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第12話「お姫様達は王子様を手に入れたい」
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リチャードを何とか助ける事に成功した後、背中の怪我と、緊張の糸が緩んだからか、私は馬車の中で意識を失ってしまった。
どのくらい時間が経ったか分からないが、ようやく目が覚めた時、私はベッドの上だった。
「・・・ここは・・・。」
状況を確認するべく身体を起こして見回すと、つい最近リゲルスが用意してくれた自分の部屋に私はいた。
馬車の中に居たのは私とリチャードだけだったから、リチャードがここまで運んでくれたのだろうか。
まだぼんやりとする頭でそんな事を考えていると、部屋の扉が開けられ、誰かが入って来た。
顔をそちらに向けると、部屋に入って来たのはリゲルスだった。
「アレシア様!ようやく目が覚めたのですね。
丸二日も目を覚まさなかったので、心配しました・・・!!」
目を覚ました私を確認したリゲルスがそう言いながら、安堵した表情を浮かべて私に走り寄ってきた。
「もう、無茶な事はしないでください。リチャードから聞きました。
これからは一人で何とかしようとせず、私を頼ってください。」
リゲルスが上目遣いで、まるで懇願するようにそう言った。
「う、うん。心配掛けてごめんなさい・・・。」
リゲルスの可愛い表情に胸がキュンっとしてしまった私は、素直にリゲルスに謝った。
私、可愛い女の子に案外弱いのかもしれない。
それとも、やっぱり男装をしているせいで、どんどん心が男になってきているんじゃ・・。
若干の心配が頭を掠めたが、すぐにそんな思いは吹き飛ばされることになった。
リゲルスが開けた扉から、また誰かが一人入って来たのだ。
「アレシア様・・・!お目覚めになったのですね!」
「うん・・・?!」
心配の言葉に返事をしようとしたが、言葉が途切れてしまった。
開いた口が塞がらないとはまさにこのこと。
リゲルスの後に入って来たのは、少しくすんだ金色の長い髪を揺らし、質素でありながらも女性らしいドレスに身を包んだ女の子だった。
しかし、問題はその女の子の顔だ。
顔がどう見ても、あのリチャードだったのだ。
「僕、とても心配でした。僕を助けるために、怪我をしてしまった事が。」
よくよく聞いてみれば、声もリチャードだ。
どうやら、リチャードで間違いないらしい。
「いいんだ。僕がしたくてした事だから。」
リチャードに、気にしないで欲しくてそう答えた。
今は違うとはいえ、ヘリオスとリチャードは昔の私が推していた二人。
そんな二人に関わりたくはないが、不幸になって欲しいわけでもない。
そんな気持ちから、気が付けば身体が動いてしまったのだ。
というか、そんなことよりも聞きたい事が有る私は、早々に話題を変えることにした。
「それよりリチャード、どうしてそんな格好をしているの?」
今のリチャードは、どこからどう見ても女の子だ。
声を聞かない限り、誰が見てもそう思うだろう。
「だって・・・アレシア様は王子様なのでしょう?
だから僕は、あなたのお姫様になりたくて・・・。」
リチャードの言葉は、余計に私を混乱させた。
どういうこと!?私が王子様で、だからお姫様になりたくて女装している?
それって、なんだか・・・。
「まるで僕のことが、好きみたいに聞こえるけど・・・。」
抱いた疑問が思わず声に出てしまう。
だが自分でそう言いいつつも、そんなことはあり得ないと思っていた。
何故ならリチャードが好きなのはヘリオスだって事は、読者の私からしたら重々承知の事実だったから。
私の言葉を聞いたリチャードが、私に向かって可愛くニッコリと笑った。
「・・・好きになってしまったかもしれません。ヘリオス様より。」
な・・・な・・・・
なんだって!?
リチャードの思わぬ発言に、吹き出しそうになってしまう。
ちょっと待って。
この小説は、18禁BL小説のはずでしょう?
なんでこんな事が起きるの!?設定崩壊!?!?
なんだか小説の展開がどんどんおかしな方向に向かっているような・・・!?
思わず両手で頭を抱えてしまう。
しかしそんな私を、さらに追い込むかのように、また誰かが一人私の部屋に入ってきた。
「アレシア・・・!目が覚めたか!」
一体今度は誰・・・・!?
私に向かって掛けられた声には、聞き覚えがあった。
嫌な予感がしつつも顔を上げた私は、その人物を見た瞬間ついに言葉を失ってしまった。
「言いたい事は色々あるが、まずはリチャードを助けたことに礼を言おう。」
礼を言うと言っているくせに偉そうな態度を取る目の前の人物は、この世界に来てから大嫌いになった、アレシアの夫であるヘリオスだった。
だが、言葉を失ったのは、嫌いなヘリオスが目の前に立っているからではない。
ヘリオスが、元々長髪だった髪を緩く巻き、誰もが目を奪われるような豪華なドレスを身に纏っていたからに他ならない。
なんでヘリオスまで女装しているの!?
ここまで来ると驚きを通り越して呆れ顔になってしまう。
そんな私に構わず、ヘリオスは私を見て偉そうに鼻で笑った。
「リチャードがお前に惚れたと言うからな、お前にリチャードを奪われないためには、
お前を俺に惚れさせるしかないだろう?」
ドヤ顔で私にそう言うヘリオスに寒気が走った。
なんでいつもこんなに自信満々なわけ・・・?
一人だけ趣旨が全く違うが、私の目の前には今、3人のお姫様がいる。
「アレシア様、こんな女装野郎なんかより、私を選んでください。」
「騙されないで、アレシア様。こんな嘘つきより、可愛い僕をえらんでくれませんか?」
「どう考えても俺一択だろう。アレシア、早く俺の屋敷に帰ると言え。」
3人とも、王子様をご所望だ。
私は一体、どうすればいいの!?
この小説は、一体どこに向かっているの!?!?
収拾がつかなさそうな事態に、私はいっそのこと、もう一度気を失いたくなってしまった。
どのくらい時間が経ったか分からないが、ようやく目が覚めた時、私はベッドの上だった。
「・・・ここは・・・。」
状況を確認するべく身体を起こして見回すと、つい最近リゲルスが用意してくれた自分の部屋に私はいた。
馬車の中に居たのは私とリチャードだけだったから、リチャードがここまで運んでくれたのだろうか。
まだぼんやりとする頭でそんな事を考えていると、部屋の扉が開けられ、誰かが入って来た。
顔をそちらに向けると、部屋に入って来たのはリゲルスだった。
「アレシア様!ようやく目が覚めたのですね。
丸二日も目を覚まさなかったので、心配しました・・・!!」
目を覚ました私を確認したリゲルスがそう言いながら、安堵した表情を浮かべて私に走り寄ってきた。
「もう、無茶な事はしないでください。リチャードから聞きました。
これからは一人で何とかしようとせず、私を頼ってください。」
リゲルスが上目遣いで、まるで懇願するようにそう言った。
「う、うん。心配掛けてごめんなさい・・・。」
リゲルスの可愛い表情に胸がキュンっとしてしまった私は、素直にリゲルスに謝った。
私、可愛い女の子に案外弱いのかもしれない。
それとも、やっぱり男装をしているせいで、どんどん心が男になってきているんじゃ・・。
若干の心配が頭を掠めたが、すぐにそんな思いは吹き飛ばされることになった。
リゲルスが開けた扉から、また誰かが一人入って来たのだ。
「アレシア様・・・!お目覚めになったのですね!」
「うん・・・?!」
心配の言葉に返事をしようとしたが、言葉が途切れてしまった。
開いた口が塞がらないとはまさにこのこと。
リゲルスの後に入って来たのは、少しくすんだ金色の長い髪を揺らし、質素でありながらも女性らしいドレスに身を包んだ女の子だった。
しかし、問題はその女の子の顔だ。
顔がどう見ても、あのリチャードだったのだ。
「僕、とても心配でした。僕を助けるために、怪我をしてしまった事が。」
よくよく聞いてみれば、声もリチャードだ。
どうやら、リチャードで間違いないらしい。
「いいんだ。僕がしたくてした事だから。」
リチャードに、気にしないで欲しくてそう答えた。
今は違うとはいえ、ヘリオスとリチャードは昔の私が推していた二人。
そんな二人に関わりたくはないが、不幸になって欲しいわけでもない。
そんな気持ちから、気が付けば身体が動いてしまったのだ。
というか、そんなことよりも聞きたい事が有る私は、早々に話題を変えることにした。
「それよりリチャード、どうしてそんな格好をしているの?」
今のリチャードは、どこからどう見ても女の子だ。
声を聞かない限り、誰が見てもそう思うだろう。
「だって・・・アレシア様は王子様なのでしょう?
だから僕は、あなたのお姫様になりたくて・・・。」
リチャードの言葉は、余計に私を混乱させた。
どういうこと!?私が王子様で、だからお姫様になりたくて女装している?
それって、なんだか・・・。
「まるで僕のことが、好きみたいに聞こえるけど・・・。」
抱いた疑問が思わず声に出てしまう。
だが自分でそう言いいつつも、そんなことはあり得ないと思っていた。
何故ならリチャードが好きなのはヘリオスだって事は、読者の私からしたら重々承知の事実だったから。
私の言葉を聞いたリチャードが、私に向かって可愛くニッコリと笑った。
「・・・好きになってしまったかもしれません。ヘリオス様より。」
な・・・な・・・・
なんだって!?
リチャードの思わぬ発言に、吹き出しそうになってしまう。
ちょっと待って。
この小説は、18禁BL小説のはずでしょう?
なんでこんな事が起きるの!?設定崩壊!?!?
なんだか小説の展開がどんどんおかしな方向に向かっているような・・・!?
思わず両手で頭を抱えてしまう。
しかしそんな私を、さらに追い込むかのように、また誰かが一人私の部屋に入ってきた。
「アレシア・・・!目が覚めたか!」
一体今度は誰・・・・!?
私に向かって掛けられた声には、聞き覚えがあった。
嫌な予感がしつつも顔を上げた私は、その人物を見た瞬間ついに言葉を失ってしまった。
「言いたい事は色々あるが、まずはリチャードを助けたことに礼を言おう。」
礼を言うと言っているくせに偉そうな態度を取る目の前の人物は、この世界に来てから大嫌いになった、アレシアの夫であるヘリオスだった。
だが、言葉を失ったのは、嫌いなヘリオスが目の前に立っているからではない。
ヘリオスが、元々長髪だった髪を緩く巻き、誰もが目を奪われるような豪華なドレスを身に纏っていたからに他ならない。
なんでヘリオスまで女装しているの!?
ここまで来ると驚きを通り越して呆れ顔になってしまう。
そんな私に構わず、ヘリオスは私を見て偉そうに鼻で笑った。
「リチャードがお前に惚れたと言うからな、お前にリチャードを奪われないためには、
お前を俺に惚れさせるしかないだろう?」
ドヤ顔で私にそう言うヘリオスに寒気が走った。
なんでいつもこんなに自信満々なわけ・・・?
一人だけ趣旨が全く違うが、私の目の前には今、3人のお姫様がいる。
「アレシア様、こんな女装野郎なんかより、私を選んでください。」
「騙されないで、アレシア様。こんな嘘つきより、可愛い僕をえらんでくれませんか?」
「どう考えても俺一択だろう。アレシア、早く俺の屋敷に帰ると言え。」
3人とも、王子様をご所望だ。
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