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梓
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「お姉ちゃんについて、どう思います?」
彩錦は唐突にそんなことを口走る。
「どうって言われても、まあ、見た目はいいし、優しいし、いいやつだと思うよ。胸がないところと、ドジな所を除けばだが……」
なぜいきなりそんな話を始めるのかはしらないが、一応真面目に答えてみたりする。
そういえば思い出すな。梓と初めて会った時のこと。
――あれは、入学式、先生と校門であったすぐ後のことだった。
「あれ……? おかしいわね。確か体育館に向かっていたはずだったのに……」
どこからともなく、そんな女性の声が耳に入った。
最初は冗談で言ってるんだとばかり思っていたが、声の主を見るに全然冗談ではなさそうだ。
体育館の前でひたすらうろうろとさまよっている。
「あの、どうかしました?」
それが僕が初めて梓にかけた言葉だった。
桜の花びらを長い黒髪にまとわせながら、彼女は僕の瞳を覗き込む。純真無垢なようで、しっかりと真実を見つめている。そんな感じの印象だ。
「実は道に迷ってしまいまして……」
「それは大変ですね、どこに行きたいんですか?」
ぴかぴかの制服から見るに、彼女も僕と同じで、今年からの学校に通う新入生だろう。目的地は僕と同じに違いない。さっきそんなことを口走っていたし。
「体育館です。友達と一緒に向かってたはずなんですが、いつの間にか一人で……」
「体育館、それは奇遇ですね。実は僕も体育館に――」
「――本当ですか!?」
彼女は僕の言葉も聞かずに、嬉しそうに僕の方に駆け寄ってくる。
昨日降ったであろう、水たまりと、桜の花に足を滑らせて勢いよく水たまりに倒れそうになる。
僕も男だ。それをただ見守っていたわけではない。
「危ない!!」
僕は思わず彼女と水たまりの間にスライディングする。全身ずぶ濡れだ。
だけど、友達なんてものがいるリア充をずぶぬれにするよりはましだろう。僕は身代りになってもそれほど悪い気持でもなかった。
彩錦は唐突にそんなことを口走る。
「どうって言われても、まあ、見た目はいいし、優しいし、いいやつだと思うよ。胸がないところと、ドジな所を除けばだが……」
なぜいきなりそんな話を始めるのかはしらないが、一応真面目に答えてみたりする。
そういえば思い出すな。梓と初めて会った時のこと。
――あれは、入学式、先生と校門であったすぐ後のことだった。
「あれ……? おかしいわね。確か体育館に向かっていたはずだったのに……」
どこからともなく、そんな女性の声が耳に入った。
最初は冗談で言ってるんだとばかり思っていたが、声の主を見るに全然冗談ではなさそうだ。
体育館の前でひたすらうろうろとさまよっている。
「あの、どうかしました?」
それが僕が初めて梓にかけた言葉だった。
桜の花びらを長い黒髪にまとわせながら、彼女は僕の瞳を覗き込む。純真無垢なようで、しっかりと真実を見つめている。そんな感じの印象だ。
「実は道に迷ってしまいまして……」
「それは大変ですね、どこに行きたいんですか?」
ぴかぴかの制服から見るに、彼女も僕と同じで、今年からの学校に通う新入生だろう。目的地は僕と同じに違いない。さっきそんなことを口走っていたし。
「体育館です。友達と一緒に向かってたはずなんですが、いつの間にか一人で……」
「体育館、それは奇遇ですね。実は僕も体育館に――」
「――本当ですか!?」
彼女は僕の言葉も聞かずに、嬉しそうに僕の方に駆け寄ってくる。
昨日降ったであろう、水たまりと、桜の花に足を滑らせて勢いよく水たまりに倒れそうになる。
僕も男だ。それをただ見守っていたわけではない。
「危ない!!」
僕は思わず彼女と水たまりの間にスライディングする。全身ずぶ濡れだ。
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