重機巧セインレイヴ

白銀アイネス

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第一話 ラベンダー髪の少女

領主としての苦悩

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領主であるディマの朝は早い、5時半に起床してトレーニング、その後シャワーを浴びて、7時に簡単な朝食を済ませ、自身の自動車オートモービルに乗り込み街役場まで向かう。

街の外とはいえ、ここシェルターの内部。空調設備も完備しており、火力発電施設のおかげで、暖房も効いており気温は春並みに温かい。

街の役場の施設に自動車オートモービルを駐車し、会議室に入ってすぐに、来年の税金の予算編成会議が行われた。

来年の税収の見込みやら、人件費、維持管理費(ランニングコスト)についてなどなどetc。

「というわけで、来年はこのような方針でいくことで、皆さんよろしいですかな?」

ディマの言葉に会議に参加していた幹部たちは了承するかのようにうなずく。

「そんじゃ、今日の会議は終了します、皆さんお疲れ様でした」

会議室から幹部たちが全員出て行ったことを確認すると、ディマも資料をまとめて自分もあとにしようとする。その時だった、

「いや~、しかし、正直言って甘い」

やせた低い声が廊下の奥の喫煙室から聞こえる、恐らく今の声は財務担当の幹部だろう。

「去年あたりから不作が続いているからといって、領主家の貯蓄で立て替えるだと?聞こえはいいが、ディミトリ様は街の会計と家計を混ぜるおつもりだろうか」

それに続くように誰かが鼻で笑う声がする。

「ディミトリ様はのだよ、いや、優しいのが悪いとは決して言わないが、気前が良すぎるんだ、自分が払うと言えば一旦その場は収まるだろう、だがそれで問題が解決するわけじゃない」

今度は別の幹部が苛立ったような声で言う。

「貯蓄には限りがある、火力発電所による空調の設備の維持に、インフラ施設の修繕、憲兵への給金……この街の命綱はで動いているのを分かっておられるのか?」

「しかも、貯蓄が尽きた時には何を差し出す?領主が「自身が負担する」なんて前例を作れば「次も領主が何とかしてくれる」という期待を作るだけだ」

そして極めつけの一言は、

「若すぎるんだよ、領主殿は」

若すぎる、その言葉はディマの身に重りを乗せるかのように、ずっしりと押し掛かってくる。

「まだ16だぞ、私達からすればまだまだ産毛が抜け切れていない子供だ」

「お家の貯蓄を使えば短期的には何とかなる、だが長期的に見れば街の統治がに依存することになる、貯蓄が底を突けばその瞬間街が干上がるぞ?」

幹部たちの不満は膨れるばかりだ。

「先代なら、ジェイダ様なら、こんな時何とかしてくださるのに…」

ディマは思った、やはりまだまだ父ジェイダのようにはいかないと、

(まっ、父さんに比べたら、おれはまだだよな)

ディマは急いで幹部たちの横を通り過ぎる、「聞かれたか!?」なんて顔をされたが知らないかのように挨拶だけしてその場を立ち去った。



「なんですって!?」

スタークの屋敷に帰宅し出迎えたリンダに事のいきさつを話すと、リンダは顔を赤くして怒った。

「落ち着けよ婆や」

「いいえ落ち着いてられるもんですか!!ディミトリ様が普段からどんなに苦労して領主としての激務をこなしてるかも知らないで!!」

「あのオッサンたちからすれば、今回の俺の判断が甘かったのは事実だ、それに、17で領主になるなんて、元々反対されてたしな」

「ですがそれは先代の遺言のもとで幹部たちとも相談したうえで決めたことですわ!それなのに」

「いいから少し気を落ち着かせって、血圧があがるぞ」

「わたしはそこまで年じゃありません!」

ぷんすかと未だ怒りが収まらないリンダ、彼女は先々代の頃から仕えているメイドで現在はメイド長を任されている身。赤ん坊の頃から面倒をみてくれてディマにとっては祖母のような存在でもある。

だから、こうして自分のために怒ってくれるのは照れ臭いながらもありがたい。

「それより、ギリコ先生から連絡はあったか?」

「あと20分後にいらっしゃるそうです」

「じゃあ、茶の用意を頼む、おれは書斎を少しだけでも片付けとくから」

「かしこまりました」と先ほどの不機嫌を抑えて調理場まで向かう。

ディマは書斎にあがり、机の上に散らばっている書類やら資料やらを片付け始める。その際にディマは、つい先ほど幹部たちが言ったセリフを思い出した。

自分は若すぎる、その言葉は自分の自信を喪失しそうになるには十分すぎる苦言である。

(こんな時……父さんだったら…)

亡き父ならもっとうまくやっていただろうか?そんなことが頭によぎる。

そんな時だった、

『緊急体制!!コードレッド発令!!コードレッド発令!!』

バンバラの街の非常事態アナウンスがコードレッド、つまりは非常事態宣言を告げる。

ディマの書斎の机のディスプレイにも通信が入る。

「どうしたんだ!?コードレッドって一体なんだ!」

『大変です!!賊どもが20機以上の小型機巧コンパクトギアでこちらに向かっています!!現在街より30km先です!!』

(マジかよ!・すぐそこじゃないか!?)

『それだけじゃありません!!帝国製の旧式重機巧オーバギアが数えただけでも五機も!!』

「なんだって!?」



バンバラの街から30km先の川沿いで賊のビクィとバンバラ憲兵団のアントラァ、数機の小型機巧コンパクトギア同士が銃撃戦を繰り広げていた。

「クソ!!もう弾薬が限界だ!!」

「ダメだ!!なんとしても持ちこたえろ!!絶対に街の方角に近づけさせるな!!」

アントラァの中距離機関砲が火を噴き、ビクィの装甲を貫く。敵の数も残り三分の一。

「よし!これなら一気に」

と言いかけた時、無数の弾丸の雨がアントラァに降り注ぎ、爆散していった。

「畜生!!5番機が!!ジミーがやられた!!」

「一体何だってんだ!?どこから撃ってきた!?」

アントラァのコックピット内のパイロットが弾丸が発砲された方向を感知。

確認すると、ここから数m離れた場所に、がこちらに短機関砲を構えてそびえたっていた。そのアヒルのような口をニヒルに笑っているかのように。


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