31 / 88
第3章 文化祭

第31話 異世界を救った勇者、怒りの制裁。(ざまぁ)(1)

しおりを挟む
「これって何回でも無料で挑戦できるんだよな? ってことは、10回ダブルビンゴをしたら、10×2で20枚のケーキカフェのセット無料券を貰えるってことか?」

「そういうことになりますね」

「へぇ、そいつはまた気前がいいんだな」

「文化祭はお祭りですからね。僕らの利益は度外視して、皆さんに楽しんでもらいたいんですよ」

「なるほどなぁ」

 だからさ?
 お前も口元がニヤついてるのを隠せよな?
 さっきの呼び込み担当の生徒といい、薄汚い心がジャブジャブと外に溢れ出ているぞ?

 どうせ『やれるもんならやってみろ、すぐにカノジョの前で泣きべそかかせてやるぜ、ざまぁ(笑)』とか思ってるんだろうなぁ。

 しかし、だ。
 俺はもうこの時点で既に、このリングの特性を完全に把握していた。

 輪投げのリングは『戦輪』──いわゆるチャクラムという武器と限りなく同義だ。

 よって武器を扱うための勇者スキル『ブレードマスター』が発動し、リングをどう投げたらどう飛ぶかは完全に理解できていたからだ。

 もはやこのリングを投げることは、俺にとっては歩くことや息をすることと変わらない。

 魔王カナンを2度倒し、『オーフェルマウス』とこの世界を救った『絶対不敗の最強勇者』シュウヘイ=オダの実力を舐めるなよ?

 力の違いを見せつけてやる。

「ではどうぞ」
 どうにもニヤつきを抑えられないでいる運営担当に促された俺は、

「じゃあまずは右上を狙うとするか。ほいっと」
 1投目を投げた。

 軽く投げたリングは、美しい放物線を描いて飛び。

 ストン。
 軽快な音とともに、あっさりと狙った通りに右上の棒にハマった。

「……え?」
 それを見た運営担当がポカーンと口を開けたままで固まる。
 
「まずは1つ目だな。じゃあ次な、ほいっと」
 次は真ん中に。

「ほいっと。よし、まずはこれでビンゴ1つだな」
 さらに左下の棒へとリングを投げこんで、わずか3投で俺はきっちりビンゴを決めてみせた。

(状況)
□□■
□■□
■□□

「な……? え……? は……?」
 そんな俺の様子を見て、目をパチクリさせて間抜けな声を上げ続ける運営担当の生徒。

「どうしたんだ? 何をそんなに驚いているんだ? まだビンゴは1つ目だろ? 次は2つめのビンゴを狙いに行くぞ?」

「あ、は、はい……ど、どうぞ」

「じゃあ次は右真ん中と、右下を狙おうかな。そうしたら右上を共有できて1個お得だもんな。ほいっ、ほいっと」

 またまた軽く、しかも立て続けに連続して投げた4投目、5投目で、右真ん中&右下の棒に苦もなくリングをはめた俺は、いとも簡単にダブルビンゴを達成した。

(状況)
□□■
□■■
■□■

「…………」
 ノーミスの最短ルートでダブルビンゴを達成した俺を見て、言葉を失う運営担当。

「どうしたんだ? ダブルビンゴを決めたんだぞ? おめでとうとか言わないのか?」

「あ、え……はい、えっと。ダブルビンゴ、お、おめでとうございます! 景品のケーキカフェのセット無料券2枚です。ど、どうぞ!」

 運営担当の生徒は完全に引きつった顔をしながらも、どうにか声を張り上げてダブルビンゴを祝福をしてくれた。

「やりましたね勇者様♪」
 リエナが胸の前で軽く手のひらを合わせて喜びの声を上げる。

「ま、これくらいは楽勝さ。今度の週末にでもこの券を使って一緒にケーキセットを食べに行こうぜ」
「はいっ♪」

 さて、と。

「ってなわけで2回目だな」

「えっ?」

「『えっ?』ってなんだよ? 何回やっても無料で、ダブルビンゴを成功させるたびに、駅前のケーキカフェのセット無料券が2枚セットで貰えるんだよな?」

「あ、えっと……は、はい……」

「じゃあ2回目に挑戦するな。ハマったリングを取ってきてもらっていいか?」
「えっと、はい……すぐに……」

 そして再び0から輪投げをリスタートした俺は、またもや最短の5回の投擲でダブルビンゴを達成してみせた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

A級パーティーを追放された黒魔導士、拾ってくれた低級パーティーを成功へと導く~この男、魔力は極小だが戦闘勘が異次元の鋭さだった~

名無し
ファンタジー
「モンド、ここから消えろ。てめえはもうパーティーに必要ねえ!」 「……え? ゴート、理由だけでも聴かせてくれ」 「黒魔導士のくせに魔力がゴミクズだからだ!」 「確かに俺の魔力はゴミ同然だが、その分を戦闘勘の鋭さで補ってきたつもりだ。それで何度も助けてやったことを忘れたのか……?」 「うるせえ、とっとと消えろ! あと、お前について悪い噂も流しておいてやったからな。役立たずの寄生虫ってよ!」 「くっ……」  問答無用でA級パーティーを追放されてしまったモンド。  彼は極小の魔力しか持たない黒魔導士だったが、持ち前の戦闘勘によってパーティーを支えてきた。しかし、地味であるがゆえに貢献を認められることは最後までなかった。  さらに悪い噂を流されたことで、冒険者としての道を諦めかけたモンドだったが、悪評高い最下級パーティーに拾われ、彼らを成功に導くことで自分の居場所や高い名声を得るようになっていく。 「魔力は低かったが、あの動きは只者ではなかった! 寄生虫なんて呼ばれてたのが信じられん……」 「地味に見えるけど、やってることはどう考えても尋常じゃなかった。こんな達人を追放するとかありえねえだろ……」 「方向性は意外ですが、これほどまでに優れた黒魔導士がいるとは……」  拾われたパーティーでその高い能力を絶賛されるモンド。  これは、様々な事情を抱える低級パーティーを、最高の戦闘勘を持つモンドが成功に導いていく物語である……。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
【週三日(月・水・金)投稿 基本12:00〜14:00】 異世界にクラスメートと共に召喚された瑛二。 『ハズレモノ』という聞いたこともない称号を得るが、その低スペックなステータスを見て、皆からハズレ称号とバカにされ、それどころか邪魔者扱いされ殺されそうに⋯⋯。 しかし、実は『超チートな称号』であることがわかった瑛二は、そこから自分をバカにした者や殺そうとした者に対して、圧倒的な力を隠しつつ、ざまぁを展開していく。 そして、そのざまぁは図らずも人類の命運を握るまでのものへと発展していくことに⋯⋯。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

処理中です...