転生したら、犬だったらよかったのに……9割は人間でした。

真白 悟

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11 魔法の言葉

158 失敗

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「それじゃあ、そろそろ休憩は終わりだよ!」というケントニスの言葉を合図に、僕は姿勢を不恰好ながらもただした。
 彼女と話しているだけで、不思議と先ほどまでの疲れはなくなったような気がする。

「本当に魔力って、心なんですね」
「生命力っていうほうが近いけどね! でも、心の力でいかようにもなるって考えると、心そのものって考え方も出来るよね!」

 本当に変な人だ。
 あれほど恐ろしく、高潔だと感じていたケントニスが、今では恐ろしいほどに親しみやすく感じる。真の魔法使いともなると、これほどまでに感情を操れなくちゃいけないのか。

「ほら、魔力コントロールが乱れているよ。余計なことを考えずに集中して」

 今度は恐ろしく冷静に僕のミスを指摘する。
 今まで見せてきた数多の顔……そのどれがケントニスの本物なのかまるで見当がつかない。

 なんて、そんなことを考えている場合じゃない。集中しなくちゃ。

「今度は魔力を無駄にしないように、するどく、それでいてなめらかに……」

 ケントニスに言われるがまま、僕は体外に放出する魔力を手の平に素早く、そして出来るだけ凝縮させるようにイメージする。
 魔力を増幅させるために感情を高ぶらせて、魔力を集中させるために心をおちつかせる。
 その矛盾を一瞬のうちにやってのけなくちゃならない。恐ろしく精神が削られる作業だ。

「うん。さっきよりもいい感じ」

 そんな言葉が耳に端に入る。
 それでも僕は集中を解かず、魔力をひたすらに集める。
 どれだけ冷静でいようと、魔法を使うとなれば胸が高鳴る。その影響か、自分でも想像していた以上の魔力が手の平に集まっているのを感じる。あまりよくない傾向だ。このまま魔力が集まり続ければ、たぶんさっきみたいに無駄に魔力を放出することになって、最悪の場合は死すらもあり得るのではないかと恐怖するほどだった。
 何とかして魔力を抑えなければと、昂る感情を鎮めようとするが、それがむしろ逆に影響して心臓はどんどん体中に酸素を送りだそうとする。
 感情を抑えられないのであれば、今度は魔力を集めるのを抑えようと手の平に向けていた視線を切った。集中している時は分からなかったが、このあたりにはほとんどなかったはずの魔力が大気中から集まり、それが僕の体を包みこんで青白く発光しているのが見えた。

 その瞬間に――『失敗』という二文字が頭によぎった。

「これ以上はまずい! いったん魔力を放出して!」

 慌てるケントニスの声が耳に入り、僕はあわてて魔力を放出した。
 風が轟音を立てながら、砂埃を舞い散らせ、辺りの木々から緑の葉が舞い落ちる。それから数秒後に、鉄か何かが巨大なものにぶつかるような音が聞こえてきて、そのまま僕は気を失った。
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