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第一話 ラベンダー髪の少女
ジェクス投入
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ない「えっ?会いたいって、もう明日にか?」
その連絡が届いたのは、ディマが入浴を済ませたのちに、孤児院の子供たちと夕食をしている最中に、ディナーのジャガイモのポタージュとミートローフとパンを食している時の事だった。
「はい、先ほどギリコ院長から連絡がありまして、いかがなさいますか?」
リンダがディマに耳打ちした瞬間、少し驚いた表情をする。
「いや、俺は問題ないけどさぁ、もう動いて大丈夫なのか?昨日の今日だぞ?」
「はい、院長自ら治療して、先ほど完治したとかで」
「すごいなギリコ先生、さすが元王室主治医だな」
ディマはミートローフを乗せたパンを一かじりしながら答えた。
「了解、明日、朝一の街役場で会議が終わってからだから、11時に来てくれって伝えてくれ」
「かしこまりました」とリンダはその場を離れた直後、今度はディマの隣に座っていたアストンが耳打ちしてきた。
「なぁディマ、結局あの娘、何者なんだ?」
「知らね、先生の話じゃ、身元が分かるものは何も持ってないみたいだ、ただ分かったのは、名前がクーフィアなのと、ファタルから来たってことだけだ」
「ファタルって、あの閉鎖惑星のか?」
「あぁ、おそらくそのファタルだよ」
惑星ファタル、中世ヨーロッパの文明レベルの文化を今なお持ち、ほかの惑星との交流や貿易を一切断っていた文字通り閉鎖された惑星である。
『自然の恵みは神が人類に与えたもうた神秘の理、それを破壊する機械技術は人間の邪心が生み出した忌まわしき力』という教え、
2068年のローマ教皇、ナザリック・エストワールが創始した神聖エストワール教の元、ファタルの人々は他の星々から見れば原始的な生活を送っており、
それ故に機械はおろかインフラ施設、ましてやシャトル航行用のマスドライバーなんてものは存在しないはずだ。
(いったいどうやって、ここまでやってきたんだ?)
二人の疑問は膨れるばかりである。
「まっ、とりあえず詳しい話は明日、その子に聞いてみるしかねぇし、今は待つのみだよ」
ディマはジャガイモのポタージュを「おっ、これうめぇ」とスプーンですすり、そんなディマをアストンは呑気なもんだと嘆息を漏らす。
アストンもディマに続いてポタージュをスプーンですくい、すする。
ジャガイモの塩気とクリームの甘味が口に広がり何とも言えぬ塩梅の味わいが口に広がる。
このポタージュは、祖母のリンダが作った得意料理でもあり、自身の大好物でもあるのだ。
「うん、いつ食ってもうまい」
冷えた体を温めるかのように飲む温かいスープはアストンの心身を徐々に、温めていく。
◇
その夜、バンバラの街から数百km離れた山岳地帯に隕石が飛来し、落ちていった。
否、それは隕石なんてものではなかった。
その隕石は落下の大気熱により表面の石は徐々に焼け落ちていき、現れたのは、四角いブロック状の巨大な金属の物体、その傍らには、旧ナチスドイツの紋章があった。
地面に接近した直後に下部のバーニアが火を噴き、徐々に落下速度を遅くしていき、地面にゆっくりと着地した。
「お頭!!奴らからのクリスマスプレゼントが届きましたぜ!」
山賊の頭が子分を数名引き連れ、そのブロック状の物体へと近づいていき、横部ドア付近にあるキーパッドにパスコードを入力後、横にある解錠グリップでドアロックを解除する。
中へと進んでいくと、真っ暗な常闇の暗さが山賊たちを包み込む、が、すぐさまレーダーが彼らの侵入を感知すると、天井部の明かりがまぶしく光り、中を照らす。
「こりゃすげぇ」
中にあったのは、銃と弾薬、そして、予備のビクィ数機。
そして、ギルヴァレス銀河帝国がかつて主力として使っていた18mの巨人。
重機巧ジェクス。
すらりとした、手足に箱のような胴体、そして胸の部分には鳥のような、主にアヒルを思わせるような顔が印象的な機体である。
その通常機が4機と、指揮官機が一機、武装の短機関砲と約30mのロングランスなどの武装が固定されながら格納されていた。
「お頭!!すげぇですぜ!!これさえあれば、麓の村どころか町一つ襲うことだってできますぜ!!」
子分たちのテンションは最高潮まで達していた。
それもそのはずだ、帝国は今じゃこのアドルフギャラクティカにおいて、最大級の軍事力を有する国で軍事技術はトップクラス。
旧式とはいえ重機巧のスペックでは他国の機体とは天と地ほどの差がある。ましてや、セルゲントのドグランの装甲ではジェクスの80mm短機関砲の弾丸には長時間耐え切ることはできない。
「そんで、獲物は今どこにいるんですかい?」
子分の一人が頭に問う、頭はニヒルに笑うと次の目的地を子分たちに告げた。
「バンバラだ、そこにあの女はいる」
あの女、いわずともクーフィアの事である。
半月前に惑星ファタルの物乞い収容施設にいた彼女を銀河帝国軍将校ギルシュテッド・アルヴァーレの依頼で拉致した後、脱走された帝国への依頼品。
先ほど、自身の部下たちが乗るビクィを襲撃したアントラァがバンバラ憲兵隊の所属機だったことという知らせがメールで届いた。
頭として、コケにされたことと、何より子分を殺されたことへの怒りが収まらない。
(きっちり落とし前をつけてもらわないとなぁ)
頭は部下たちに告げた。
「野郎ども!!夜明けとともに出発するぞ!!目標はバンバラの街の制圧と女の確保だ!!!仲間を殺された恨みと雪辱を果たすぞ!!!!」
頭の号令と共に子分たちの「おぉぉぉぉ!!!!」という雄叫びが格納庫の外にまで響き渡る。
これは、物資を提供してもらったのと同時に、「次はない」という意味を込めた。
二度目の心配はもう……許されない…
その連絡が届いたのは、ディマが入浴を済ませたのちに、孤児院の子供たちと夕食をしている最中に、ディナーのジャガイモのポタージュとミートローフとパンを食している時の事だった。
「はい、先ほどギリコ院長から連絡がありまして、いかがなさいますか?」
リンダがディマに耳打ちした瞬間、少し驚いた表情をする。
「いや、俺は問題ないけどさぁ、もう動いて大丈夫なのか?昨日の今日だぞ?」
「はい、院長自ら治療して、先ほど完治したとかで」
「すごいなギリコ先生、さすが元王室主治医だな」
ディマはミートローフを乗せたパンを一かじりしながら答えた。
「了解、明日、朝一の街役場で会議が終わってからだから、11時に来てくれって伝えてくれ」
「かしこまりました」とリンダはその場を離れた直後、今度はディマの隣に座っていたアストンが耳打ちしてきた。
「なぁディマ、結局あの娘、何者なんだ?」
「知らね、先生の話じゃ、身元が分かるものは何も持ってないみたいだ、ただ分かったのは、名前がクーフィアなのと、ファタルから来たってことだけだ」
「ファタルって、あの閉鎖惑星のか?」
「あぁ、おそらくそのファタルだよ」
惑星ファタル、中世ヨーロッパの文明レベルの文化を今なお持ち、ほかの惑星との交流や貿易を一切断っていた文字通り閉鎖された惑星である。
『自然の恵みは神が人類に与えたもうた神秘の理、それを破壊する機械技術は人間の邪心が生み出した忌まわしき力』という教え、
2068年のローマ教皇、ナザリック・エストワールが創始した神聖エストワール教の元、ファタルの人々は他の星々から見れば原始的な生活を送っており、
それ故に機械はおろかインフラ施設、ましてやシャトル航行用のマスドライバーなんてものは存在しないはずだ。
(いったいどうやって、ここまでやってきたんだ?)
二人の疑問は膨れるばかりである。
「まっ、とりあえず詳しい話は明日、その子に聞いてみるしかねぇし、今は待つのみだよ」
ディマはジャガイモのポタージュを「おっ、これうめぇ」とスプーンですすり、そんなディマをアストンは呑気なもんだと嘆息を漏らす。
アストンもディマに続いてポタージュをスプーンですくい、すする。
ジャガイモの塩気とクリームの甘味が口に広がり何とも言えぬ塩梅の味わいが口に広がる。
このポタージュは、祖母のリンダが作った得意料理でもあり、自身の大好物でもあるのだ。
「うん、いつ食ってもうまい」
冷えた体を温めるかのように飲む温かいスープはアストンの心身を徐々に、温めていく。
◇
その夜、バンバラの街から数百km離れた山岳地帯に隕石が飛来し、落ちていった。
否、それは隕石なんてものではなかった。
その隕石は落下の大気熱により表面の石は徐々に焼け落ちていき、現れたのは、四角いブロック状の巨大な金属の物体、その傍らには、旧ナチスドイツの紋章があった。
地面に接近した直後に下部のバーニアが火を噴き、徐々に落下速度を遅くしていき、地面にゆっくりと着地した。
「お頭!!奴らからのクリスマスプレゼントが届きましたぜ!」
山賊の頭が子分を数名引き連れ、そのブロック状の物体へと近づいていき、横部ドア付近にあるキーパッドにパスコードを入力後、横にある解錠グリップでドアロックを解除する。
中へと進んでいくと、真っ暗な常闇の暗さが山賊たちを包み込む、が、すぐさまレーダーが彼らの侵入を感知すると、天井部の明かりがまぶしく光り、中を照らす。
「こりゃすげぇ」
中にあったのは、銃と弾薬、そして、予備のビクィ数機。
そして、ギルヴァレス銀河帝国がかつて主力として使っていた18mの巨人。
重機巧ジェクス。
すらりとした、手足に箱のような胴体、そして胸の部分には鳥のような、主にアヒルを思わせるような顔が印象的な機体である。
その通常機が4機と、指揮官機が一機、武装の短機関砲と約30mのロングランスなどの武装が固定されながら格納されていた。
「お頭!!すげぇですぜ!!これさえあれば、麓の村どころか町一つ襲うことだってできますぜ!!」
子分たちのテンションは最高潮まで達していた。
それもそのはずだ、帝国は今じゃこのアドルフギャラクティカにおいて、最大級の軍事力を有する国で軍事技術はトップクラス。
旧式とはいえ重機巧のスペックでは他国の機体とは天と地ほどの差がある。ましてや、セルゲントのドグランの装甲ではジェクスの80mm短機関砲の弾丸には長時間耐え切ることはできない。
「そんで、獲物は今どこにいるんですかい?」
子分の一人が頭に問う、頭はニヒルに笑うと次の目的地を子分たちに告げた。
「バンバラだ、そこにあの女はいる」
あの女、いわずともクーフィアの事である。
半月前に惑星ファタルの物乞い収容施設にいた彼女を銀河帝国軍将校ギルシュテッド・アルヴァーレの依頼で拉致した後、脱走された帝国への依頼品。
先ほど、自身の部下たちが乗るビクィを襲撃したアントラァがバンバラ憲兵隊の所属機だったことという知らせがメールで届いた。
頭として、コケにされたことと、何より子分を殺されたことへの怒りが収まらない。
(きっちり落とし前をつけてもらわないとなぁ)
頭は部下たちに告げた。
「野郎ども!!夜明けとともに出発するぞ!!目標はバンバラの街の制圧と女の確保だ!!!仲間を殺された恨みと雪辱を果たすぞ!!!!」
頭の号令と共に子分たちの「おぉぉぉぉ!!!!」という雄叫びが格納庫の外にまで響き渡る。
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