先生と僕

真白 悟

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テスト

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 待望のテストも終わり、あとは赤ペンでどれだけバツ印を書けるかだけが私の心残りだ。
 なるほど、どうやら今回のテストはかなり難しかったらしい。どの生徒も点数が半分以下だ。大体の計算で、平均点は40点前後に収まることだろう。

「ちょっと意地悪な問題を作りすぎたか?」
 なんて反省してみはしたが、授業で習った範囲内だし、これぐらいの問題を解けないようじゃ国公立大学に受かることなんて到底不可能だ。――そう考えると、学力の低下が心配になるほどだな。
 それで彼女はどうだろう。
 あの生意気な理事長の娘だ。今回重要なのは彼女の答案が、一体どれぐらいの点数なのかどうかということに尽きる。まあどうせ、私の求めるような国語的な回答はないだろうし、漢字の読み書きぐらいは出来ていたとしても、平均点以下になるだろう。
 こんな勝ち方はつまらないが、まあしょうがない。

 あった。これだ。一応解答は全部埋まっている。とりあえず漢字のところは見た感じ全部正解しているが……あってる、全部あってる。漢字の問題どころか、全部だ。
「おかしい。こんなことがあるはずがない」
 あれだけ国語を馬鹿にしてきた生徒だ。文章から読み取れる気持ちなど理解できるはずもない。
 だが何度採点しなおしても、非の付け所がないくらいに完璧。いうなれば模範解答だ。

「どうしたんです先生?」
 私のあわてように気がついた隣の古典教師が話しかけてくる。
「いや……これ!」
「理事長先生の娘さんですか? 彼女、まごうことなき天才ですよね?」
 古典教師の手には、満点の古典テストが握られていた。それもあの問題児、理事長の娘が書いたものだった。
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