5 / 14
第4話「お飾りの妻の未来は真っ暗」
しおりを挟む
「ほんっとうに冗談じゃないわ・・・誰か嘘だって言ってよ。」
再びこの世界で目が覚めた私は、頭を掻きむしりながらつぶやいた。
私は、ほぼ間違いなくアレシアという女性に転生してしまっている。
アレシアは、【貪り合う欲望の薔薇】小説の第1章で出てくる使い捨てキャラクターだ。
そして、さっきまでいた長髪の偉そうな態度を取る男は、この小説の主人公ヘリオス。
隣にいた美少年はヘリオスの恋人のリチャード。
アレシアは、ヘリオスの恋人のリチャードを罵った事で全ての権利を奪われた後、リチャードとの生活を守るためにと意を決したヘリオスに身籠るまで強引に抱かれ、ようやく妊娠し出産した後は最終章に至るまで一度も小説には登場しない。
第2章からは少しづつ愛の形が歪んでいくヘリオスとリチャードの禁断の関係がメインで描かれるため、単に彼女の存在にはスポットライトが当たらないだけかもしれない。
だが、アレシアが出産したことで後継ぎ問題を解決したヘリオスにとっては、アレシアは完全に要らない存在の為、今まで通り別邸に閉じ込められているか、若しくは・・・いや、この先を想像するのは辞めておこう。
いずれにせよ、アレシアには暗い未来しか待っていない。
「・・・そんなのはごめんだわ。」
頭が痛くなる。いくら昔好きで読んでいた小説とは言え、勘弁してよ。
こっちはあなた達のような男に対してトラウマを抱えているって言うのに。
全く、過去の私はこの小説の何がそんなに良かったのか。
きっとまだ何も知らない子どもだったからこそ、この小説が好きになれたのね。
今の私がこの小説の内容を思い返すと、胸糞悪くて仕方がない。
アレシアの性格の悪さを差し引いても、ヘリオスはひどい男だ。
そんな男と、ここで生活していくのなんて、はっきり言って無理すぎる。
だけど、行く宛もないしどうしたら・・・。
ーコンコン。
悩む私の耳に、扉を叩く音が届いた。
「・・・入っていいわよ。」
扉に向かって声を掛けると、さっき傍にいてくれた赤毛のメイド服を着た女の子が入ってきた。
そういえば、さっきも今も、私の傍にメイドとしているのはこの女の子一人だけだ。
恐らくこのメイドが、ヘリオスが唯一アレシアに付けてくれた侍女なのだろう。
と言う事は、ヘリオスがアレシアをすでに本邸から追い出しているので、この世界は小説で言うところの第1章の中盤に差し掛かった辺りか。
アレシアは第1章の終盤には、ヘリオスに無理矢理抱かれて出産していたから・・・私もこのままここで過ごしていたらいずれそうなるって事!?
「奥様・・・。まだ体調が良くありませんか?」
顔色が悪くなる私を見て、メイドが心配そうに声を掛けた。
「い、いいえ。大丈夫よ。ところで何か用があったんじゃないの?」
メイドに心配させないように、無理に笑顔を作って見せる。
メイドがそれを見て少しだけ安心した顔をした。
「良かった・・・!実は旦那様が奥様の事をお呼びでして。本邸へ来てくれとの伝言を預かっていたのです。」
ああ、やっぱり体調が悪くなったと言っておこうかしら。
でも、そんな事をしたら、この子を困らせてしまうよね。
はあ、行くしかないのか。
心の中でこっそりため息を吐く。
「分かったわ。今から向かうと伝えてちょうだい。」
私の返事を聞いてさらに安心したのか、メイドが足取り軽く部屋を出て行った。
私も私で、のそのそとベッドから身を起こして立ち上がる。
メイドが一人しかいないんだし、別に身なりを整えなくてもいいよね?
気乗りしない私はそのままの姿で部屋を出て、メイドの後を追うことにした。
再びこの世界で目が覚めた私は、頭を掻きむしりながらつぶやいた。
私は、ほぼ間違いなくアレシアという女性に転生してしまっている。
アレシアは、【貪り合う欲望の薔薇】小説の第1章で出てくる使い捨てキャラクターだ。
そして、さっきまでいた長髪の偉そうな態度を取る男は、この小説の主人公ヘリオス。
隣にいた美少年はヘリオスの恋人のリチャード。
アレシアは、ヘリオスの恋人のリチャードを罵った事で全ての権利を奪われた後、リチャードとの生活を守るためにと意を決したヘリオスに身籠るまで強引に抱かれ、ようやく妊娠し出産した後は最終章に至るまで一度も小説には登場しない。
第2章からは少しづつ愛の形が歪んでいくヘリオスとリチャードの禁断の関係がメインで描かれるため、単に彼女の存在にはスポットライトが当たらないだけかもしれない。
だが、アレシアが出産したことで後継ぎ問題を解決したヘリオスにとっては、アレシアは完全に要らない存在の為、今まで通り別邸に閉じ込められているか、若しくは・・・いや、この先を想像するのは辞めておこう。
いずれにせよ、アレシアには暗い未来しか待っていない。
「・・・そんなのはごめんだわ。」
頭が痛くなる。いくら昔好きで読んでいた小説とは言え、勘弁してよ。
こっちはあなた達のような男に対してトラウマを抱えているって言うのに。
全く、過去の私はこの小説の何がそんなに良かったのか。
きっとまだ何も知らない子どもだったからこそ、この小説が好きになれたのね。
今の私がこの小説の内容を思い返すと、胸糞悪くて仕方がない。
アレシアの性格の悪さを差し引いても、ヘリオスはひどい男だ。
そんな男と、ここで生活していくのなんて、はっきり言って無理すぎる。
だけど、行く宛もないしどうしたら・・・。
ーコンコン。
悩む私の耳に、扉を叩く音が届いた。
「・・・入っていいわよ。」
扉に向かって声を掛けると、さっき傍にいてくれた赤毛のメイド服を着た女の子が入ってきた。
そういえば、さっきも今も、私の傍にメイドとしているのはこの女の子一人だけだ。
恐らくこのメイドが、ヘリオスが唯一アレシアに付けてくれた侍女なのだろう。
と言う事は、ヘリオスがアレシアをすでに本邸から追い出しているので、この世界は小説で言うところの第1章の中盤に差し掛かった辺りか。
アレシアは第1章の終盤には、ヘリオスに無理矢理抱かれて出産していたから・・・私もこのままここで過ごしていたらいずれそうなるって事!?
「奥様・・・。まだ体調が良くありませんか?」
顔色が悪くなる私を見て、メイドが心配そうに声を掛けた。
「い、いいえ。大丈夫よ。ところで何か用があったんじゃないの?」
メイドに心配させないように、無理に笑顔を作って見せる。
メイドがそれを見て少しだけ安心した顔をした。
「良かった・・・!実は旦那様が奥様の事をお呼びでして。本邸へ来てくれとの伝言を預かっていたのです。」
ああ、やっぱり体調が悪くなったと言っておこうかしら。
でも、そんな事をしたら、この子を困らせてしまうよね。
はあ、行くしかないのか。
心の中でこっそりため息を吐く。
「分かったわ。今から向かうと伝えてちょうだい。」
私の返事を聞いてさらに安心したのか、メイドが足取り軽く部屋を出て行った。
私も私で、のそのそとベッドから身を起こして立ち上がる。
メイドが一人しかいないんだし、別に身なりを整えなくてもいいよね?
気乗りしない私はそのままの姿で部屋を出て、メイドの後を追うことにした。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
