先生と僕

真白 悟

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存在意義

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 僕のことを『恋に恋している』と先生は言った。恋愛経験が全くなかった僕に言わせてもらえば、『恋に恋している』のかすらわからない。そもそも『恋に恋している』というのはどのような状況を指すのか、どうなれば『恋に恋している』と言わないのかがまるでわからない。
 入学式の日、先生に初めて会った僕はなぜ先生のことを好きになったのだろう。それがわかれば、先生が言った言葉の意味も少しぐらいは理解できるのかもしれないが、それがわかれば苦労はしない。
 どれだけあの日のことを思いかえしたとしても、出てくる答えは1つ。一目ぼれだった。ほかに理由などない。
 つまりそれを否定されたところで、本当の恋というものは僕には到底わからない。

「ここいらが1つの分岐点なのだろうか……」

 先生に否定された今。いいや……愛と恋の違いすら分からない僕にとって、『恋愛部』を存続させる意味があるのかすらわからない。最初はわからないからこそ作った部活でもあったが、どれだけ部活動をしても結局わからなかった。
 もはや、『恋愛部』には存在意義すらないのかもしれない。
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