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【第五話】回想
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夏祭りが終わり蒼井は一人、帰りの終電の中、あの時の楓の心境を思い返していた。
様々な余韻は、脳内でスクロールさせながら。
ぼんやりと外を眺めていると、次第に雨が降り出してきた。蒼井は音楽を聴こうと、ポケットにしまっていたイヤホンを、おもむろに取り出す。
しかしそれは、蒼井が思い悩む余韻を連想させる。
蒼井は、闇雲に絡まったイヤホンを解こうとする。
-二時間前-
時刻は午後5時をまわる頃、夏祭りを満喫した蒼井達は、屋台で取り寄せた物を抱えながら、来た道を戻っていた。
蘭「今年の花火、とても綺麗だったね~!」
優美「そうですね!、楓ちゃんも金魚すくい上手だった
よ!」
楓「えへへ、そうかな…?」
斗貴「僕もまた皆と行きたいなぁー!」
凛「お前はただ食いたいだけだろ。」
蘭「あ、楓ちゃんは帰りは送迎かな?」
楓「いやっ、電車で…まだ来ないんですよね…。」
蘭「そっかぁ。あ!、私の親が迎えに来たから行く
ね!」
蘭はそう言うと、駐車場に止まっている迎えの車へ足早に向かって行った。
その後、優美も同じく、親の送迎で帰っていき、斗貴は、自前の自転車に乗り帰って行った。
凛「俺達3人だけになったな。」
蒼井「そーだなぁ…。」
楓が蒼井に対して何か言いたげな表情をしているのを、凛は気付いていた。
凛「んじゃ、俺もそろそろ行くわ。」
蒼井「あぁ、んじゃまたなぁ!」
凛はそう言うと、来た道を戻り、横断歩道を渡って行く。蒼井と楓は、1人で帰って行く凛の後ろ姿を見つめていた。
こうして、蒼井と楓だけが駅のホームに取り残された。同時に蒼井の心拍数が段々と上がっていく。
楓を見ると、頬を赤らめながら少々息が荒くなっているのが見え、更に鼓動が早くなる。
蒼井は平然を装いながら、公園までの道のりを歩む。
蒼井「まぁ、電車まで時間があるから、公園でやっ…休
むかなぁ。」
楓「そうですね…!」
2人は、ゆっくりと公園までの道のりを進む。お互い話しかけるきっかけを模索するあまりに、沈黙が続く。
蒼井は大きく、そして静かに深呼吸をして、話題を持ちかけようと声をかけようとする。
蒼井「あのっ…、」
楓「あのっ…!」
2人の話しかけるタイミングと視線が重なる。
その拍子に蒼井はまた情けない声で驚く。
蒼井「うわっ!、か、被ると思わなかった…!」
楓は下を向くと、クスクスと笑いだす。蒼井は頬を真っ赤にさせるも、どこか嬉しいような照れくさくも、ほんのり楽しい気持ちだった。
そして、2人は公園にたどり着き、街灯に照らされたベンチに腰掛ける。景色は薄暗く、周りからはコオロギや鈴虫の声が心地よく聞こえてくる。
穏やかな風と共に、目の前で木の葉が宙を舞う中、蒼井が口を開く。
蒼井「そういえばさ…、あの時のを返そうと思ってて
さ。」
楓「え…?、返すもの…?」
蒼井「あの時の御守り、実は持っててさ。」
楓「え!、拾っててくれたんですか!」
蒼井は、ポケットから健康祈願の御守りを渡そうとす
るが、楓は手を出そうとしなかった。
楓「大丈夫ですよ…!、私には要らないものです
し…!。」
蒼井「え、でも…。」
2人の間に沈黙が流れる。しばらくすると、楓から思いがけない言葉をかけられる。
楓「…あの、先輩。」
蒼井「ん…?、どうしたの?」
楓「…、どうして、こんな私に声をかけてくれたんです
か…?」
蒼井「えっ、あ~…、うーん…。」
楓「…?」
蒼井「なんでだろう…。」
楓「あ、なんかごめんなさい…。」
蒼井「なんだか、楓ちゃんって…、前の自分を見てるよ
うだったからさ…。」
楓「えっ、そうなんですか…?」
蒼井「僕もさ…!、独りでいた方が気が楽だったりする
んだよね。でも、本当は話しかけて欲しいし、皆
と仲良くしたかったんだ。へへ、図々しいよ
ね…!、独りでいたいくせに、話しかけ…、」
すると、楓が話を遮るように言葉を重ねる。
楓「ううん…!。そんな事ないですよ…!」
蒼井「え…、」
楓「だって、先輩は良い人ですよ。」
蒼井「…、僕がそんなに良い人に見える…?」
楓「はい…!、どうして…ですか…?」
蒼井「僕は良い人なんかじゃないよ。そう見えるだけな
んだ…。困ってる人がいても、見て見ぬふりをし
ちゃうし、平気で嘘とかもつくし、親にだって、
迷惑ばかりかけてるしさ…。」
楓「…、」
蒼井「そんな自分が…嫌いなんだ…。」
楓「…先輩。」
蒼井「…あっ!ごめん…ごめん!重くさせちゃった
ね…。そろそろ電車の時間だもんね…!」
時刻は午後6時半を迎える頃、2人は改札口へ向かっていた。蒼井は何処か心にぽっかりと穴が空いた様な感覚だった。しかし、公園での出来事を振り返ると、まるでデートをしていたかのような感覚に晒され、再び頬を赤らめる。
楓「今日は、誘ってくれてありがとうございまし
た…!」
蒼井「全然大丈夫だよ…!、むしろこんな時間まであり
がとね…!」
楓「いえいえ…!」
蒼井「…あの、」
楓「どうしました…?」
蒼井「…えっとぉ…、」
蒼井は何かを言いたげにするが、緊張のせいで言葉が出ずにいる。楓は、蒼井が発言するのを、待ち遠しそうに見ていた。
蒼井「あっ…、やっぱりなんでも無い…!。」
楓「そっ…そうですか…!」
蒼井「気をつけてね…!」
楓「はい!、バイバイ先輩。」
楓は小さく手を振り、改札口を出て駅のホームに向かって行った。その背中を蒼井はただ見つめていた。
微量の後悔が、蒼井の恋心を曇らせる。
蒼井「メール交換…、言っとけば良かったな…。」
晴れない気持ちを抱え、蒼井も自分の終電に向かって行った。
そして、蒼井は一人電車の中で絡まったイヤホンを解こうとする。考えれば考えるほど、より複雑に絡まっていく。
まるで、蒼井の心境を具現化したかのように。
あの時、楓は何で泣いていたんだろう。
先輩は良い人って言われたけど、実際はそんなこと無くて、立場が違えば僕も見て見ぬふりをしてしまう傍観者に過ぎないのに。
外で雨が降り出している中、イヤホンを解けずにいる蒼井。徐々に鬱陶しさが積もり、諦めてホケットにしまい込んだ。
そのまま眠気に身を委ねるように、蒼井は居眠りについていく。
しばらくして蒼井は家に着き、玄関を開ける。
母「おかえりなさい、こんな時間までどこに行ってたの
よ…!」
蒼井「別に…、祭りに行ってただけ。」
母「そうだったの。なら出かける時に行ってく…、」
蒼井「別にどこ行ったって良いじゃん…!」
蒼井はぶっきらぼうに返答すると、半ば強引に2階への階段を登り、自分の部屋に向かう。
母「ちょっと…!、ご飯はー?。」
母の質問を無視し、蒼井は自分の部屋に戻って行った。
蒼井は倒れ込むようにベッドに横たわると、スマホを取り出し、友人達のグループトークを見返していた。
そこには、花火の動画や皆がふざけ合う写真などが沢山送られていた。
ゆっくりとスクロールしながら振り返る蒼井の瞼が段々と重くなっていく。そして、いつの間にか居眠りをしてしまいそうになる時、蒼井のお腹が鳴り出した。
蒼井「あぁ、お腹空いた…。」
鉛のように重くなった身体をベッドから引き離し、ふと時刻を確認すると、夜中の1時を指す頃だった。
暗闇の中、スマホのライトで辺りを照らしながら、リビングへ向かう。
親に見つからないように慎重に階段を降りていき、
そして、冷蔵庫の手前まで差し掛かる。開ける前に誰も居ないかを確認する為、後ろを振り向く。
そこには、台所にラップをかけた夕食が置いてあり、母の字で付箋が貼ってあった。
母『明日お母さん仕事だから、ハンバーグ温めて食べて
下さいね。』
第五話【回想】―終了―
様々な余韻は、脳内でスクロールさせながら。
ぼんやりと外を眺めていると、次第に雨が降り出してきた。蒼井は音楽を聴こうと、ポケットにしまっていたイヤホンを、おもむろに取り出す。
しかしそれは、蒼井が思い悩む余韻を連想させる。
蒼井は、闇雲に絡まったイヤホンを解こうとする。
-二時間前-
時刻は午後5時をまわる頃、夏祭りを満喫した蒼井達は、屋台で取り寄せた物を抱えながら、来た道を戻っていた。
蘭「今年の花火、とても綺麗だったね~!」
優美「そうですね!、楓ちゃんも金魚すくい上手だった
よ!」
楓「えへへ、そうかな…?」
斗貴「僕もまた皆と行きたいなぁー!」
凛「お前はただ食いたいだけだろ。」
蘭「あ、楓ちゃんは帰りは送迎かな?」
楓「いやっ、電車で…まだ来ないんですよね…。」
蘭「そっかぁ。あ!、私の親が迎えに来たから行く
ね!」
蘭はそう言うと、駐車場に止まっている迎えの車へ足早に向かって行った。
その後、優美も同じく、親の送迎で帰っていき、斗貴は、自前の自転車に乗り帰って行った。
凛「俺達3人だけになったな。」
蒼井「そーだなぁ…。」
楓が蒼井に対して何か言いたげな表情をしているのを、凛は気付いていた。
凛「んじゃ、俺もそろそろ行くわ。」
蒼井「あぁ、んじゃまたなぁ!」
凛はそう言うと、来た道を戻り、横断歩道を渡って行く。蒼井と楓は、1人で帰って行く凛の後ろ姿を見つめていた。
こうして、蒼井と楓だけが駅のホームに取り残された。同時に蒼井の心拍数が段々と上がっていく。
楓を見ると、頬を赤らめながら少々息が荒くなっているのが見え、更に鼓動が早くなる。
蒼井は平然を装いながら、公園までの道のりを歩む。
蒼井「まぁ、電車まで時間があるから、公園でやっ…休
むかなぁ。」
楓「そうですね…!」
2人は、ゆっくりと公園までの道のりを進む。お互い話しかけるきっかけを模索するあまりに、沈黙が続く。
蒼井は大きく、そして静かに深呼吸をして、話題を持ちかけようと声をかけようとする。
蒼井「あのっ…、」
楓「あのっ…!」
2人の話しかけるタイミングと視線が重なる。
その拍子に蒼井はまた情けない声で驚く。
蒼井「うわっ!、か、被ると思わなかった…!」
楓は下を向くと、クスクスと笑いだす。蒼井は頬を真っ赤にさせるも、どこか嬉しいような照れくさくも、ほんのり楽しい気持ちだった。
そして、2人は公園にたどり着き、街灯に照らされたベンチに腰掛ける。景色は薄暗く、周りからはコオロギや鈴虫の声が心地よく聞こえてくる。
穏やかな風と共に、目の前で木の葉が宙を舞う中、蒼井が口を開く。
蒼井「そういえばさ…、あの時のを返そうと思ってて
さ。」
楓「え…?、返すもの…?」
蒼井「あの時の御守り、実は持っててさ。」
楓「え!、拾っててくれたんですか!」
蒼井は、ポケットから健康祈願の御守りを渡そうとす
るが、楓は手を出そうとしなかった。
楓「大丈夫ですよ…!、私には要らないものです
し…!。」
蒼井「え、でも…。」
2人の間に沈黙が流れる。しばらくすると、楓から思いがけない言葉をかけられる。
楓「…あの、先輩。」
蒼井「ん…?、どうしたの?」
楓「…、どうして、こんな私に声をかけてくれたんです
か…?」
蒼井「えっ、あ~…、うーん…。」
楓「…?」
蒼井「なんでだろう…。」
楓「あ、なんかごめんなさい…。」
蒼井「なんだか、楓ちゃんって…、前の自分を見てるよ
うだったからさ…。」
楓「えっ、そうなんですか…?」
蒼井「僕もさ…!、独りでいた方が気が楽だったりする
んだよね。でも、本当は話しかけて欲しいし、皆
と仲良くしたかったんだ。へへ、図々しいよ
ね…!、独りでいたいくせに、話しかけ…、」
すると、楓が話を遮るように言葉を重ねる。
楓「ううん…!。そんな事ないですよ…!」
蒼井「え…、」
楓「だって、先輩は良い人ですよ。」
蒼井「…、僕がそんなに良い人に見える…?」
楓「はい…!、どうして…ですか…?」
蒼井「僕は良い人なんかじゃないよ。そう見えるだけな
んだ…。困ってる人がいても、見て見ぬふりをし
ちゃうし、平気で嘘とかもつくし、親にだって、
迷惑ばかりかけてるしさ…。」
楓「…、」
蒼井「そんな自分が…嫌いなんだ…。」
楓「…先輩。」
蒼井「…あっ!ごめん…ごめん!重くさせちゃった
ね…。そろそろ電車の時間だもんね…!」
時刻は午後6時半を迎える頃、2人は改札口へ向かっていた。蒼井は何処か心にぽっかりと穴が空いた様な感覚だった。しかし、公園での出来事を振り返ると、まるでデートをしていたかのような感覚に晒され、再び頬を赤らめる。
楓「今日は、誘ってくれてありがとうございまし
た…!」
蒼井「全然大丈夫だよ…!、むしろこんな時間まであり
がとね…!」
楓「いえいえ…!」
蒼井「…あの、」
楓「どうしました…?」
蒼井「…えっとぉ…、」
蒼井は何かを言いたげにするが、緊張のせいで言葉が出ずにいる。楓は、蒼井が発言するのを、待ち遠しそうに見ていた。
蒼井「あっ…、やっぱりなんでも無い…!。」
楓「そっ…そうですか…!」
蒼井「気をつけてね…!」
楓「はい!、バイバイ先輩。」
楓は小さく手を振り、改札口を出て駅のホームに向かって行った。その背中を蒼井はただ見つめていた。
微量の後悔が、蒼井の恋心を曇らせる。
蒼井「メール交換…、言っとけば良かったな…。」
晴れない気持ちを抱え、蒼井も自分の終電に向かって行った。
そして、蒼井は一人電車の中で絡まったイヤホンを解こうとする。考えれば考えるほど、より複雑に絡まっていく。
まるで、蒼井の心境を具現化したかのように。
あの時、楓は何で泣いていたんだろう。
先輩は良い人って言われたけど、実際はそんなこと無くて、立場が違えば僕も見て見ぬふりをしてしまう傍観者に過ぎないのに。
外で雨が降り出している中、イヤホンを解けずにいる蒼井。徐々に鬱陶しさが積もり、諦めてホケットにしまい込んだ。
そのまま眠気に身を委ねるように、蒼井は居眠りについていく。
しばらくして蒼井は家に着き、玄関を開ける。
母「おかえりなさい、こんな時間までどこに行ってたの
よ…!」
蒼井「別に…、祭りに行ってただけ。」
母「そうだったの。なら出かける時に行ってく…、」
蒼井「別にどこ行ったって良いじゃん…!」
蒼井はぶっきらぼうに返答すると、半ば強引に2階への階段を登り、自分の部屋に向かう。
母「ちょっと…!、ご飯はー?。」
母の質問を無視し、蒼井は自分の部屋に戻って行った。
蒼井は倒れ込むようにベッドに横たわると、スマホを取り出し、友人達のグループトークを見返していた。
そこには、花火の動画や皆がふざけ合う写真などが沢山送られていた。
ゆっくりとスクロールしながら振り返る蒼井の瞼が段々と重くなっていく。そして、いつの間にか居眠りをしてしまいそうになる時、蒼井のお腹が鳴り出した。
蒼井「あぁ、お腹空いた…。」
鉛のように重くなった身体をベッドから引き離し、ふと時刻を確認すると、夜中の1時を指す頃だった。
暗闇の中、スマホのライトで辺りを照らしながら、リビングへ向かう。
親に見つからないように慎重に階段を降りていき、
そして、冷蔵庫の手前まで差し掛かる。開ける前に誰も居ないかを確認する為、後ろを振り向く。
そこには、台所にラップをかけた夕食が置いてあり、母の字で付箋が貼ってあった。
母『明日お母さん仕事だから、ハンバーグ温めて食べて
下さいね。』
第五話【回想】―終了―
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