トラウマSubの愛し方

卵丸

文字の大きさ
5 / 17

Safe word

しおりを挟む
家に帰ると珍しく母さんが僕より早く仕事から帰ってきていた。

「渚、おかえりなさい」

「母さん今日は仕事早く終わったの?」

「そうなの、だからお母さんが今日晩御飯作ったのよ」

今日の晩御飯は餃子とポテトサラダだった。

「母さん、ありがとう」

「何言ってんのよ、いつも渚が作ってるのにたまにはお母さんらしい事させてよ。後デザートにプリン買ったから。」

僕と母さんは晩御飯を一緒に食べた。その時TVがついていて、ニュース番組を流していた。

『Sub dropを起こした犯人が逮捕されました。犯行はパートナーであるSubがSafe wordを決めて欲しいと言われ腹が立ち無理矢理playをしたもよ・・・』

母さんが無言でリモコンを持ってTVを消した。母さんは溜息をついた後俺に話しかけてきた。

「餃子、久しぶりに作ったから餡を多く入れ過ぎて、破れたんだよね。」

母さんが僕の為に話題を振ってくれてるのがわかったので僕も話を聞いた。

「でも、母さんの餃子美味しいよ。口の中臭くしないようにニンニク入れてないんだよね?」

「まぁね私の口が臭くなるの嫌だからね。」

その時母さんと会話をしながら頭は別の事を思っていた。

『あいつ脅しだけどパートナーのくせにSafeword無くcommandを放ったな』

その後プリンを食べて、一緒に洗い物をした。


お風呂に入った後、宿題をしていたら会話アプリから通知が来た。

『誰からだろう?まぁ日和からだろうな・・・・・ゲェ』

通知は瀬戸からだった。

[今日は楽しかったな。次は二人で行きたいな 明日の放課後空き教室に集合な]

「わすれないでね?」と三毛猫のスタンプも付いてきた。

『明日はSafewordの事を言わなきゃ僕自信が酷い目に遭うな・・・。』



放課後になり、僕は重い足取りで空教室に向かった。 日和はバスケの練習試合の助っ人として今は居なかった。 教室を確認すると瀬戸は中に居てスマホを弄っていた。 僕は深呼吸をしてからドアを開けた。開いた音に瀬戸は気づいて、手を挙げていた。

「来てくれたんだ」

「来なきゃ皆にバラすんだろ?」

「一応そのつもり、じゃあ始めようか?」

「待って!!」

「Subに命令されるとは思わなかったよ。どうしたの?」

「・・・・・Safeword決めない?」

瀬戸はキョトンとしてから僕に質問してきた。

「せーふわーどって何?」

まさかのSafewordも知らずに僕にPrayを持ち掛けてきたのかと思い呆れてしまった。

「SafewordはSubが本気で嫌な時に使う言葉だよ。本当はPray前に決めなきゃいけないんだ。」

「へ~そんなのがあるんだ!でさ、Safewordはどっちが決めるの?」

「・・・別にどっちでもいいんじゃない?」

『どうせ偽りだし』

「うーん・・・じゃあ『クレーム』でいい?」

「クレーム?」

「あぁ、バイトの時、電話のクレームが嫌すぎてさ、一応俺が嫌な言葉の方がいいだろ?」

言葉を決めるのに1分も経っていなかったが瀬戸なりに考えてくれたらしい。

「じゃあ、『クレーム』で良いよ」

「うん、Safewordも決まったことだし、始めようか?」

僕はゴクリと唾を飲み込んだ。

瀬戸は僕の顔を真剣に見つめCommandを放った。

「come(おいで)」

僕は心臓がバクバクしながら瀬戸の方に向かった。すると瀬戸が僕の頭を優しく撫でてきた。

「Good(いい子)」

そう言われ僕はドクンと身体中に電流みたいのが流れてきた。初めての感覚なので、頭の中がボーっとしてきた。

壮真side

渚の頭を撫でてやると渚の身体が震え出した。

「渚大丈夫?」

渚の顔を覗き込むと顔を赤くして、目がトロンと定まってなくて、口を小さく開けている渚の顔が俺を見つめていた。

「・・・ん?」

「おーい渚?」

俺が渚の名前を言うと、渚は舌足らずな物言いで笑顔で返事をした。

「はぁ~い」

返事をしたかと思うと、俺の方に頭を突き出した。

「何?」

「・・・へんじをしたから、あたまをなでてよぉ」

『・・・・・確かバイトの先輩が言ってたけどこれはSubスペースに入ったな。』

俺が渚の頭を撫でてやると、更に林檎の様に頬っぺたが赤くなり嬉しそうにふにゃりと笑った。

「なでられた・・・うれしいなぁ~!」

『可愛すぎないか?・・・・・少しイタズラしてみるか!』

俺はスマホを取り出し、動画にして渚を撮ることにした。

「渚は俺が好き?」

「だぁいすきだよぉ」

「新村よりも?」

「うん、ひよりよりもすぅき」

「俺の名前は?」

「せぇと」

「下の名前は?」

「そーぅまぁ!」

「全部答えて偉いね!」

「うん!ぼぉくえらぁい!」

ここで動画を終了させた。

『新しい弱みも握れたし、新村に勝った!』

俺が心の中でドヤ顔をしていると、頬を膨らませ、俺の右袖を掴んでいる渚がいた。

「かわっ・・・どうしたの?」

「こたえたからぁ、ほぉめてぇよぉ!」

俺は少し、楽しくなって魔が差してしまった。

「じゃあ、ご褒美はキスにしてあげるけど渚からしてね」

俺は一呼吸をしてから、Commandを放った。

「Kiss(キス)」

俺はわくわくしたが、渚は顔を青白くして、口をわなわなさせてSafewordを放った。

「く・・・く・・・・・くれーむ・・・・・。」

Safewordを放った途端、渚の瞳から涙がボロボロ零れ出した。

「渚!!」

「くぅ・・ふぅ・・・うぇ・・・・・。」

俺は頭が混乱しながら、渚の背中を撫でて、先輩に教えて貰った。Aftercareをしてみた。

「落ち着いてね、渚はいい子だねゆっくり"おやすみ"」

俺はCommandを放ってみると、渚は俺の腕の中でぐっすり寝ていた。

『多分・・・Kissが良くなかったな。』

俺は反省しながら渚を姫様抱っこして、保健室に運んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

不器用な僕とご主人様の約束

いち
BL
敬語のクラブオーナー×年下のやんちゃっ子。遊んでばかりいるSubの雪はある日ナイトクラブでDomの華藍を知ります。ちょっと暑くなってくる前に出会った二人の短編です。 🍸カンパリオレンジのカクテル言葉は初恋だそうです。素敵ですね。 ※pixivにも同様の作品を掲載しています

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

不透明な君と。

pAp1Ko
BL
Dom/Subユニバースのお話。 Dom(美人、細い、色素薄め、一人称:僕、168cm) 柚岡璃華(ユズオカ リカ) × Sub(細マッチョ、眼鏡、口悪い、一人称:俺、180cm) 暈來希(ヒカサ ライキ) Subと診断されたがランクが高すぎて誰のcommandも効かず、周りからはNeutralまたは見た目からDomだと思われていた暈來希。 小柄で美人な容姿、色素の薄い外見からSubだと思われやすい高ランクのDom、柚岡璃華。 この二人が出会いパートナーになるまでのお話。 完結済み、5日間に分けて投稿。

世界で一番優しいKNEELをあなたに

珈琲きの子
BL
グレアの圧力の中セーフワードも使えない状態で体を弄ばれる。初めてパートナー契約したDomから卑劣な洗礼を受け、ダイナミクス恐怖症になったSubの一希は、自分のダイナミクスを隠し、Usualとして生きていた。 Usualとして恋をして、Usualとして恋人と愛し合う。 抑制剤を服用しながらだったが、Usualである恋人の省吾と過ごす時間は何物にも代えがたいものだった。 しかし、ある日ある男から「久しぶりに会わないか」と電話がかかってくる。その男は一希の初めてのパートナーでありSubとしての喜びを教えた男だった。 ※Dom/Subユニバース独自設定有り ※やんわりモブレ有り ※Usual✕Sub ※ダイナミクスの変異あり

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

十年越しの恋心、叶えたのは毒でした。

碓氷雅
BL
支配や管理で愛情を伝えんとするDomとそれに応えることで愛情を伝えんとするSub。 そんなDom/Subユニバースの世界。 十年、忘れることはなかった初恋の相手を、とある会場で見かける。 「ワインのすべてに青酸カリを入れた!」その一言でパニックに陥った中のことだった。その相手はワイングラスを傾けていて――?! ▷◀▷◀▷◀▷◀▷◀▷◀▷◀▷◀▷◀▷◀▷◀▷◀▷◀▷◀ 第二章を書き終わりましたので小出しにしていこうと思います。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
ある日ハイランクDomの榊千鶴に告白してきたのは、Subを怖がらせているという噂のあの子でー。 更新がずいぶん遅れてしまいました。全話加筆修正いたしましたので、また読んでいただけると嬉しいです。

交際0日婚の溺愛事情

江多之折(エタノール)
BL
死にたくはない。でも、生きたくもない。ふらふらと彷徨う根無し草は、世界の怖さを知っている。救いの手は、選ばれた者にだけ差し伸べられることも知っている。 だから緩やかに終わりを探して生きていた。 ──たった数回の鬼ごっこを経験するまでは。 誠実すぎて怖い人は、4回目の顔合わせで僕の夫となる。 そんな怖がりな男と誠実な男の、結婚生活の始まり。 ■現実だけど現実じゃない、そんな気持ちで読んでください。 ■家庭に関してトラウマを抱えている方は読まない方が良いと思います。

処理中です...