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新婚夫婦の別居婚、標高差1000メートル
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「ひどい煙ですね」
春の好天の下で、その黒々とした山は、空に高く伸びる針葉樹の葉も立ち枯れも覆い隠してしまう程に煙っていた。
風が吹き降ろせば、煙は麓で対峙する美麗な館に吹き付けるだけでは飽き足らず、周囲に広がっていく。
まるでほとりの美しい湖の青を写し取ったような屋根瓦は薄い灰色に染まっていった。
元凶たる山の中の少し視界が開けた場所で、ひどい煙ですね、ともう一度呟いたヘルミーナ・フェルベルク伯爵夫人――になったばかりの彼女は、足を止め、それを灰色がかった青の瞳で見下ろしていた。
同じく灰色ががった茶色の長い髪をくるりと耳の後ろでまとめて帽子をかぶり、女性なら乗馬でしか履かないようなズボンと上着を身に着け、背には荷物で膨れたザックを背負っている。
伯爵夫人の名にはおよそ相応しくない、登山者の姿。
つるりとした布地の肩を撫でれば、灰のような粉が舞う。
遠くから見れば山火事かと見紛うほどだが、鼻を鳴らせば臭いはない。そもそも火事であったら山には登れなかっただろう。
これが煙の正体だった。瘴気と呼ばれる、木々から噴出される粉末である。
「しばらくこれが続くのですか?」
ヘルミーナが息を整えながら疑問を口にすれば、
「疲れましたか」
くぐもった、しかし気遣うような声が背後から返ってきた。
緩い坂道の上に視線を戻せば同様の格好をした男性が足を止めて彼女を待っていた。背には彼女の比ではない量の荷物を背負っている。
彼女は夫である男性を――フェルベルク伯爵であるウィルヘルム・フェルベルクの表情を伺おうとしたがそれは知れない。
何故なら、彼の顔は殆ど布で隠されていたからだ。
つばの広い帽子の下にちらりと見える黒髪の下は、ぐるぐると包帯のような白い布で覆われており、かろうじて覗いた目と口は表情筋を動かせるほどの余裕があるようには見えない。もっとも、夫と知り合って日が浅いヘルミーナが彼の表情を正確に読み取る自信はなかったが。
それでもほんの少しだけ、緑色の目が不安げに細められたことは分かった。
「大丈夫です。先ほど休んだばかりですから」
その深い緑の瞳はこの北東の山々に広がる森の奥深くを想起させた。
それがヘルミーナには深い隔たりを感じさせ、強がらせた。
ウィルヘルムはこの山で生まれ育ち数えきれないほど山を登っているのに対して、ヘルミーナには本格的な登山経験などない。
それでも着いていくと言い出したのは彼女だから、諦めたくはなかった。
「これというのは、山道ではなくて……煙のような瘴気のことです。話に聞いてはいましたが、目にするのは初めてですので」
「そうですね。ピークは春ですが、冬が来るまではずっと漂っています」
ぐっとブーツの足元に力を込めて、障害物をかろうじて取り除いただけの道を、数歩登って横に並ぶ。
それは彼女が過ごしてきたレンガ道や石畳、そして遠い記憶にあるアスファルトとは全く違い、獣道にも近いものだった。
「引き返すなら送らせます」
「結婚式を挙げたばかりなのに、旦那様一人で登らせるなどありえません」
「しかし都会育ちの女性に山道は厳しいでしょう。今や麓のブラウ湖ですら、見たいと望む貴族の女性など……ずっと見つからなかったのですから」
気遣いであるのはヘルミーナにも分かるが、あまりにあっさりした口調に距離を感じる。
「ずっと」というところだけにひどく実感がこもっているのを感じて、だからこそヘルミーナは自分は違うと証明するためにも意地を張る。
「確かに運動不足は否めませんが……普段はこの先のお屋敷で過ごされるのでしょう? 妻となったからには見ておく義務があると思います」
「……義務、ですか」
ウィルヘルムは彼自身よりずっと小柄なヘルミーナの真剣な瞳から目を逸らす。
「お屋敷なんて立派なものなら、麓からも見えたのでしょうが。ただの小屋ですよ」
「それでも、そちらで執務をされているのですから、本館と言って良いくらいです。せめて一度くらいはどのくらい離れているか自分でも知っておかなければ」
「距離なら麓の館から、あの山頂付近――」
ウィルヘルムの革手袋の指先が麓の青い屋根の館から、稜線を辿って山の頂を指す。
そこには黒い森は見えない。植生が変わり背の高い木々が育つことはない森林限界の上、高山植物が茂るお花畑と呼ばれる場所。
“お花畑伯爵”と平地で揶揄されるウィルヘルムが一年の四分の三を過ごす館が、そこにあるはずだった。
「あなたの暮らす屋敷からは大よそ1000メートルといったところですね。……標高で、ですが」
言葉を切った後で突然激しく咳き込み、ウィルヘルムの背中が跳ねる。
ヘルミーナは声をかけたものの、夫の背を撫でる手は持たない。
「大丈夫ですか、フェルベルク様……あ、いえ、旦那様」
背後の、同行しているただ一人の使用人に目を向けると、大丈夫だというように彼は頷いた。
その通りに何度か咳き込んでから息を整えたウィルヘルムは、安心させるように顔を上げた。
「ごほっ……ええ、気にしないでください、いつものことですから。それに妻が来てくれたので、平地にとどまることなくこうして山頂に戻ることができますし……」
他人行儀な二人だが、それもそのはず、二人はつい先日結婚したばかりでなく、初対面が結婚の誓いを立てた前日だったのだ。
その誓いもまた書類に互いの名前を書くという事務的なもの。
というのも、二人には事情があった。
ウィルヘルムは病弱で領地の瘴気の森に耐えられないために山頂で過ごしていたが、「25歳になるまで妻を持てなければ、爵位と領地を国に没収される」という瀬戸際にあった。
ヘルミーナは政略結婚を嫌って、実家と父親から逃げ出して無一文だった。
――つまり、互いの利益が一致しただけの契約結婚だ。
「これで一安心です」
咳が落ち着き、少し声音に安堵が見えたことにヘルミーナは良かったと頷いたが、一安心という意見には内心全く賛同できなかった。
この人のこの「覆われた顔」に、見覚えがあったから。
男爵家の令嬢であったヘルミーナには、本人とは全く別の記憶がうすぼんやりとある。
過去ですらない前世の人生とやらで目にしたらしい、モニターの画面の、「選択可能な指導者」アイコン。
乙女向け恋愛ストラテジー/シミュレーションゲームの一週目の美麗なエンディング後、二週目のフリーモードで選択できる、縛りプレイ枠と呼ばれるキャラクター群のひとり。
大した生産物がない北東山岳地帯を領地とする――内政、戦争、信仰、商売などですぐ他領に飲み込まれてしまう高難易度領地持ちキャラクター、それがウィルヘルムだった。
「お待たせしました、行きましょう」
「……はい」
ヘルミーナは先を歩くウィルヘルムの背を追って、小石が散らばる道を歩き出す。
双方事情のある契約結婚だからこそ、麓で彼と別れてはいられない。できるだけ彼と領地に関する情報を手に入れて、領地を立て直す必要があった。
でなければ彼はこの地の領主として居続けることはできず、そうなれば役立たずのヘルミーナは、またあの実家に帰されてしまうだろうから。
春の好天の下で、その黒々とした山は、空に高く伸びる針葉樹の葉も立ち枯れも覆い隠してしまう程に煙っていた。
風が吹き降ろせば、煙は麓で対峙する美麗な館に吹き付けるだけでは飽き足らず、周囲に広がっていく。
まるでほとりの美しい湖の青を写し取ったような屋根瓦は薄い灰色に染まっていった。
元凶たる山の中の少し視界が開けた場所で、ひどい煙ですね、ともう一度呟いたヘルミーナ・フェルベルク伯爵夫人――になったばかりの彼女は、足を止め、それを灰色がかった青の瞳で見下ろしていた。
同じく灰色ががった茶色の長い髪をくるりと耳の後ろでまとめて帽子をかぶり、女性なら乗馬でしか履かないようなズボンと上着を身に着け、背には荷物で膨れたザックを背負っている。
伯爵夫人の名にはおよそ相応しくない、登山者の姿。
つるりとした布地の肩を撫でれば、灰のような粉が舞う。
遠くから見れば山火事かと見紛うほどだが、鼻を鳴らせば臭いはない。そもそも火事であったら山には登れなかっただろう。
これが煙の正体だった。瘴気と呼ばれる、木々から噴出される粉末である。
「しばらくこれが続くのですか?」
ヘルミーナが息を整えながら疑問を口にすれば、
「疲れましたか」
くぐもった、しかし気遣うような声が背後から返ってきた。
緩い坂道の上に視線を戻せば同様の格好をした男性が足を止めて彼女を待っていた。背には彼女の比ではない量の荷物を背負っている。
彼女は夫である男性を――フェルベルク伯爵であるウィルヘルム・フェルベルクの表情を伺おうとしたがそれは知れない。
何故なら、彼の顔は殆ど布で隠されていたからだ。
つばの広い帽子の下にちらりと見える黒髪の下は、ぐるぐると包帯のような白い布で覆われており、かろうじて覗いた目と口は表情筋を動かせるほどの余裕があるようには見えない。もっとも、夫と知り合って日が浅いヘルミーナが彼の表情を正確に読み取る自信はなかったが。
それでもほんの少しだけ、緑色の目が不安げに細められたことは分かった。
「大丈夫です。先ほど休んだばかりですから」
その深い緑の瞳はこの北東の山々に広がる森の奥深くを想起させた。
それがヘルミーナには深い隔たりを感じさせ、強がらせた。
ウィルヘルムはこの山で生まれ育ち数えきれないほど山を登っているのに対して、ヘルミーナには本格的な登山経験などない。
それでも着いていくと言い出したのは彼女だから、諦めたくはなかった。
「これというのは、山道ではなくて……煙のような瘴気のことです。話に聞いてはいましたが、目にするのは初めてですので」
「そうですね。ピークは春ですが、冬が来るまではずっと漂っています」
ぐっとブーツの足元に力を込めて、障害物をかろうじて取り除いただけの道を、数歩登って横に並ぶ。
それは彼女が過ごしてきたレンガ道や石畳、そして遠い記憶にあるアスファルトとは全く違い、獣道にも近いものだった。
「引き返すなら送らせます」
「結婚式を挙げたばかりなのに、旦那様一人で登らせるなどありえません」
「しかし都会育ちの女性に山道は厳しいでしょう。今や麓のブラウ湖ですら、見たいと望む貴族の女性など……ずっと見つからなかったのですから」
気遣いであるのはヘルミーナにも分かるが、あまりにあっさりした口調に距離を感じる。
「ずっと」というところだけにひどく実感がこもっているのを感じて、だからこそヘルミーナは自分は違うと証明するためにも意地を張る。
「確かに運動不足は否めませんが……普段はこの先のお屋敷で過ごされるのでしょう? 妻となったからには見ておく義務があると思います」
「……義務、ですか」
ウィルヘルムは彼自身よりずっと小柄なヘルミーナの真剣な瞳から目を逸らす。
「お屋敷なんて立派なものなら、麓からも見えたのでしょうが。ただの小屋ですよ」
「それでも、そちらで執務をされているのですから、本館と言って良いくらいです。せめて一度くらいはどのくらい離れているか自分でも知っておかなければ」
「距離なら麓の館から、あの山頂付近――」
ウィルヘルムの革手袋の指先が麓の青い屋根の館から、稜線を辿って山の頂を指す。
そこには黒い森は見えない。植生が変わり背の高い木々が育つことはない森林限界の上、高山植物が茂るお花畑と呼ばれる場所。
“お花畑伯爵”と平地で揶揄されるウィルヘルムが一年の四分の三を過ごす館が、そこにあるはずだった。
「あなたの暮らす屋敷からは大よそ1000メートルといったところですね。……標高で、ですが」
言葉を切った後で突然激しく咳き込み、ウィルヘルムの背中が跳ねる。
ヘルミーナは声をかけたものの、夫の背を撫でる手は持たない。
「大丈夫ですか、フェルベルク様……あ、いえ、旦那様」
背後の、同行しているただ一人の使用人に目を向けると、大丈夫だというように彼は頷いた。
その通りに何度か咳き込んでから息を整えたウィルヘルムは、安心させるように顔を上げた。
「ごほっ……ええ、気にしないでください、いつものことですから。それに妻が来てくれたので、平地にとどまることなくこうして山頂に戻ることができますし……」
他人行儀な二人だが、それもそのはず、二人はつい先日結婚したばかりでなく、初対面が結婚の誓いを立てた前日だったのだ。
その誓いもまた書類に互いの名前を書くという事務的なもの。
というのも、二人には事情があった。
ウィルヘルムは病弱で領地の瘴気の森に耐えられないために山頂で過ごしていたが、「25歳になるまで妻を持てなければ、爵位と領地を国に没収される」という瀬戸際にあった。
ヘルミーナは政略結婚を嫌って、実家と父親から逃げ出して無一文だった。
――つまり、互いの利益が一致しただけの契約結婚だ。
「これで一安心です」
咳が落ち着き、少し声音に安堵が見えたことにヘルミーナは良かったと頷いたが、一安心という意見には内心全く賛同できなかった。
この人のこの「覆われた顔」に、見覚えがあったから。
男爵家の令嬢であったヘルミーナには、本人とは全く別の記憶がうすぼんやりとある。
過去ですらない前世の人生とやらで目にしたらしい、モニターの画面の、「選択可能な指導者」アイコン。
乙女向け恋愛ストラテジー/シミュレーションゲームの一週目の美麗なエンディング後、二週目のフリーモードで選択できる、縛りプレイ枠と呼ばれるキャラクター群のひとり。
大した生産物がない北東山岳地帯を領地とする――内政、戦争、信仰、商売などですぐ他領に飲み込まれてしまう高難易度領地持ちキャラクター、それがウィルヘルムだった。
「お待たせしました、行きましょう」
「……はい」
ヘルミーナは先を歩くウィルヘルムの背を追って、小石が散らばる道を歩き出す。
双方事情のある契約結婚だからこそ、麓で彼と別れてはいられない。できるだけ彼と領地に関する情報を手に入れて、領地を立て直す必要があった。
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