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11 魔法の言葉
163 成功
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僕が口にした覚悟が、全身を流れるような感覚があった。おそらくは単なる錯覚だ。だけど、これほどのことがあった後だというのに、不思議と心が温かい。
「『覚悟』……それは言葉の魔法でも最も高潔な魔法。ケン君は今、魔法に誓ったんだよ。君の覚悟が魔法に乗って全身を流れたんだ。これで言葉の魔法の基礎は終わりだよ」
「それは――」
――どういう意味だと尋ねそうになったが、僕はあわてて口を塞いだ。
それを聞いたところで、答えを聞いたところで意味がないとそう感じたからだ。その答えは自分で見つけなくちゃいけないと、そんな気がしたんだ。
「大丈夫、ケン君の魔法はもう暴発しない。もう一度、昨日と同じように魔法を使ってみればいいよ!」
ケントニスの表情は嘘を言っている人がみせるものじゃない。と言っても、感情を自在にコントロールしてみせる彼女の本心を読むなんて僕には出来ないだろう。なんていったって、彼女は僕の心を少しだけ読むことが出来るんだから。
だけど、それでも僕はケントニスを信じて、再び手の平に魔力を集中させる。
変な感覚だ。昨日よりも遥かに気持ちが高ぶっているはずなのに、集中し始めたとたんにかなり冷静になった自分がいる。順調に魔力は手の平に集まり、そして鋭く濃密になっていく。
「うん。体内の魔力コントロールは十分だよ! あとは体外に放った後の魔力を操る言葉……それを魔力に乗せればいい」
そんなことをケントニスは簡単に言うが、ぶっつけ本番だ。うまく出来る自信はまるでない。
でもさっき、もう失敗しないって誓った。だから、僕は――
「失敗しないっ!!」
濃密に圧縮された魔力は、それでも僕の目に映ることなく放出された。だけど不思議とどのあたりにあるのかは手に取るようにわかった。
どうやら体外に放出した魔力のコントロールも問題なさそうだ。昨日はまっすぐに飛ばすことしかできなかったが、垂直に曲げることも出来そうだ。
僕は放出した魔力を拡散させることなく、ある程度飛ばすと右方向に垂直に動かす。
問題なくうまくいった。
「うまい、うまい! 昨日みたいに無駄に魔力も拡散してないし、3回目にしては上出来だよ!」
はしゃぐケントニスを横目に、僕は最後に魔力を的に当てるために集中力を高める。
的は魔力のもう少し前にある大きな木だ。たぶんケントニスのように、打ち倒すことは出来ないだろう。だからこそ、しっかりと幹の中心に当てていきたい。でも、体外に出た魔力のコントロールは思っていた以上に繊細だ。ほんの少し角度をずらすだけで精神力がずいぶんと持って行かれる。垂直に曲げたのは少し考えなしだった。
木の幹まで数メートル。最後に僕は集中力を限界まで上げる。そうしないと、木の中心になるように方向を変えるのは難しい。
あと数センチ、額からの汗が目じりにまで流れてきた。
「大丈夫だ。これぐらい!」
魔力が木の幹の中心を捉え、そのまま衝突した。それを確認して集中を解くと魔力はすぐに拡散してしまった。
的の木はというと、やっぱりケントニスみたいにはいかなかった。木の幹に昨日よりかは確実に大きな穴をあけたが、押し倒すほどまではいかなかったらしい。
「魔物を討伐するには十分な威力だよ! あ、でもこの木はこのままじゃ危ないから……」
ケントニスはそう言うとノータイムで木を倒す。
魔力を放出する瞬間すらわからなかった。これが経験の差と言うやつなのだろうか、いやそんなレベルで済ましていいのだろうか。とそんなことを考えていると、緊張の糸が切れたようで、僕の顔に大地が迫った。
「もっと魔力を絞らないとね!」
大地に激突する前に、ケントニスが僕を支えてくれる。
ありがたい。無駄に痛い思いをするのは嫌だからな。
「『覚悟』……それは言葉の魔法でも最も高潔な魔法。ケン君は今、魔法に誓ったんだよ。君の覚悟が魔法に乗って全身を流れたんだ。これで言葉の魔法の基礎は終わりだよ」
「それは――」
――どういう意味だと尋ねそうになったが、僕はあわてて口を塞いだ。
それを聞いたところで、答えを聞いたところで意味がないとそう感じたからだ。その答えは自分で見つけなくちゃいけないと、そんな気がしたんだ。
「大丈夫、ケン君の魔法はもう暴発しない。もう一度、昨日と同じように魔法を使ってみればいいよ!」
ケントニスの表情は嘘を言っている人がみせるものじゃない。と言っても、感情を自在にコントロールしてみせる彼女の本心を読むなんて僕には出来ないだろう。なんていったって、彼女は僕の心を少しだけ読むことが出来るんだから。
だけど、それでも僕はケントニスを信じて、再び手の平に魔力を集中させる。
変な感覚だ。昨日よりも遥かに気持ちが高ぶっているはずなのに、集中し始めたとたんにかなり冷静になった自分がいる。順調に魔力は手の平に集まり、そして鋭く濃密になっていく。
「うん。体内の魔力コントロールは十分だよ! あとは体外に放った後の魔力を操る言葉……それを魔力に乗せればいい」
そんなことをケントニスは簡単に言うが、ぶっつけ本番だ。うまく出来る自信はまるでない。
でもさっき、もう失敗しないって誓った。だから、僕は――
「失敗しないっ!!」
濃密に圧縮された魔力は、それでも僕の目に映ることなく放出された。だけど不思議とどのあたりにあるのかは手に取るようにわかった。
どうやら体外に放出した魔力のコントロールも問題なさそうだ。昨日はまっすぐに飛ばすことしかできなかったが、垂直に曲げることも出来そうだ。
僕は放出した魔力を拡散させることなく、ある程度飛ばすと右方向に垂直に動かす。
問題なくうまくいった。
「うまい、うまい! 昨日みたいに無駄に魔力も拡散してないし、3回目にしては上出来だよ!」
はしゃぐケントニスを横目に、僕は最後に魔力を的に当てるために集中力を高める。
的は魔力のもう少し前にある大きな木だ。たぶんケントニスのように、打ち倒すことは出来ないだろう。だからこそ、しっかりと幹の中心に当てていきたい。でも、体外に出た魔力のコントロールは思っていた以上に繊細だ。ほんの少し角度をずらすだけで精神力がずいぶんと持って行かれる。垂直に曲げたのは少し考えなしだった。
木の幹まで数メートル。最後に僕は集中力を限界まで上げる。そうしないと、木の中心になるように方向を変えるのは難しい。
あと数センチ、額からの汗が目じりにまで流れてきた。
「大丈夫だ。これぐらい!」
魔力が木の幹の中心を捉え、そのまま衝突した。それを確認して集中を解くと魔力はすぐに拡散してしまった。
的の木はというと、やっぱりケントニスみたいにはいかなかった。木の幹に昨日よりかは確実に大きな穴をあけたが、押し倒すほどまではいかなかったらしい。
「魔物を討伐するには十分な威力だよ! あ、でもこの木はこのままじゃ危ないから……」
ケントニスはそう言うとノータイムで木を倒す。
魔力を放出する瞬間すらわからなかった。これが経験の差と言うやつなのだろうか、いやそんなレベルで済ましていいのだろうか。とそんなことを考えていると、緊張の糸が切れたようで、僕の顔に大地が迫った。
「もっと魔力を絞らないとね!」
大地に激突する前に、ケントニスが僕を支えてくれる。
ありがたい。無駄に痛い思いをするのは嫌だからな。
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