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第一章
17ー出発前
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「母上、でも不正の証拠を握っているのなら、それを公表したら良いだけではないですか?」
うん、ラウ兄様の言う事が一番手っ取り早いかも。
「それがそうもいかないらしいのよ。汚職の証拠書類に、巧妙に第1王子を絡ませているらしいわ。捏造した第1王子の不正を明らかにし、第1王子にとって代わって第2王子を王太子の座に着けて側近である自分が実権を握ろうとしているのよ」
第2王子派筆頭、サクソン・モルドレッド侯爵は悪知恵が働くのね。
「では母上、我が家にどうしろと言うのでしょう?」
そう、ジュード兄様の言う通り。
「一番良いのは、第2王子派の陰謀を公にして首謀者を断罪。男爵令嬢を修道院にでも飛ばして無事に婚約破棄。そして第2王子の婚約者を助け出す。すべてが無理でも、せめて第1王子の立場を守り第2王子の婚約者を助け出す。てところでしょうか?」
レオン様、こんな時はやっぱり皇子様らしいのよね。
「そう、レオン殿下の仰る通りよ」
やだ、とっても面倒だわ……
「ルル、顔に出ているわ」
あら、ごめんなさい。お母様。でも心底面倒なんですもの。そんな事をしている時間があるなら、領地経営なり、何なりする事があるでしょう? て、思っちゃう。
「お母様、でも第2王子てそんな方なのですか? 同じ学園に通っていましたが、全然存じ上げませんでしたわ」
「原因の男爵令嬢が学園に編入してきたのが卒業の1年前なのよ。それまでは、第2王子もまだ大人しくされていたそうよ。その男爵令嬢は妾腹で男爵家ではなく、平民として育ったそうよ。母親が亡くなって男爵家に引き取られたのね。どこかの金持ちの後妻にでもと引き取ったらしいわ」
「だからですね。私は最後の1年はもう殆ど学園に通ってませんでしたものね」
「ルル嬢、それは何故?」
「レオン殿下、ルルは早くに全ての単位を取得してスキップ卒業したので行く必要がなかったのですよ」
「ルル嬢、頭もいいんだ」
ま、前世の勉強に比べたらね。勉強は二度目みたいな物だしね。レオン様も同じじゃないのかな?
「母上、母上がお考えの計画はないのですか?」
ジュード兄様も焦ったくなってきてません?
「そうね、まずとにかく不正のちゃんとした証拠を掴まないといけないわ。それに、婚約破棄するにしても理由がないと出来ないわね。どんな理由を持ち出してくるのかも掴まないと。この二つが揃わないと、レオン殿下が仰った一番良い結果には繋がらないわ」
「母上、これは早急に王都に向かうしかないですか?」
えー、やだなぁー。
「そうね、でも王都の邸には行けないわ。私達が王都の邸に入ると目立つから、暫くお父様のご実家に参りましょう。お父様のお父上からすれば現王様は甥ですからね。甥の息子の尻拭いをして差し上げるのだから、しっかり協力して頂きましょう」
もう関わるの決定なのね。私にはあんなに関わるなと言っていたのに。
いや、私も助けなきゃと思うのよ。でも思っていたより面倒そうで……
「ルル、お顔」
「ごめんなさい」
正直に謝っちゃったわ。
「母上、出向くメンバーはどうしますか?」
ラウ兄様、前向き。婚約者のご令嬢が絡んでるからかしら?
「それは私から」
お父様、やっと喋ったわ。難しい話は全部お母様任せなのね。
「まず、セイバー0から5人だけ同行する。後は領地に残す。ラウのセイバー1と、ジュードのセイバー2からも其々5人だけ選んでくれ。後はセイバー0と共に領地の警備に残す。我が家は家族全員と執事のガイウスの家族全員は王都へ向かう。ルル、モモも連れて行くが良いか?」
「お父様、勿論ですわ。モモとは離れませんよ」
「わふっ」
「よし。ではレオン殿下。今、お話した様にきな臭い面倒な事になっております。まだ婿入り前の殿下を巻き込む訳には参りません。1度、帝国へ戻られては如何でしょう?」
「公爵、何を仰る。私も皆さんと一緒にルル嬢をお守りすると言った筈です。ルル嬢が王都へ向かうなら、私も一緒に行きます」
「殿下、いやレオン。感謝する」
「当然です。遠慮は不用ですよ。出発はいつになりますか? 私の従者兼影の者も1人呼びたいと思います。きっとお役に立ちます」
「明日明後日と2日掛けて準備して、明々後日には出立しようと思っていますのよ。第2王子が婚約破棄するだろうと予測している日が間近なのよ」
「お母様、それはいつですか?」
「第2王子の誕生日をお祝いするパーティーよ。今から25日後ね」
「では私の影の者には直接王都へ向かわせて先に探らせましょう」
25日なんて直ぐよね? 其れ迄に証拠を見つけて、婚約破棄の理由も掴むなんて。
「ルル嬢、大丈夫だ」
レオン様が囁きました。
「何か知っているの?」
「多分、俺が予想している線で解決できると思う」
「それは乙ゲーのシナリオ?」
「いや、違う。俺の勘と推理だ! 真実はいつも1つ!!」
レオン様、胸張って決め台詞パクッちゃってるけど、一気に不安になったわ……
出発迄に少しでもレベル上げしたいとレオン様の希望もあり、兄様達とレオン様は森へ討伐に。
ディアナは万が一に備えて余分にポーション類の作成。
私とユリウスは手分けして色々魔道具を作成しました。頑張ったわよ。
まず、マジックバッグを人数分。もし逸れてしまったり、不測の事態が起こっても大丈夫な様にね。
其々、食料やポーション等を入れてもらいます。
ユリウスが防御と結界を付与した指輪も皆に作成してくれました。
今回、私が頑張ったのは、其々が離れてしまっても場所が分かるブレスレットよ。所謂前世でのGPSみたいな感じね。
それともう1つ。音声を録音出来て、離れた人と通話の出来るピアス型の耳飾りです。魔力を流すと話せたり録音を開始したりします。
モモ用にも同じ機能の物を作って、首輪に付けてます。準備万端。
今回、情報収集しないといけないので、どんな状況にも対応出来る様に頑張ったのよ。お陰でまたMPが増えちゃったわ。
レオン様が……
「コレッ、もろGPSじゃん!! 通信機じゃん!!」
……て、騒いでましたけどね。
うん、ラウ兄様の言う事が一番手っ取り早いかも。
「それがそうもいかないらしいのよ。汚職の証拠書類に、巧妙に第1王子を絡ませているらしいわ。捏造した第1王子の不正を明らかにし、第1王子にとって代わって第2王子を王太子の座に着けて側近である自分が実権を握ろうとしているのよ」
第2王子派筆頭、サクソン・モルドレッド侯爵は悪知恵が働くのね。
「では母上、我が家にどうしろと言うのでしょう?」
そう、ジュード兄様の言う通り。
「一番良いのは、第2王子派の陰謀を公にして首謀者を断罪。男爵令嬢を修道院にでも飛ばして無事に婚約破棄。そして第2王子の婚約者を助け出す。すべてが無理でも、せめて第1王子の立場を守り第2王子の婚約者を助け出す。てところでしょうか?」
レオン様、こんな時はやっぱり皇子様らしいのよね。
「そう、レオン殿下の仰る通りよ」
やだ、とっても面倒だわ……
「ルル、顔に出ているわ」
あら、ごめんなさい。お母様。でも心底面倒なんですもの。そんな事をしている時間があるなら、領地経営なり、何なりする事があるでしょう? て、思っちゃう。
「お母様、でも第2王子てそんな方なのですか? 同じ学園に通っていましたが、全然存じ上げませんでしたわ」
「原因の男爵令嬢が学園に編入してきたのが卒業の1年前なのよ。それまでは、第2王子もまだ大人しくされていたそうよ。その男爵令嬢は妾腹で男爵家ではなく、平民として育ったそうよ。母親が亡くなって男爵家に引き取られたのね。どこかの金持ちの後妻にでもと引き取ったらしいわ」
「だからですね。私は最後の1年はもう殆ど学園に通ってませんでしたものね」
「ルル嬢、それは何故?」
「レオン殿下、ルルは早くに全ての単位を取得してスキップ卒業したので行く必要がなかったのですよ」
「ルル嬢、頭もいいんだ」
ま、前世の勉強に比べたらね。勉強は二度目みたいな物だしね。レオン様も同じじゃないのかな?
「母上、母上がお考えの計画はないのですか?」
ジュード兄様も焦ったくなってきてません?
「そうね、まずとにかく不正のちゃんとした証拠を掴まないといけないわ。それに、婚約破棄するにしても理由がないと出来ないわね。どんな理由を持ち出してくるのかも掴まないと。この二つが揃わないと、レオン殿下が仰った一番良い結果には繋がらないわ」
「母上、これは早急に王都に向かうしかないですか?」
えー、やだなぁー。
「そうね、でも王都の邸には行けないわ。私達が王都の邸に入ると目立つから、暫くお父様のご実家に参りましょう。お父様のお父上からすれば現王様は甥ですからね。甥の息子の尻拭いをして差し上げるのだから、しっかり協力して頂きましょう」
もう関わるの決定なのね。私にはあんなに関わるなと言っていたのに。
いや、私も助けなきゃと思うのよ。でも思っていたより面倒そうで……
「ルル、お顔」
「ごめんなさい」
正直に謝っちゃったわ。
「母上、出向くメンバーはどうしますか?」
ラウ兄様、前向き。婚約者のご令嬢が絡んでるからかしら?
「それは私から」
お父様、やっと喋ったわ。難しい話は全部お母様任せなのね。
「まず、セイバー0から5人だけ同行する。後は領地に残す。ラウのセイバー1と、ジュードのセイバー2からも其々5人だけ選んでくれ。後はセイバー0と共に領地の警備に残す。我が家は家族全員と執事のガイウスの家族全員は王都へ向かう。ルル、モモも連れて行くが良いか?」
「お父様、勿論ですわ。モモとは離れませんよ」
「わふっ」
「よし。ではレオン殿下。今、お話した様にきな臭い面倒な事になっております。まだ婿入り前の殿下を巻き込む訳には参りません。1度、帝国へ戻られては如何でしょう?」
「公爵、何を仰る。私も皆さんと一緒にルル嬢をお守りすると言った筈です。ルル嬢が王都へ向かうなら、私も一緒に行きます」
「殿下、いやレオン。感謝する」
「当然です。遠慮は不用ですよ。出発はいつになりますか? 私の従者兼影の者も1人呼びたいと思います。きっとお役に立ちます」
「明日明後日と2日掛けて準備して、明々後日には出立しようと思っていますのよ。第2王子が婚約破棄するだろうと予測している日が間近なのよ」
「お母様、それはいつですか?」
「第2王子の誕生日をお祝いするパーティーよ。今から25日後ね」
「では私の影の者には直接王都へ向かわせて先に探らせましょう」
25日なんて直ぐよね? 其れ迄に証拠を見つけて、婚約破棄の理由も掴むなんて。
「ルル嬢、大丈夫だ」
レオン様が囁きました。
「何か知っているの?」
「多分、俺が予想している線で解決できると思う」
「それは乙ゲーのシナリオ?」
「いや、違う。俺の勘と推理だ! 真実はいつも1つ!!」
レオン様、胸張って決め台詞パクッちゃってるけど、一気に不安になったわ……
出発迄に少しでもレベル上げしたいとレオン様の希望もあり、兄様達とレオン様は森へ討伐に。
ディアナは万が一に備えて余分にポーション類の作成。
私とユリウスは手分けして色々魔道具を作成しました。頑張ったわよ。
まず、マジックバッグを人数分。もし逸れてしまったり、不測の事態が起こっても大丈夫な様にね。
其々、食料やポーション等を入れてもらいます。
ユリウスが防御と結界を付与した指輪も皆に作成してくれました。
今回、私が頑張ったのは、其々が離れてしまっても場所が分かるブレスレットよ。所謂前世でのGPSみたいな感じね。
それともう1つ。音声を録音出来て、離れた人と通話の出来るピアス型の耳飾りです。魔力を流すと話せたり録音を開始したりします。
モモ用にも同じ機能の物を作って、首輪に付けてます。準備万端。
今回、情報収集しないといけないので、どんな状況にも対応出来る様に頑張ったのよ。お陰でまたMPが増えちゃったわ。
レオン様が……
「コレッ、もろGPSじゃん!! 通信機じゃん!!」
……て、騒いでましたけどね。
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