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具体案
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「それで、具体的にはどうするつもりなんですか?」
彩錦は一刻の余韻もなしにすぐさまに本題に入る。
僕としてはもう少しだけ落ち着いてからその話題に移りたかったのだが……致し方ない。最終手段を使うことにしよう。
「それは……みんなが集まるのを待ってからにしないか?」
これで少しは引き伸ばせるはずだ。
もちろん引き伸ばすのは具体案などないとかそんな理由ではない。今はその時ではないというだけだ。
「待つって……」
彩錦は気怠そうに壁掛け時計を見る。
言いたいことはよくわかっている。梓や先生が部室を訪れるのであれば、もうすでに来ていてもおかしくない時間だ。それでもまだ来ていないということは、今日は来ないという可能性が非常に高いということだ。
それも当たり前のことで、この場所はもはや『恋愛部』ではない。単なる空き教室で、誰にも使われることがない物置きだ。すべての部活にとっての活動開始時間はとうの昔に過ぎているが、部員が全員集まらないことに文句を言える立場でもない。この部屋を部室とする部活は――もはや存在しない。
だから2人が入ってくるはずもない。つまり、具体案に関しては明日に持ち越せるということだ。
「――お待たせ!」
そんな声が部室に響いたのは僕が一番油断していたタイミングだった。
先生が梓をひきつれてやって来た。
彩錦は一刻の余韻もなしにすぐさまに本題に入る。
僕としてはもう少しだけ落ち着いてからその話題に移りたかったのだが……致し方ない。最終手段を使うことにしよう。
「それは……みんなが集まるのを待ってからにしないか?」
これで少しは引き伸ばせるはずだ。
もちろん引き伸ばすのは具体案などないとかそんな理由ではない。今はその時ではないというだけだ。
「待つって……」
彩錦は気怠そうに壁掛け時計を見る。
言いたいことはよくわかっている。梓や先生が部室を訪れるのであれば、もうすでに来ていてもおかしくない時間だ。それでもまだ来ていないということは、今日は来ないという可能性が非常に高いということだ。
それも当たり前のことで、この場所はもはや『恋愛部』ではない。単なる空き教室で、誰にも使われることがない物置きだ。すべての部活にとっての活動開始時間はとうの昔に過ぎているが、部員が全員集まらないことに文句を言える立場でもない。この部屋を部室とする部活は――もはや存在しない。
だから2人が入ってくるはずもない。つまり、具体案に関しては明日に持ち越せるということだ。
「――お待たせ!」
そんな声が部室に響いたのは僕が一番油断していたタイミングだった。
先生が梓をひきつれてやって来た。
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