを話して聞かせる。
ルナの話を聞いてシルヴァンは目を丸くする。
『それじゃあ、ルナは今まで……』
『ええ、ボルフェレス火山にいたの。不死鳥の神殿があるフェニックスの聖域よ。色々大変だったんだから』
テラスに立っているその貴公子の姿を見て、アレクは思わず声を上げた。
月光のように美しい光を帯びた髪。
そして銀色の狼耳。
「久しいな、獣人の王子よ」
「神獣セイラン! どうして貴方が!?」
突然現れたセイランの姿に、アレクが声を上げるのも当然だろう。
アレクの問いにセイランは何故かばつが悪そうに軽く咳ばらいをすると、澄んだ声で夜空に向かって呼びかける。
「フェニックス! 何をしている? お前が来なくては話になるまい!」
少し怒りがこもったファリーンの神獣の声に、ルナはとりなすような声で言う。
「セイラン様そんなに怒らなくても……」
「いいのだ、あの男にはこれぐらいでなければ通じぬ」
セイランのその声に、アレクは思わず空を見上げる。
神獣の視線の先にある夜空。
「あれは!」
遥か大空に美しい何かが羽ばたいている。
白い大きな鳥だ。
それは、少し躊躇した様に滑空すると大きく翼を羽ばたかせて王宮を目指してやってくる。
なめらかで美しい動きだが、まるで光の矢のような速さだ。
そして、それは王宮の上空でもう一度翼を大きく羽ばたかせるとその勢いを止めてテラスに向かって舞い降りてくる。
ただし、人の姿になって。
白く燃える炎のような美しい髪。
野性味を感じさせるその美貌。
それは、天上の貴公子ともいうべきセイランに引けを取らない。
背中に広がる白い翼。
まるで重力のくびきから解き放たれているかのようにふわりとテラスに着地するその姿。
女性なら誰でも目を奪われるだろう。
「ちっ! どうして我が呼びつけられねばならぬのだ」
美しいその貴公子は、ぶすっとした顔でアレクとルナを眺める。
そしてルナを見つめると言った。
「嬉しそうな顔をして。それほどその男がいいのか? リディア……いや、今世ではルナだったな」
「フェニックス、まだ怒ってるの?」
ルナの言葉にツンとした表情で、ぷいっと顔を背ける美しい貴公子。
子供のようなその態度を見てセイランはふぅとため息をつく。
一方で、突然現れたもう一人の神獣の姿にアレクは動揺しながらもルナに尋ねる。
「お、おいルナ。フェニックスとはあの神獣フェニックスの事か?」
「え、ええ……」
歯切れが悪いルナの言葉。
アレクは首を傾げながらフェニックスに一礼する。
「神獣フェニックス。ジェーレントとの海戦の折は力を貸して頂き感謝している。エディファンの民を代表して礼を申し上げる」
邪神の器と化したルファリシオ。
その野望と打ち砕いたのはルナが放った一本の矢だ。
そこには、確かにフェニックスの力が込められていた。
フェニックスはアレクをチラリと見ると答える。
「お前を助けたのではない。ルナを助けたのだ。我のお気に入りを、前世だけではなく今世までも独占するとはあつかましい男だ。それにルナ、この男は前世の記憶が無いのであろう?」
「え、ええ……でもいいの」
はにかむように笑うルナを見て、益々不機嫌になっていくフェニックス。
その時、ミーナが慌てて部屋に駆け込んでくる。
「アレクファート殿下、ルナ様! 今王宮の上に大きな炎の鳥が!!」
ルークと衛兵たちも一緒だ。
「この部屋に舞い降りたように見えと報告が! ルナさん、殿下、ご無事ですか!?」
ルナとアレクの傍に立つ人影に衛兵たちは殺気立つ。
「アレクファート殿下! 王太子妃殿下!!」
「お、おのれ、狼藉ものめ!!」
「何者だ!」
思わず剣を抜く兵士たち。
その騒ぎに動物たちも目を覚ます。
ルナが帰ってきたことが嬉しくて、柄にもなくパレードではしゃいだシルヴァンはまだ眠そうだ。
『なんだぁ、どうしたんだよ?』
ジンが寝ぼけたまま飛び起きて、シルヴァンの頭の上に飛び乗る。
『ど、どうしたんだ! 剣を抜いてるぞ! 大変だぁ敵が攻めて来たぞ!? ルナはもう渡さない、俺たちが守るんだ!!』
その声を聞いて目を覚ましたリンやスーも慌てて駆けまわる。
『ルナはどこ! 敵になんて渡さないんだから!!』
『スーだって戦う!』
『ルーも!!』
勇ましく可愛らしい角を振りかざす寝ぼけ眼の羊ウサギたち。
部屋の中にルナの姿が無いのを見て部屋中を駆け回る。
可愛らしいその姿。
そして、テラスにその姿を見つけてリンが真っ先にその肩に駆けあがる。
『良かったぁ! ルナがまたいなくなっちゃったかと思ったんだから。悪い奴はどこなの! リンがルナを守るもん!!』
ルナはその姿を見てふぅとため息をつきながら指で頭を撫でる。
『あ、あのねリンそうじゃないのよ』
ルーやスーもぴょんぴょんと跳ねてくる。
『悪者はどこ!?』
『スーがやっつけるんだから!』
シルヴァンとジンもやってきて、ルナを守るように傍に立つと牙を剥いた。
『ルナは渡さないぞ! なあ、シルヴァン!!』
『もちろんだジン!! って、ん?』
ミーナや衛兵たち、そして仲間たちが駆け回りすっかりすっかり騒がしくなった部屋。
ピピュオとメルはまだ寝ぼけ眼で顔を見合わせている。
『ピュオ?』
『どうしたんですか? 騒がしい』
メルの冷静な声にようやく目が覚めたのか、シルヴァンは唖然として目の前に立っている人物と見つめる。
半ば呆れた様な顔をして息子を眺める月光の貴公子。
『シルヴァン、まったく騒がしいことだ。少しは大人になったと思ったが、やはりまだ子供だな』
『父さん! どうしてここに!? ルナがいなくなってからずっと探してたんだぞ!』
目を見開くシルヴァン。
ジンも驚いた様子でセイランを眺める。
『ほんとだ、セイラン様だ! どうしてこんなところに!?』
『『『セイラン様!!』』』
リンたちも訳が分からないと言った様子でセイランを見つめている。
揃って小首をかしげる姿が愛らしい。
すっかり大騒ぎになった部屋の中を見てルナはふぅとため息をついた。
『もう、仕方ないわね。せっかくだから皆にも話すわ』
そう言ってルナは、アレクたちはもちろん動物たちにも自分がいなくなっていた時のことを話して聞かせる。
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