先生と僕

真白 悟

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企み

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 奇妙な女生徒との出会いから、数か月たった頃のこと。
 金持ちで文豪との付き合いもある女生徒に、何度も物語をつぶされた後の私に残ったものはただ純粋に授業を行うという使命だけだ。

「25ページを開きなさい」
 自身の価値観をつぶされて憂鬱になっていた私は、いつものように流れ作業を行うように生徒たちにそう指示した。
 非常に残念なことではあるが、今回も例の女生徒がいるクラスだ。
 だがそんなことは関係ない。私はただ無心で授業を進めるだけ、彼女が何か言おうとも気にしないし、授業を止めてまで討論するつもりもない。
 私の解説に対して、彼女が何かを言っていたような気がする。それに対して私は「そういう考え方もあるのか……」とだけ言っておいた。――それがいけなかったようだ。

「つまんない!」
 例の女生徒が大声を上げる。
「授業中だぞ?」
 彼女が私の授業をどう思おうが別にどうでもよかったが、便宜上注意はしておくことにした。
一応理事長の娘だしそれ相応の対応はしておかねばだしな。
「もういいです。結局あなたも他の先生と同じで、理事長の娘だからって当たり障りのない対応をするってことですね?」
 なんてことを言われたが、さっぱり意味が分からなかった。
 私はそれでも普通に授業を続けた。彼女が私のことをどう思おうがどうでもいいし、勝負をするなら正々堂々だ。こんなところで口で説き伏せても意味はない。私が狙うのは中間テストだ。
 今までの授業で、彼女が反発してきたところばかりをテストに出してやろう。授業中と同じことを書けばもちろん不正解だ。
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