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第4章

第83話「ねぇねぇ、チューはした?」

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 翌日。
 俺とルミナの距離感が露骨に近くなったことがクラスメイトたちにあっさりと感づかれてしまい、付き合い始めたことはすぐにばれ、それからはもうクラス総出でやいのやいのと騒ぎ立てられた。

「チュはーした?」
「どっちからコクったの?」
「いつから好きだったの?」
「ねぇ、チューはした?」
「前から仲良かったもんねー」
「ついにルミナにも春が来たかぁ」
「ねぇねぇ、チューはした?」

 などなど、特にルミナは男女問わず人気者だったこともあって、休み時間になるたびに嵐のような質問攻めが繰り返された。

 みんなお年頃の高校生。
 他人の恋愛話に興味のない者など居はしないのだ。



 そんなこんなで放課後。

「魔王さま、お迎えにあがりましたぁ」
 いつものように俺たちの教室までやってきたロゼッタを引き連れ、俺はルミナと3人で魔会に参加するべく旧・天文部部室へと向かった。

 恋人になった俺とルミナに気を使って迎えに来ない、などという高度な判断をロゼッタに期待してはいけない。

 しかしロゼッタが来ることで、放課後にも行われるであろう質問タイムを、楽に切り上げることができたのもまた、事実だった。
 褒めてつかわそう。

「あ、ドアがもう直っていますよ。ピカピカですぅ」
 真新しくなった部室のドアをロゼッタが指さす。

「さすがは星奈先輩ですね。仕事が早いです」
「ほんと頼りになるよなぁ」

 なんて話しながら室内に入ると、

「やぁみんな、こんにちは」

 部室には既に星奈先輩がいた。
 しかし先輩一人ではなかった。

 星奈先輩の隣にはなぜかアカネがいた。
 アカネはロゼッタが家から持ってきていた悪役令嬢転生ものコミックスから、なんともダルそうに視線をあげると、

「ちーっす☆」

 軽いノリで挨拶をしてきた。

「なんでアカネがここにいるんだ?」
 理由がさっぱりわからないので聞いてみると、

「そんなの真央に会いに来たに決まってんじゃーん☆」
 そんな答えが返ってきた。

「俺に? 何か用事か?」
 契約魔法によってアカネの脅威はなくなっているものの、俺は万が一を考えて少しだけ警戒を強める。

「用事ってゆーか、会いに来たの」
「だから何のために会いに来たんだ? わかっていると思うが、契約魔法で縛っているから、俺に何かしようとしても無駄だぞ」

「それなんだけどさ?」
「どれだ?」

「なんかさ? 契約魔法の後から、真央のことを考えると変な気持ちになっちゃうんだよねー☆」

「変な気持ちってなんだよ?」
 俺は特に深く考えることなく聞き返したのだが――。

「えっちな気分に決まってんじゃん☆ きゃはっ☆」
「……は?」

「真央とアカネの魔力が契約で繋がって、アカネの魔力が真央の魔力に犯されてる感じ? あは、真央のえっちー☆」

「ちょ、お前、何言ってんだ!? 頭、大丈夫か?」

「アカネって、人の言うこと聞くのってすっごく嫌いなんだけどぉ? 真央の魔力に犯されるのはケッコー気持ちよくてさー? あはっ☆」

「さっきから誤解を招くような表現ばかりしてんじゃねぇよ!? 状況を考えろ――」

 言いながら、恐るおそる隣を見ると、

「マオくん、これは一体どういうことですか……?」

 ルミナから聖なる魔力が猛烈に立ち上り始めていた。

 あまりに強烈なオーラの発現によって、ルミナの美しい金髪がふわりと浮き上がっている。

「ちょ、ちょっと待てルミナ! なにフルパワーで魔力を開放してるんだよ!?」

「怒っているからです」
 マジレスキター!

 しかも聖剣がないのに、聖剣を持っているとき並みの猛烈な魔力が感じられるんだが!?
 くっ、あの時聖剣に貫かれた腹が、PTSDが発生したかのように痛みをフラッシュバックし始めたぞ!

 はっ!
 そういえば勇者について文献を調べあげていた時に、読んだことがある。

 それによれば、勇者を選び聖剣を授ける女神アテナイは「愛」を司る女神。
 ゆえに愛のために戦う時、勇者はその力を極限まで発揮するのだという。

 なるほど、それがこれか。
 すごいもんだ。

 また一つ、勇者についての知見を深めたな――じゃなくてだな!
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