先生と僕

１４

ドジっ子

　◇　◇　◇

　さて、もう１人の生徒はどうだろう。
　なんでもドジばかりをふむ生徒らしいが、どうやら、家からは一歩も出ていないらいし。
　私は家の外から彼女の様子を見ている。

「これじゃあ、まるでストーカーのようね」

　自虐的にそうこぼす。
　何もこんな風に生徒を付け回す必要はないのかもしれないが、早めに対策を立てるためには時間は有効活用しなればならない。
「それにしても……」
　彼女の部屋は２階なのだが、警戒心が全くないようでカーテンが開きっぱなし。
　まあ、確かに１階ほど警戒する必要はないが、無警戒にカーテンを開きっぱなしにしているのはどうかと思う。閉め忘れているというのならかなりのドジだと言えるだろう。しかし、それだけでは問題視されるほどのドジっ子と言われることはなかっただろう。
　
「……本当に病的ね」
　私が彼女を観察していたのはほんの１時間程度だ。
　それなのに、転んだ回数だけでも１０回以上。普通の人間なら死んでしまいかねないほどのドジっ子ぶりだ。だけどすごいことに傷一つ負っていない。
　あ、また転んだ。