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第二部 暴れん坊将軍編(セントフィリア国王編)
第116話 困った時のリヨン
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…………
……
「というわけなんだけどさ。リヨンはなにかいいアイデアはないかな?」
散々ハンコを押した後、約束通りアリスベルとのえっちっちを満喫した俺は、リヨンの執務室にやっていていた。
開口一番アリスベルが悩んでいた石不足について相談をする。
「純粋な疑問なんだけど、クロウはその話をなんで私に振るわけ? 私も自分の仕事で今クッソ忙しいんだけど? 机の上にこれでもかと積み上げられた書類の山がクロウには見えないの? 馬鹿なの? 死ぬの?」
しかし答えるリヨンの口調は既にキレ気味だった。
でも俺に対してリヨンがキレ口調なのはいつものことなので、あまり気にしないで話を続ける。
「いやほら、リヨンの符術でなんとかできないかなーって思ってさ。石を切り出す術とか持ってないかな?」
「そんなピンポイントにしか使えない無駄な術なんて持ってるわけないでしょ。あんたは私を何だと思ってるのよ?」
「100年に一人の天才術師かな?」
リヨンは世間でそう呼び称えられている。
もちろん俺もその才能を高く評価していた。
困った時のリヨンである。
「だいたいそういうヘンテコな技はストラスブールの方が得意でしょ。私じゃなくてストラスブールに聞きに行きなさいよね。なんで私のところに来るのよ?」
「だってリヨンはいつもなんだかんだで上手いことやってくれるからさ。この前の隕石落下の時も、リヨンの開発してくれた符術のおかげで事なきを得たわけだし」
「そ、それって? つまり私がクロウに一番信頼されてるってこと? ま、まぁ? クロウがそこまで言うんなら、ちょっとくらいは考えてあげないことも、なくはないんだけど――」
と、そこでなぜかリヨンが急にしおらしい口調になった。
ちょっと頬が赤くなっていて、なんとも言えない乙女感がある。
こうして改めて見るとリヨンはかなりの美人だし、才能は折り紙付きだし、騎士や兵士から高い人気があるのもうなずけるな。
でも急にこんな可愛らしい女の子みたいな態度をとるなんて、いったいどうしたんだろうな?
俺の前でこんな態度をとるなんて本当に不思議だ。
どういう意図なんだろう?
皆目見当がつかないよ。
それはそうとして、
「ストラスブールは昨日から河川改修工事の現場に出向いてて、しばらく帰ってこないんだよな。ストラスブールがいたら先にそっちに聞いたんだけどなぁ」
俺はリヨンのところに頼みに来た理由を説明した。
「あっ、そう!! ふん!! どうせそんなこったろうと思ったわよ!! この馬鹿!! 死ね!!」
直前までしおらしかったリヨンが、今度は急にプリプリし始めたんだが……。
うーむ、なぜだ。
なんで怒ったのかさっぱり分からないぞ。
「なに怒ってんだよ?」
「察しの悪いあんたの野良犬みたいな頭のせいでしょ!」
「えー……」
俺は普通に話してるだけなのに、ほんと俺の何が悪いってんだ?
やっぱあれか?
リヨンは天才過ぎて、ベースがアホな俺とは頭の思考回路が違い過ぎるんだろうな。
というわけで俺は深く考えるのをやめた。
「っていうか石の切り出しなんてクロウがやればいいでしょ? そういう力仕事は本来クロウの仕事でしょうが。勇者の力なら石くらい豆腐を切るみたいにさくさく切れるでしょ」
リヨンがちょっと投げやりな感じでつぶやく。
「それが無理なんだよ。俺は細かい力のコントロールは苦手だから、石を切ろうとしても砕いちゃうと思うから」
「ほんっっと馬鹿力以外は使えない勇者よね、クロウは。知ってたけど」
「人間、向き不向きがあるんだよなぁ」
「でもそうね……」
と、そこでリヨンが少し考えこむように、口元に軽く握った手を当てた。
長い付き合いだから分かる。
これはリヨンが高速で頭を回転させている時のポーズだ。
ということは――!
「リヨン? もしかして何か妙案があるのか?」
俺は期待とともに問いかけた。
……
「というわけなんだけどさ。リヨンはなにかいいアイデアはないかな?」
散々ハンコを押した後、約束通りアリスベルとのえっちっちを満喫した俺は、リヨンの執務室にやっていていた。
開口一番アリスベルが悩んでいた石不足について相談をする。
「純粋な疑問なんだけど、クロウはその話をなんで私に振るわけ? 私も自分の仕事で今クッソ忙しいんだけど? 机の上にこれでもかと積み上げられた書類の山がクロウには見えないの? 馬鹿なの? 死ぬの?」
しかし答えるリヨンの口調は既にキレ気味だった。
でも俺に対してリヨンがキレ口調なのはいつものことなので、あまり気にしないで話を続ける。
「いやほら、リヨンの符術でなんとかできないかなーって思ってさ。石を切り出す術とか持ってないかな?」
「そんなピンポイントにしか使えない無駄な術なんて持ってるわけないでしょ。あんたは私を何だと思ってるのよ?」
「100年に一人の天才術師かな?」
リヨンは世間でそう呼び称えられている。
もちろん俺もその才能を高く評価していた。
困った時のリヨンである。
「だいたいそういうヘンテコな技はストラスブールの方が得意でしょ。私じゃなくてストラスブールに聞きに行きなさいよね。なんで私のところに来るのよ?」
「だってリヨンはいつもなんだかんだで上手いことやってくれるからさ。この前の隕石落下の時も、リヨンの開発してくれた符術のおかげで事なきを得たわけだし」
「そ、それって? つまり私がクロウに一番信頼されてるってこと? ま、まぁ? クロウがそこまで言うんなら、ちょっとくらいは考えてあげないことも、なくはないんだけど――」
と、そこでなぜかリヨンが急にしおらしい口調になった。
ちょっと頬が赤くなっていて、なんとも言えない乙女感がある。
こうして改めて見るとリヨンはかなりの美人だし、才能は折り紙付きだし、騎士や兵士から高い人気があるのもうなずけるな。
でも急にこんな可愛らしい女の子みたいな態度をとるなんて、いったいどうしたんだろうな?
俺の前でこんな態度をとるなんて本当に不思議だ。
どういう意図なんだろう?
皆目見当がつかないよ。
それはそうとして、
「ストラスブールは昨日から河川改修工事の現場に出向いてて、しばらく帰ってこないんだよな。ストラスブールがいたら先にそっちに聞いたんだけどなぁ」
俺はリヨンのところに頼みに来た理由を説明した。
「あっ、そう!! ふん!! どうせそんなこったろうと思ったわよ!! この馬鹿!! 死ね!!」
直前までしおらしかったリヨンが、今度は急にプリプリし始めたんだが……。
うーむ、なぜだ。
なんで怒ったのかさっぱり分からないぞ。
「なに怒ってんだよ?」
「察しの悪いあんたの野良犬みたいな頭のせいでしょ!」
「えー……」
俺は普通に話してるだけなのに、ほんと俺の何が悪いってんだ?
やっぱあれか?
リヨンは天才過ぎて、ベースがアホな俺とは頭の思考回路が違い過ぎるんだろうな。
というわけで俺は深く考えるのをやめた。
「っていうか石の切り出しなんてクロウがやればいいでしょ? そういう力仕事は本来クロウの仕事でしょうが。勇者の力なら石くらい豆腐を切るみたいにさくさく切れるでしょ」
リヨンがちょっと投げやりな感じでつぶやく。
「それが無理なんだよ。俺は細かい力のコントロールは苦手だから、石を切ろうとしても砕いちゃうと思うから」
「ほんっっと馬鹿力以外は使えない勇者よね、クロウは。知ってたけど」
「人間、向き不向きがあるんだよなぁ」
「でもそうね……」
と、そこでリヨンが少し考えこむように、口元に軽く握った手を当てた。
長い付き合いだから分かる。
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「リヨン? もしかして何か妙案があるのか?」
俺は期待とともに問いかけた。
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