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 ボクリアは、聖女サラへの想いを日に日に募らせている。

 父親であるアルフォンス公爵が婚約破棄して、国から追い出す羽目に合わせておいて、自分に惚れていると思い込んでいるのである。

 「サラに会いに行こう!サラを利用している低俗な奴等から救い出すのだ!」

 身バレしないように変装をして【グレートホープ聖国】を目指して行く。

 であるボクリアにとって、1人での旅など今までに想像出来ない程の、辛い旅であった。

 喉が渇いたと言えば、飲み物が……腹が減ったっと言えば豪華な食事が出るわけではない。

 サラに会えば全てが上手くいくという思い込みだけが、ボクリアを進ませていた。

 ヘロヘロになりながらも、ついに【グレートホープ聖国】の入り口に到着した。多くの行列が入国審査を待っている。

 「凄い勢いだな!聖女様ってまだかわいいお嬢さんだろ?国を棄てて、この国で生きたいという人々がこんなにいるのか?」

 行列を待つ人々の会話が聞こえてくる。

 「お前初めてか?聖女様が一人一人入国審査をしてくれるんだ。聖女様には、[占い]のスキルもあってな。犯罪者やら悪い奴等は入国出来ないんだ。それに永住希望の者には、隠れた才能や特技を見出してくれるんだ。今までは高額でて貰わないといけなかった聖女様に無料でてもらえるんだ。それだけでも、この国で生活する意義があるってなもんだぜ!」

 「こんな聖女様を追い出したフェリカ王国とリビルド王国は無能だな!」

 「確かにな!今頃地団駄踏んでるだろうよ!両国から優れた人材が、聖女様の国に来てるみたいじゃねーか。」

 他の人も聖女を褒める声しか聞こえてこない。父親であるアルフォンス公爵はクソミソに言われている……

 これが本当の民衆の声か……

 今までは、おべっか使いの者の声しか聞いていなかった。ボクリアの気持ちは落ち込んでいた。

 ようやくボクリアの入国審査の番が来た。

 サラが居る!聖女となったサラだ!

 美しい……本当ならば、この女は僕の嫁であった筈だ。

 「あっ!」

 「サラ君を迎えに来たよ!僕と一緒に行こう!」

 ボクリアはサラの腕を取り自分の方に引き付けた。

 控えていた忠烈なるおとこトニーがサッと現れ、ボクリアの手を捻りあげる。

 「無礼者!僕は、サラの旦那だぞ!その手を離せ!」

 トニーは聖女サラを見つめる。

 サラは首を横に振っている。

 ボクリアは一瞬で捕縛されている。ボクリアは危害を加えるつもりは無かったので、[祈り]をすり抜け、サラと接触出来たのであろう。
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