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第三章 そんなこんなで、魔族の皆さんからも聖女と讃えられるようになりました。
第28話 今日はだらっと過ごしましょう。
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明日で1週間、お別れの日が目前まで迫っていました。
振り返れば楽しいことだらけの1週間でした。ギルティアに寝首をかかれそうになった夜が遠い出来事のようです。
「聖女と讃えられるくらいだから常に模範となる姿を示しているものだと思っていたのだけれど、プリオリ様でも月並みに堕落することがあるのね」
「そりゃ人間ですからねぇ。というか、この1週間が特殊だったんですよ」
早起きして、未知の世界に果敢に飛び込んで。
連日、好奇心のエンジンをフルスロットルにすればさすがに燃料も底尽きてしまうようで、起床直後から肩にどっしりと疲労を感じた私は、ごろごろとベッドに寝転がっていました。隣でギルティアが身体を横たえてじっと私を見つめています。
「ということは、普段はこんな風に朝を過ごしているの?」
「そうですよ。モカモカに起こされるのが日課です」
「……プリオリ様ってさては駄目人間なのかしら?」
「駄目なときも立派なときもあるのが人間ですよ。常に気張っていたら疲れてしまいますからね。だから、身体を動かしたくなったら動かす、疲れたら休む、そうやってオンとオフを切り替えながら日々をやり過ごすのがうまく生きるコツなんですよ」
「なるほど。さすがプリオリ様ね。駄目人間だなんて言ってしまってごめんなさい。言葉の根底にある高尚なる理念を見抜けなかった私の愚鈍さを許してほしいわ」
「もう相変わらず固いですね」
私はギルティアを優しく抱擁しました。
「真面目さんなのは立派なことですけど、たまには年相応の無邪気さを見せてくれてもいいんですよ? 私はギルティアの子どもっぽいところも見たいです」
「……べつに大人ぶってるつもりもないんだけどね。けど、そうね、プリオリ様やモカモカと過ごしているとなんだか肩が軽くなっているような気がするわ」
「ふふ、それだけ気を許してもらえているんですね。うれしい限りです」
「プリオリ様もモカモカも変ね。私なんかに優しくしてくれるなんて」
「なんか、とか言っちゃダメです。自分を愛せない弟子は私がこうしてぎゅ~ってしてやるんですから。ぎゅ~!」
「……ほんとうに母親みたい。モカモカが甘えてしまう気持ちがわかってきたわ」
ギルティアが胸にすりすりと顔をこすりつけてきます。
モカモカとは反対にこの子は甘え下手なんだろうなと検討をつけていましたが、その予感は的中のようです。この子には能動的に愛を注いであげなきゃですね。
言葉なく子猫みたいに甘えてくるギルティアの頭を撫でていると、部屋の扉が勢いよく開かれました。瞳をキラキラさせるモカモカがいました。
「お師匠さまっ、いっしょにいちご狩りいこ! ……ってギルティア?」
「~っ! か、勘違いしないで頂戴! べ、べつにモカモカに嫉妬してプリオリ様に甘えていたわけじゃないんだからね!?」
「ふふ、顔が真っ赤ですよギルティア」
起き上がったギルティアの背中にぎゅ~っと抱きつきます。頬の熱はみるみる耳にまで伝播していきました。
そんなギルティアを見て、モカモカはくすくすと笑っています。
「ギルティアもお師匠様のことが大好きなんだねっ」
「……まぁ好きか嫌いかで言えば。そんなことより! プリオリ様は今日は休息に充てたいと言っているの。無理に連れまわそうとするのは弟子として如何なものかしら?」
「そうだそうだー」
「朝からそんな気はしてたけど、今日のお師匠様は出不精モードみたいだね」
そう口にするモカモカからはどことなく諦めの気配が漂っていました。
「いちご狩り、3人でしたかったんだけどなぁ。……だめ?」
「駄目じゃないです。ギルティア、着替えて出発しましょうか」
「え? でもさっき言っていたじゃないの。今日はぐ~たらして英気を養う日だって」
「ご心配なく。モカモカの可愛さで英気は完全に養われました」
「プリオリ様、弟子に甘すぎないかしら?」
自覚はあります。
けど、仕方ないじゃないですか。事実弟子が可愛いんですもん。
こうして私のだらだら日和はわずか2時間ほどで終わりを迎え、モカモカのわがままに付き合うことになるのでした。
「お師匠様っ、このお花のブローチあたしがつくったの! あげる!」
「わ~、上手ですね。ありがとうございます。ずっと大切にしますね」
以降、モカモカからもらったこのブローチは私の装飾品となります。
……まぁそう遠くない未来に役目を終えてしまうのですが、それはまた別のお話。
「ん~! 魔族領のいちごって甘いね! ね、お師匠様?」
「ですね。私は人間領のものよりもこちらのものの方が好みかもです」
「気に入ったようでなによりだわ。それじゃもうひとつどうぞ。あ~ん」
「さ、さすがに人前であ~んされるのは恥ずかしいのでお控え願います……」
唐突なアクセサリープレゼントタイムの後は、いちご狩りを2時間ほどしました。
それから軽くお昼を済ませ、これで用事が済んだからぐ~たらタイムの再開といきましょうと提案しようとしたときのことです。
ギルティアが物欲しげに上目遣いを向けていることに気づきました。
「どうかしましたか?」
「その、ね? まだふたりを案内できていない場所があるの。ちょっと遠い場所なのだけれど、ぜひふたりに見てもらいたい。……どうかしら?」
「いいですよ、ついていきましょう」
不安げなギルティアの頭を私はぽんぽんと撫でます。瞬く間に表情が明るさに彩られていきました。
「ギルティアもお師匠様の扱い方がわかってきたみたいだね。お師匠様は頼んだらなんでもしてくれるんだよっ」
「なんでもはしませんけどね? けど、可能な限り要望には応えますよ。なにしろふたりのお師匠様兼母親ですので」
「……母親って」
「ん?」
「モカモカだけずるいわ。私も日中はプリオリ様って呼ぶけれど、夜になったらお母さんって呼びたい。……いいかしら?」
「もちろんいいですよ。期間限定ではありますが、ギルティアも私の娘のようなものですしね」
「……ほんとうになんでもわがままを聞いてくれるのね。ふふ、ではこれからは思う存分甘えようかしら」
ギルティアはモカモカみたいに無邪気に笑いました。
それでいいんですよ。
どれだけ強者だとしても、あなたはまだ13歳の子どもなのですから。
……もうすっかり人類を生存させるに値するかどうかを見極めるためっていう私の弟子となった当初の目的を忘れていそうですが、野暮なことは指摘しないでおきましょう。
私はもう、ギルティアを弟子兼娘として手離すつもりはありませんので。
振り返れば楽しいことだらけの1週間でした。ギルティアに寝首をかかれそうになった夜が遠い出来事のようです。
「聖女と讃えられるくらいだから常に模範となる姿を示しているものだと思っていたのだけれど、プリオリ様でも月並みに堕落することがあるのね」
「そりゃ人間ですからねぇ。というか、この1週間が特殊だったんですよ」
早起きして、未知の世界に果敢に飛び込んで。
連日、好奇心のエンジンをフルスロットルにすればさすがに燃料も底尽きてしまうようで、起床直後から肩にどっしりと疲労を感じた私は、ごろごろとベッドに寝転がっていました。隣でギルティアが身体を横たえてじっと私を見つめています。
「ということは、普段はこんな風に朝を過ごしているの?」
「そうですよ。モカモカに起こされるのが日課です」
「……プリオリ様ってさては駄目人間なのかしら?」
「駄目なときも立派なときもあるのが人間ですよ。常に気張っていたら疲れてしまいますからね。だから、身体を動かしたくなったら動かす、疲れたら休む、そうやってオンとオフを切り替えながら日々をやり過ごすのがうまく生きるコツなんですよ」
「なるほど。さすがプリオリ様ね。駄目人間だなんて言ってしまってごめんなさい。言葉の根底にある高尚なる理念を見抜けなかった私の愚鈍さを許してほしいわ」
「もう相変わらず固いですね」
私はギルティアを優しく抱擁しました。
「真面目さんなのは立派なことですけど、たまには年相応の無邪気さを見せてくれてもいいんですよ? 私はギルティアの子どもっぽいところも見たいです」
「……べつに大人ぶってるつもりもないんだけどね。けど、そうね、プリオリ様やモカモカと過ごしているとなんだか肩が軽くなっているような気がするわ」
「ふふ、それだけ気を許してもらえているんですね。うれしい限りです」
「プリオリ様もモカモカも変ね。私なんかに優しくしてくれるなんて」
「なんか、とか言っちゃダメです。自分を愛せない弟子は私がこうしてぎゅ~ってしてやるんですから。ぎゅ~!」
「……ほんとうに母親みたい。モカモカが甘えてしまう気持ちがわかってきたわ」
ギルティアが胸にすりすりと顔をこすりつけてきます。
モカモカとは反対にこの子は甘え下手なんだろうなと検討をつけていましたが、その予感は的中のようです。この子には能動的に愛を注いであげなきゃですね。
言葉なく子猫みたいに甘えてくるギルティアの頭を撫でていると、部屋の扉が勢いよく開かれました。瞳をキラキラさせるモカモカがいました。
「お師匠さまっ、いっしょにいちご狩りいこ! ……ってギルティア?」
「~っ! か、勘違いしないで頂戴! べ、べつにモカモカに嫉妬してプリオリ様に甘えていたわけじゃないんだからね!?」
「ふふ、顔が真っ赤ですよギルティア」
起き上がったギルティアの背中にぎゅ~っと抱きつきます。頬の熱はみるみる耳にまで伝播していきました。
そんなギルティアを見て、モカモカはくすくすと笑っています。
「ギルティアもお師匠様のことが大好きなんだねっ」
「……まぁ好きか嫌いかで言えば。そんなことより! プリオリ様は今日は休息に充てたいと言っているの。無理に連れまわそうとするのは弟子として如何なものかしら?」
「そうだそうだー」
「朝からそんな気はしてたけど、今日のお師匠様は出不精モードみたいだね」
そう口にするモカモカからはどことなく諦めの気配が漂っていました。
「いちご狩り、3人でしたかったんだけどなぁ。……だめ?」
「駄目じゃないです。ギルティア、着替えて出発しましょうか」
「え? でもさっき言っていたじゃないの。今日はぐ~たらして英気を養う日だって」
「ご心配なく。モカモカの可愛さで英気は完全に養われました」
「プリオリ様、弟子に甘すぎないかしら?」
自覚はあります。
けど、仕方ないじゃないですか。事実弟子が可愛いんですもん。
こうして私のだらだら日和はわずか2時間ほどで終わりを迎え、モカモカのわがままに付き合うことになるのでした。
「お師匠様っ、このお花のブローチあたしがつくったの! あげる!」
「わ~、上手ですね。ありがとうございます。ずっと大切にしますね」
以降、モカモカからもらったこのブローチは私の装飾品となります。
……まぁそう遠くない未来に役目を終えてしまうのですが、それはまた別のお話。
「ん~! 魔族領のいちごって甘いね! ね、お師匠様?」
「ですね。私は人間領のものよりもこちらのものの方が好みかもです」
「気に入ったようでなによりだわ。それじゃもうひとつどうぞ。あ~ん」
「さ、さすがに人前であ~んされるのは恥ずかしいのでお控え願います……」
唐突なアクセサリープレゼントタイムの後は、いちご狩りを2時間ほどしました。
それから軽くお昼を済ませ、これで用事が済んだからぐ~たらタイムの再開といきましょうと提案しようとしたときのことです。
ギルティアが物欲しげに上目遣いを向けていることに気づきました。
「どうかしましたか?」
「その、ね? まだふたりを案内できていない場所があるの。ちょっと遠い場所なのだけれど、ぜひふたりに見てもらいたい。……どうかしら?」
「いいですよ、ついていきましょう」
不安げなギルティアの頭を私はぽんぽんと撫でます。瞬く間に表情が明るさに彩られていきました。
「ギルティアもお師匠様の扱い方がわかってきたみたいだね。お師匠様は頼んだらなんでもしてくれるんだよっ」
「なんでもはしませんけどね? けど、可能な限り要望には応えますよ。なにしろふたりのお師匠様兼母親ですので」
「……母親って」
「ん?」
「モカモカだけずるいわ。私も日中はプリオリ様って呼ぶけれど、夜になったらお母さんって呼びたい。……いいかしら?」
「もちろんいいですよ。期間限定ではありますが、ギルティアも私の娘のようなものですしね」
「……ほんとうになんでもわがままを聞いてくれるのね。ふふ、ではこれからは思う存分甘えようかしら」
ギルティアはモカモカみたいに無邪気に笑いました。
それでいいんですよ。
どれだけ強者だとしても、あなたはまだ13歳の子どもなのですから。
……もうすっかり人類を生存させるに値するかどうかを見極めるためっていう私の弟子となった当初の目的を忘れていそうですが、野暮なことは指摘しないでおきましょう。
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