54 / 58
第四章 告白の行方
47
しおりを挟む
「ねえディア、気づいてた? ここに戻った君は、演技以外の時には僕を『殿下』と呼んでいたよね? クラウスには『様』だった」
本当かしら? そうだとすると、完全に無意識ね。クラウスへ抱く私の気持ちは、アウロス王子にバレバレだったのかもしれない。
「君を迎えに行ったのは僕なのに、君が選ぶのはクラウスなんだね? もしもあの時、『構わない』と正直に告げていたら……」
アウロス王子が領地に来た時のことは、よく覚えている。けれど、構わないって何のこと? そう答える場面ってあったかしら?
眉根を寄せて考え込んでいたところ、アウロス王子が急に身体を離した。彼の両手は私の腕に添えられて、青い瞳が私を真っ直ぐ見つめている。
「ディア、君にはもちろん幸せになってほしい。相手がクラウスだとしても」
つらそうな声は、彼には似合わない。アウロス王子は何が言いたいの?
「歓迎するよ、ミレディア…………義姉さん」
彼は柔らかく微笑むと、私の頬に触れ――かけた手を握り締めて脇に下ろした。ようやく接近し過ぎだと、気付いてくれたみたい。
そうか、アウロス王子は国王夫妻に会う前に、私を励ましに来てくれたのね?
「ふふ、気が早いですわ。でも、ありがとうございます。アウロス……様」
せっかくだから『様』を付けてにっこり笑う。構わないとは「そう呼んで構わない」ということなのか。そんなに敬称にこだわっていたとは知らなかったけれど、これからは十分気をつけようと思う。
もう一度、アウロス王子に感謝を込めて微笑みかけようとしたところで、扉の方から低い声が響く。
「そこまでだ、アウロス。また殴られたくないなら離れろ。ディアは俺の婚約者だ」
「クラウス!」
彼を見た私は、すかさず喜びの声を上げた。濃紺の上衣に黒のトラウザーズという改まった姿のクラウスも素敵で、私の胸は大きく跳ねる。腕を組んで壁に寄りかかっているクラウスは、いつからそこにいたのだろうか?
「やれやれ。クラウスこそ、自分から頬を差し出したくせに。そんなに嫉妬深いと嫌われるよ?」
「アウロス、ケンカを売るなら買うが?」
「本気のクラウスとは嫌だよ。ねえミレディア、兄が嫌になったらいつでもおいで? 僕が慰めてあげるから」
アウロス王子が茶目っ気たっぷりに片目を瞑る。良かった、いつもの彼だわ。
「ふふ、そうならないように努力しますね」
元気がないように見えたのは、たぶん気のせいだ。今日の私は緊張しているので、物の見え方が変になっているみたい。
アウロス王子に挨拶した私は、愛しいクラウスの元に歩いて行く。クラウスは手を広げて私を迎え入れると、髪にキスを落としてくれた。よく見ればクラウスも怪我をしたようで、頬のところがうっすら黒くなっている。さっき殴られたとか差し出したとか不穏な単語が出ていたから、兄弟げんかでもしたのかしら? まあ二人は普段仲が良いから、特に心配はしていない。
クラウスと腕を組み、私は部屋を振り返る。すると、口元に笑みを浮かべたアウロス王子が、私達に向かってひらひら手を振っていた。いってらっしゃい、ということなのだろう。わざわざ元気づけに来てくれるとは、未来の義弟は年上だけど気が利いているわね!
この後いよいよ、婚姻の許可を得るために国王夫妻に謁見する。一向に戻らない兄が気になるけれど、仕事の話が終わり次第、合流するってことでいいのかしら?
考えてみれば私は、国王陛下と王妃様に間近でお会いするのは初めて。本来は社交界デビューの時に挨拶するのが貴族女性の常だけど、私は病弱だという理由で欠席していた。社交界の催しにも顔を出したことがないために、お二人の姿はほんのちょっぴり絵で見た程度だ。
舞踏会に出席したのはこの前の一度きりだし、その時も壁に貼り付いて遠目にお顔を拝見しただけ。クラウスと踊っている時にはダンスの方が楽しくて、注意を払っていなかった。あの時には、こんな風になるとは全く思っていなくて……
伯爵家の令嬢が社交界を避けるなんて非常識だし、ただでさえ悪女という噂が先行している。年も行き遅れの一歩手前で、気に入られる要素が全くないというのはかなり不安だ。こんなんで、王太子となるクラウスとの結婚を認めてもらえるのかしら?
その時が近づくにつれ、緊張が高まった。そんな私をクラウスが優しく励ましてくれる。
「ディアはいつものままでいい。とっくに話は通してあるし、俺の相手なら歓迎すると言われている」
それって相手の女性がまともな場合でしょう? フリとはいえアウロス王子と噂があって、クラウス王子にも手を出しちゃっている私は、どうすればいいの?
玉座の間に入るのも、もちろん初めて。磨き抜かれた大理石の床には緋色の絨毯が敷かれていて、天井からは大きなシャンデリアが吊り下がっている。正面奥は一段高く金色の立派な椅子が二つ並び、その背にはリベルト国の国旗が掲げられていた。
空の玉座に向かって深々とお辞儀をしていたところ、衣擦れの音と共に国王陛下と王妃が現れ、着席なさった。
「構わん、面を上げよ」
顔を上げた私は、思わずわが目を疑う。そこにいらしたのは、クラウスによく似た黒髪で渋めの国王と、その隣には――
「ふふ、またお会いできたわね?」
どうしてここに、アウロス王子の年上彼女が!?
淡い金色の髪に水色の瞳の彼女は、今日もすごく綺麗だ。先日はうっかり公爵夫人と呼んでしまったけれど、本人が否定していた。それなら……って、待って。国王の隣にいらっしゃるということは、ま、まさか!
気づいた瞬間青ざめる。国王が再婚したという話は聞いたことがないし、側室も特にいらっしゃらないはず。それならこの方こそ――
「陛下並びに王妃、いえ、父上母上。今日は私の大事な人を紹介します」
ああ、やっぱり。この女性は正真正銘クラウスのお母様で、この国の王妃だ! 若々しいのにこんなに大きな子供がいるなんて、ちっともわからなかった。私は慌てて姿勢を正す。
「国王陛下、王妃様。拝謁の喜びに与れて、誠に嬉しく存じます。ベルツ伯爵家の長女、ミレディア=ベルツにございます」
「うむ」
「まあ。私、堅苦しいのは嫌いよ?」
王妃様のこの言葉、どこかで――そうか、アウロス王子の口癖ね! そういえば、お二人は顔もよく似ている。クラウスが国王寄りだとすると、アウロス王子は母親にそっくり。どうして私、彼女だと思い込んだのかしら?
「父上母上。彼女は私のかけがえのない人です。ご承認いただければ、すぐにでも婚約の儀を」
……終わった。婚約どころか交際だって認められないに違いない。だって、王妃様は私が悪女だという噂をご存知だもの。たとえあれがお芝居だったと釈明しても、王太子となる大事な息子の妃として、評判の悪い私を据えようなどとは思わないはずだ。
「クラウス、そう急ぐでない。彼女の話も聞いてからだ」
「そうよ。私ももう少し仲良くなりたいわ」
ご夫婦揃って反対するって、ダメなパターンだ。このまま「親しくなれなかったからごめんなさい」とお断りされてしまいそうな。
「仲良く、とは? 母上、茶会でも開けということですか?」
「あらあら、そんなわけないでしょう? わざわざいらしていただいたんだもの、まずは全てをはっきりさせましょう。ねえ、貴方」
「ああ、そのために彼女達も招んでいる。存分に文句を言うといい」
彼女達? 文句? まさか、クラウスの愛人達がぞろぞろ登場するの?
女嫌いで通していたとはいえ、二十五歳のクラウスに今まで女性の影がなかったはずはない。ただでさえ彼は人気だし、狩猟小屋でのあの夜も慣れていて優しかった。
頭ではわかっていても、心が理解を拒む。彼に愛された女性と対面すると考えただけで、私の胸は激しく痛んだ。悲しい思いで隣を見ると、クラウスはため息をつきながら髪をかき上げていた。事情を察して観念したってことなの?
本当かしら? そうだとすると、完全に無意識ね。クラウスへ抱く私の気持ちは、アウロス王子にバレバレだったのかもしれない。
「君を迎えに行ったのは僕なのに、君が選ぶのはクラウスなんだね? もしもあの時、『構わない』と正直に告げていたら……」
アウロス王子が領地に来た時のことは、よく覚えている。けれど、構わないって何のこと? そう答える場面ってあったかしら?
眉根を寄せて考え込んでいたところ、アウロス王子が急に身体を離した。彼の両手は私の腕に添えられて、青い瞳が私を真っ直ぐ見つめている。
「ディア、君にはもちろん幸せになってほしい。相手がクラウスだとしても」
つらそうな声は、彼には似合わない。アウロス王子は何が言いたいの?
「歓迎するよ、ミレディア…………義姉さん」
彼は柔らかく微笑むと、私の頬に触れ――かけた手を握り締めて脇に下ろした。ようやく接近し過ぎだと、気付いてくれたみたい。
そうか、アウロス王子は国王夫妻に会う前に、私を励ましに来てくれたのね?
「ふふ、気が早いですわ。でも、ありがとうございます。アウロス……様」
せっかくだから『様』を付けてにっこり笑う。構わないとは「そう呼んで構わない」ということなのか。そんなに敬称にこだわっていたとは知らなかったけれど、これからは十分気をつけようと思う。
もう一度、アウロス王子に感謝を込めて微笑みかけようとしたところで、扉の方から低い声が響く。
「そこまでだ、アウロス。また殴られたくないなら離れろ。ディアは俺の婚約者だ」
「クラウス!」
彼を見た私は、すかさず喜びの声を上げた。濃紺の上衣に黒のトラウザーズという改まった姿のクラウスも素敵で、私の胸は大きく跳ねる。腕を組んで壁に寄りかかっているクラウスは、いつからそこにいたのだろうか?
「やれやれ。クラウスこそ、自分から頬を差し出したくせに。そんなに嫉妬深いと嫌われるよ?」
「アウロス、ケンカを売るなら買うが?」
「本気のクラウスとは嫌だよ。ねえミレディア、兄が嫌になったらいつでもおいで? 僕が慰めてあげるから」
アウロス王子が茶目っ気たっぷりに片目を瞑る。良かった、いつもの彼だわ。
「ふふ、そうならないように努力しますね」
元気がないように見えたのは、たぶん気のせいだ。今日の私は緊張しているので、物の見え方が変になっているみたい。
アウロス王子に挨拶した私は、愛しいクラウスの元に歩いて行く。クラウスは手を広げて私を迎え入れると、髪にキスを落としてくれた。よく見ればクラウスも怪我をしたようで、頬のところがうっすら黒くなっている。さっき殴られたとか差し出したとか不穏な単語が出ていたから、兄弟げんかでもしたのかしら? まあ二人は普段仲が良いから、特に心配はしていない。
クラウスと腕を組み、私は部屋を振り返る。すると、口元に笑みを浮かべたアウロス王子が、私達に向かってひらひら手を振っていた。いってらっしゃい、ということなのだろう。わざわざ元気づけに来てくれるとは、未来の義弟は年上だけど気が利いているわね!
この後いよいよ、婚姻の許可を得るために国王夫妻に謁見する。一向に戻らない兄が気になるけれど、仕事の話が終わり次第、合流するってことでいいのかしら?
考えてみれば私は、国王陛下と王妃様に間近でお会いするのは初めて。本来は社交界デビューの時に挨拶するのが貴族女性の常だけど、私は病弱だという理由で欠席していた。社交界の催しにも顔を出したことがないために、お二人の姿はほんのちょっぴり絵で見た程度だ。
舞踏会に出席したのはこの前の一度きりだし、その時も壁に貼り付いて遠目にお顔を拝見しただけ。クラウスと踊っている時にはダンスの方が楽しくて、注意を払っていなかった。あの時には、こんな風になるとは全く思っていなくて……
伯爵家の令嬢が社交界を避けるなんて非常識だし、ただでさえ悪女という噂が先行している。年も行き遅れの一歩手前で、気に入られる要素が全くないというのはかなり不安だ。こんなんで、王太子となるクラウスとの結婚を認めてもらえるのかしら?
その時が近づくにつれ、緊張が高まった。そんな私をクラウスが優しく励ましてくれる。
「ディアはいつものままでいい。とっくに話は通してあるし、俺の相手なら歓迎すると言われている」
それって相手の女性がまともな場合でしょう? フリとはいえアウロス王子と噂があって、クラウス王子にも手を出しちゃっている私は、どうすればいいの?
玉座の間に入るのも、もちろん初めて。磨き抜かれた大理石の床には緋色の絨毯が敷かれていて、天井からは大きなシャンデリアが吊り下がっている。正面奥は一段高く金色の立派な椅子が二つ並び、その背にはリベルト国の国旗が掲げられていた。
空の玉座に向かって深々とお辞儀をしていたところ、衣擦れの音と共に国王陛下と王妃が現れ、着席なさった。
「構わん、面を上げよ」
顔を上げた私は、思わずわが目を疑う。そこにいらしたのは、クラウスによく似た黒髪で渋めの国王と、その隣には――
「ふふ、またお会いできたわね?」
どうしてここに、アウロス王子の年上彼女が!?
淡い金色の髪に水色の瞳の彼女は、今日もすごく綺麗だ。先日はうっかり公爵夫人と呼んでしまったけれど、本人が否定していた。それなら……って、待って。国王の隣にいらっしゃるということは、ま、まさか!
気づいた瞬間青ざめる。国王が再婚したという話は聞いたことがないし、側室も特にいらっしゃらないはず。それならこの方こそ――
「陛下並びに王妃、いえ、父上母上。今日は私の大事な人を紹介します」
ああ、やっぱり。この女性は正真正銘クラウスのお母様で、この国の王妃だ! 若々しいのにこんなに大きな子供がいるなんて、ちっともわからなかった。私は慌てて姿勢を正す。
「国王陛下、王妃様。拝謁の喜びに与れて、誠に嬉しく存じます。ベルツ伯爵家の長女、ミレディア=ベルツにございます」
「うむ」
「まあ。私、堅苦しいのは嫌いよ?」
王妃様のこの言葉、どこかで――そうか、アウロス王子の口癖ね! そういえば、お二人は顔もよく似ている。クラウスが国王寄りだとすると、アウロス王子は母親にそっくり。どうして私、彼女だと思い込んだのかしら?
「父上母上。彼女は私のかけがえのない人です。ご承認いただければ、すぐにでも婚約の儀を」
……終わった。婚約どころか交際だって認められないに違いない。だって、王妃様は私が悪女だという噂をご存知だもの。たとえあれがお芝居だったと釈明しても、王太子となる大事な息子の妃として、評判の悪い私を据えようなどとは思わないはずだ。
「クラウス、そう急ぐでない。彼女の話も聞いてからだ」
「そうよ。私ももう少し仲良くなりたいわ」
ご夫婦揃って反対するって、ダメなパターンだ。このまま「親しくなれなかったからごめんなさい」とお断りされてしまいそうな。
「仲良く、とは? 母上、茶会でも開けということですか?」
「あらあら、そんなわけないでしょう? わざわざいらしていただいたんだもの、まずは全てをはっきりさせましょう。ねえ、貴方」
「ああ、そのために彼女達も招んでいる。存分に文句を言うといい」
彼女達? 文句? まさか、クラウスの愛人達がぞろぞろ登場するの?
女嫌いで通していたとはいえ、二十五歳のクラウスに今まで女性の影がなかったはずはない。ただでさえ彼は人気だし、狩猟小屋でのあの夜も慣れていて優しかった。
頭ではわかっていても、心が理解を拒む。彼に愛された女性と対面すると考えただけで、私の胸は激しく痛んだ。悲しい思いで隣を見ると、クラウスはため息をつきながら髪をかき上げていた。事情を察して観念したってことなの?
4
あなたにおすすめの小説
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
【完結】御令嬢、あなたが私の本命です!
やまぐちこはる
恋愛
アルストロ王国では成人とともに結婚することが慣例、そして王太子に選ばれるための最低の条件だが、三人いる王子のうち最有力候補の第一王子エルロールはじきに19歳になるのに、まったく女性に興味がない。
焦る側近や王妃。
そんな中、視察先で一目惚れしたのは王族に迎えることはできない身分の男爵令嬢で。
優秀なのに奥手の拗らせ王子の恋を叶えようと、王子とその側近が奮闘する。
=========================
※完結にあたり、外伝にまとめていた
リリアンジェラ編を分離しました。
お立ち寄りありがとうございます。
くすりと笑いながら軽く読める作品・・
のつもりです。
どうぞよろしくおねがいします。
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
赤貧令嬢の借金返済契約
夏菜しの
恋愛
大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。
いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。
クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。
王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。
彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。
それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。
赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。
【完結】あなたの色に染める〜無色の私が聖女になるまで〜
白崎りか
恋愛
色なしのアリアには、従兄のギルベルトが全てだった。
「ギルベルト様は私の婚約者よ! 近づかないで。色なしのくせに!」
(お兄様の婚約者に嫌われてしまった。もう、お兄様には会えないの? 私はかわいそうな「妹」でしかないから)
ギルベルトと距離を置こうとすると、彼は「一緒に暮らそう」と言いだした。
「婚約者に愛情などない。大切なのは、アリアだけだ」
色なしは魔力がないはずなのに、アリアは魔法が使えることが分かった。
糸を染める魔法だ。染めた糸で刺繍したハンカチは、不思議な力を持っていた。
「こんな魔法は初めてだ」
薔薇の迷路で出会った王子は、アリアに手を差し伸べる。
「今のままでいいの? これは君にとって良い機会だよ」
アリアは魔法の力で聖女になる。
※小説家になろう様にも投稿しています。
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
出ていってください!~結婚相手に裏切られた令嬢はなぜか騎士様に溺愛される~
白井
恋愛
イヴェット・オーダム男爵令嬢の幸せな結婚生活が始まる……はずだった。
父の死後、急に態度が変わった結婚相手にイヴェットは振り回されていた。
財産を食いつぶす義母、継いだ仕事を放棄して不貞を続ける夫。
それでも家族の形を維持しようと努力するイヴェットは、ついに殺されかける。
「もう我慢の限界。あなたたちにはこの家から出ていってもらいます」
覚悟を決めたら、なぜか騎士団長様が執着してきたけれど困ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる