トラウマSubの愛し方

卵丸

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collar

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~渚side~

壮真に告白されたあの日から十年経った。 僕は大人になり、一人でマンションに暮らしていた。 朝、目を覚まして食パンにいちごジャムを塗ってホットコーヒーを注いで、パンを齧りながらテレビの電源を入れた。

『次のニュースです。第五十回全国柔道大会、新村 日和選手が銅メダルを獲得しました。 』

そのニュースが嬉しくてパンを落として、テーブルをジャムで汚してしまった。
あれから日和は柔道に取り組み、彼は柔道の選手になり今では日本の星とも言われている、中性的だった顔が今では凛々しくなって身長も178cmあり、更に男前になっていた。
すると電話がかかってきて出ると日和からだった。

『ナギ、今テレビ観てるか?』

「観てるよ!日和おめでとう!」

『ありがとう!今、日本に到着した処何だけど今から仕事か?』

「そうなんだよね、日和は今からどうするの?」

『多分インタビューされるから、一日中大変だと思う。』

日和は苦笑いをしていたが、多分嬉しそうだと思った。

「僕の友達はかっこいいなあ!」

『照れんじゃねーか、じゃあ切るから仕事頑張れよ』

「ありがとう日和、じゃあね」

僕は電話を切ると、ジャムで汚したテーブルを拭いて、乾燥付きの洗濯機を回して洗い物をして、自分の職場に向かった。

「行ってきます!」



「おはようございます。」

僕はデパートの中に入っているお店で働いている。

「おはようございます 上原さん、今日はバングルが入荷されたから、宜しくね。」

「はい!」

黒縁眼鏡をかけたほんわかしている店長に言われて僕はバングルを店先に飾った。

このお店はcollar専門店で色んなDom/Subのお客さんがいらして、結構楽しい接客だった。僕を含めて店員は八人で今日は僕と女性二人で店番をする事になった。

開店時間まで後十分になった時、僕はおまじないとして飾りがない群青色のチョーカーを付けた。

「なぎちゃん、今日もパートナーに貰ったチョーカー付けてるね!」

「運命のパートナーから貰ったチョーカー羨ましいなぁ~。」

「でも、これ結構ボロボロになったよね?」

「えぇだってもう、五年以上付けてるので」

このチョーカーは専門学校を卒業した後に壮真からプレゼントされた物だ。

『・・・指輪はまだ買えないから、せめて・・御守りとして・・・』

照れながら渡してくれて僕は嬉しかった。そして明日に壮真は日本に帰ってくるのだ。

「ふふ・・・。」

「なぎちゃんどうしたの?」

「あっ別に何もありません!」

僕は顔を赤くして言い訳をしたが二人には通じなかった。

「まあ、パートナーの事を考えてたんでしょうけど」

「う・・・そうです。」


大体のお客様はチョーカーやネクレスを選ぶのが多かった。そして、予想外なお客様がこのお店に現れた。それはお昼すぎの事。

「いらっしゃいませ・・・・・。」

夫婦のお客様がいらしたが、旦那さんの銀髪と山吹色の瞳に見覚えがあった。僕は人違いだと願いたかったが名前で確信してしまった。

「辰己さん、私これがいいわ!」

「俺は嫌だね、ジャラジャラしてるし、石が邪魔」

「じゃあ、これは?」

「チョーカーは論外、君が良くても俺はSubと間違われるのは嫌だね」

そこにいたのは、大人びた大久保 辰己とパートナーであろう女性だった。

すると奥さんは顔を膨らませて、辰己に少し怒った様に聞いていた。

「じゃあ、どんなのがいいのよ!」

「・・・・普通にシンプルな物が良い」

辰己はため息を吐いて答えると、僕に気づいた奥さんが近づいてきて申し訳無さそうに聞いてきた。

「すみません、シンプルなcollarは有りますか?」

「はい、今日入荷されたバングルはいかがでしょうか?」

僕はバングルを二人に薦めると奥さんはキラキラした目を輝かせていた。一方辰己はバングルを見つめて「良いな」と一言呟いた。

「こちらの商品はシンプルで軽くて取り外しも簡単でこのお店で大人気なんですよ。種類も
ゴールド シルバー ネイビーが有りますけど、いかがですか?」

その問いに辰己が答えたが僕は震えるのを我慢した。

「私がシルバーにします。みおはどうする?」

「う~ん・・・ゴールドでお願いします。」

「ありがとうございます。では袋にお包みしますので少しお待ちください。」

袋を包み、辰己達の処に行くと、奥さんが居なくなっていた。少し、顔が強ばりながら辰己に聞いた。

「お客様、奥様は何方に?」

「あぁ、彼女は御手洗に行ったよ・・・・・久しぶりだね、渚くんだよね?」

「・・・・・忘れて欲しかったんだけど。」

「あはは、酷いなぁ。意外だよね、瀬戸くん以外のDomと関わりたくないと思ったのに」

「・・・・僕のエゴかも知れないけど幸せになるパートナーを見届ける場所で働きたかったんだよ。」

「なるほどね・・・しかし独占欲が強いよね」

辰己は自分の首をつついて、僕のチョーカーの事を言った。

「羨ましいでしょ?・・・・大久保も今の人が運命の人?」

僕の問いに彼は苦笑いをして、話してきた。

「運命ってゆうか、澪が一方的に言ってるだけなんだけど・・・まぁプレイは悪くないよ。」

「・・・・・そうなんだね」

すると奥さんが御手洗から帰ってきたので、お会計をしてお帰りになろうとしていたその時、辰己が僕の耳元で囁いた。

「・・・ご来店ありがとうございました。」

僕は辰己が放った言葉に呆れるしか無かった。

『君とのプレイ、好きだったよ。』

僕は誰にも聞かれないようにボソッと呟いた。

「タラシめ!」
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