先生と僕

１４

本質

　僕はただ単に自分の居場所が欲しかっただけなのかもしれない。
　恋愛部などと調子のいい部活を作ったはいいが、まともな活動すらしてこなかった。
　活動といわれて思いついたのが、勉強合宿だったことを考えても僕自身が恋愛部の本質が理解できていないという事がよくわかる。

『恋愛とは何たるか』

　それを理解していない。
　理解を深めようと努力はしても、結局は愛も恋も理解できず、その違いすらも分かっていない心の未熟な僕にとっては、恋愛部という空間そのものが僕を甘やかしていたのだろう。友達が出来ないことも部活のせいにして、まともな学園生活を送るための努力もせず、先生に促されて初めて努力をするような碌でもない男だ。
　環境に甘え、感情に甘やかされ、甘ったれて感傷したふりをして現状を甘んじて受け入れた。
「自分で変わる努力もせず、環境が変わることにばかり怯えて……僕は意味をよく理解せず『愛している』と口にするオウムのようだ」
　どこかで聞きかじっただけの言葉を考えもなしに口に出す。僕はどこからか借りてきた言葉を先生に吐き出していただけだった。