人生を斜交いに生きた男 実話

人生を斜交いに生きた男 実話 ５８

　外交員はどうしても女性が多い。男子６名、女子は９名。新人を入れて１８名に。事務員３人、主任と支店長で構成されている。
　先輩達も覇気が無く、どうせ続かないだろうと白けた空気があり。後ろの壁には当月の売上ランキングがグラフにされていて大きく掲げてあり、無言の圧力を掛けているようだ。
　新人は暫くは会社提供の資料で電話攻撃を掛けるが、これが使い古しの５年前の資料で先輩達が何回も掛けた出がらしなので、どうしょうもないのだ。一応は掛けるが１００件で１、２件アポイントが取れるかで全く効率が悪くて電話嫌いになったり、口が怠くなりやる気が失せていく。
　会社の本音は各新人の身内、知人、コネを全て活用してもらい、ネタ切れしたら追い出しに掛かるのだ。
　３ヶ月は最低保証はするがそれ以後は完全な出来高払いなので一件も契約が取れない人は完全な赤字になり、居づらくなっていくのだ。毎月の行動費は最低でも１３万円近く出て行く。ガソリン代、駐車場、昼食費、待ち合わせの喫茶店、飲食費。他に会社提供の品を割高で買わされるのだ。
　〈タオル、カレンダー、飴、手帳、粗品、〉お客様に渡す物品を買わされるのだ。これも会社がピンハネするので、全国規模なので大きな金額になる。本社で大量注文して
るので割安で外交員に売るならまだ福利厚生になるが、逆に高く買わされるのが汚い商売だ。
　新人は３ヶ月は１５万円は保証されて、色々引かれて手取り１２万円程ではとてもじゃないが追い付かない。次の月の行動費に使用するので。服装も清潔を求められるので営業は目に見えない経費が出ていくのだ
　古い人で契約のキャンセルが出ると、その差額を埋めないと辞められないのだ。無職でゴロゴロしていると世間体が悪いと気にして全くの赤字なのに出勤して、奥さんの収入で生計を立てている人も多いのには驚いた。
　さっさと転職して実入りになる仕事に代われば良いものを、、、又、一から下手のぺえぺえになるのが嫌でズルズルの人も多い。
　３ヶ月以上の人には会社は一円も保証しないので損失にはならないのだ。要は自己退職を待っているのだ。
　古い外交員には隠れた恩恵があるのだ。毎月５、６件営業所に直接契約申し込みがあるので、これを内勤者以外の人に担当者を決めないといけないので、その権限が支店長にあるので、その契約の分取り合戦が女子外交員の争奪戦が凄まじい。色仕掛け、ゴマスリ、進物届け物、、、契約の金額に応じて高額の手当が出るので。　　続く