欲しがる妹アナベルは『ざまぁ』されたい!

花房いちご

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第1部

5話 追求と下手な言い訳

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「王国貴族法では、領主が領地経営を放棄することと、未成年者に領地経営をさせることを禁じています。
 やむおえない事情で当主が領地経営を行えず、未成年者が領地経営に関わる場合は、貴族院の審査と国王陛下からの認可が必要です。そして、認可されたことを公表しなければなりません」

「俺たちは子爵家を調べたが、マルグリット嬢が認可を受けたという情報はなかった。領地経営の主だった仕事は、全てベルトラン子爵が行ったことになっている。
 ベルトラン子爵、夫人、以上が事実ならば、貴方がたには厳しい罰が下るだろう。
 最低でも、爵位の剥奪と労役刑が課せられるのは間違いない」

 聖女ミシエラ様と聖騎士ルグラン様の言葉に、私は呆然とした。
 え?『領主が領地経営を放棄することと、未成年者に領地経営をさせることを禁じている』?そんな法律があるの?知らなかった。

 そういえば、私は魔炎まえん病になる前に受けていた教育のお陰で『この国では子供を働かせても罪にはならない』と知っていた。
 そして小説の両親は、マルグリットお姉様への虐待が世間に発覚する前に、借金苦で破滅していた。だから読者だった私は『アナベルとマルグリットたんの両親は、この小説の世界基準では虐待以外に罪を犯してなかった』そう思っていた。

 だけど、こんな一文があった。

『ベルトラン子爵夫妻は、マルグリットへの虐待をはじめを犯していた』

 もしかして、小説の世界では捜査の手が伸びる前に借金苦で破滅したと言うこと?

 私が混乱している間も、聖女ミシエラ様と聖騎士ルグラン様は両親の罪を追求していった。

「未成年が家政を担うことに関しては、禁止する法はありません。しかし、『貴族家夫人が、正当な理由なく家政の大半を放棄している』ことは批判されます。
 また、子爵と共犯の疑いがありますので、同程度の罰が下るでしょう。
 何より、貴方がたは長年に渡ってマルグリットさんを虐待していた。許し難い蛮行です」

「は?虐待?大袈裟な。ただ少し教育してやっただけで……」

「お黙りなさい!なにが教育ですか!先ほどから実の娘を暴言でおとしめ、暴力をふるおうとしていることが、虐待の何よりの証拠です!」

「ミシエラの言う通りだ!虐待もまた懲役刑が課せられる!覚悟するんだな!」

 ひええ!お二人ともかっこいい!でも迫力がすご過ぎて怖い!

「あわわわ……!こ、こわ……!」

「あ、アナベル、お、落ち着いて……!」

 雷に撃たれたかのような威圧感に、私とお姉様は震え上がり手を取り合った。両親もガタガタ震えている。顔色は真っ青を通り越して白い。
 でもまだ悪あがきを続けるつもりらしい。

「せ、聖女ミシエラ様。さ、先程の発言は……い、言い間違いです。り、領地経営は、す、全て私が行っていた」

「そ、そうです。い、言い間違いです。わ、わたしも、きちんと家政をしていました」

 この期に及んで見苦しい言い訳をするなあ。ある意味で根性がある。その根性を活かして真面目に働けば良かったのに。

「アナベル嬢とマルグリット嬢の証言があるが?」

「し、証拠は、ない。ぜ、全部、嘘だ」

「そ、そうよ。ま、マルグリットがついた、う、嘘よ。あ、アナベルちゃんは、騙されてるの」

 調査すれば証拠なんていくらでも見つかるし、嘘つきはマルグリットお姉様の成果をかすめ取っていた貴方達でしょうが!
 余計な事しか言えないなら、もう黙っときなさいって!
 両親に呆れていると更なる追い討ちがかかった。

「聖女ミシエラ様、私も証言いたします。領地経営と家政の大半は、マルグリットお嬢様がなさっておりました」

「私も証言いたします。証拠もすぐにご用意できます」

 部屋の隅に控えていた執事と侍女長の発言だ。覚悟を決めた様子だ。

「お、お前たち!裏切る気か!今すぐやめろ!言うことを聞け!この家の主は私だぞ!この不忠者どもが!」

「やめなさい!余計なことをしないでちょうだい!子爵夫人である私の言葉が聞こえないの!」

 しかし二人は両親を完全に無視し、証拠を取りに行くといって退室した。
 そういえば、お姉様は大半の使用人と領民から絶大な信頼と敬意を受けている。彼らはお姉様の境遇を悲しみ憤っていたから、これを機に両親の罪を告発する気ね。

 流石はお姉様!人望がある!まあ、誰よりも有能で優しくて可憐だから当然だけど!

 などと考えている内に、執事長は書類の束を、侍女長は手紙の束を用意して聖女様たちに渡した。

「子爵の名がサインされている書類と、夫人の名がサインされている手紙の筆跡が極めて似ているな」

「似ているどころか明らかに同じですよ」

「ふ、夫婦は似るものです!長く連れそえば、字も似るもので……」

「子爵、宝玉果ジュエルピーチの果樹園がある村の名はなんだ?」

「は?」

「宝玉果は、この領の新しい特産品だ。栽培に成功したとされる子爵ならば、何処の何と言う村で育てているか、知っているはずだ」

「そ、それは……ああ!思い出した!南部のシュドゥー村だ!」

 シュドゥー村は、領内で一番果物の生産量が多い村だ。
 お父様は『此処しかないだろう!』と、言わんばかりに自信満々だ。
 だけど……。

「そうか。ではマルグリット嬢にも聞いてみよう。マルグリット嬢、宝玉果ジュエルピーチの果樹園のある村の名はなんだ?」

「え?」




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