戦国食堂はじめます〜玄米にお湯をかけるだけの戦国料理…私がもっと美味しいもの作ります〜

好葉

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お得意様と市場

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そこには時次さんの友人が立っていた。
いつも早朝に会っていたので驚く。
この時間に店に来るなんて…。

毎日、おにぎり以外も注文してくれている方なのでお得意様でもある。
いつも井戸の方から現れるのに今日は店の正面から…一体どうしたのだろう。
できればいつも店の正面から来てほしい所だけど。

「おひさしぶりです。醤油と鰹節ありがとうございます。…えぇっと、今更ですが名前を伺ってもいいですか?」

時次さんに聞こうと思っていたがタイミングが見つからず聞かないままだったので本人に直接聞く事にした。
いつまでも時次さんのご友人って呼んだままではいかない。
その人は空を見上げながら少し考えてから名前を言った。

自分の名前なのに悩む必要があるのだろうか。
そいいえば時次さんの名前の時も少し考えているようにみえた。
もしかしたら名乗れない訳ありのお客さんかもしれない。

「私のことはりゅうとでも呼ぶといいよ。」

「わかりました、ではりゅうさんと呼ばせていただきます。ところで今日はどのようなご用件でしょうか?」

店に来たということは注文の追加だろうか。
りゅうさんは細く微笑んだ。
破壊力抜群の笑顔を私に向けないで頂きたい、私の営業スマイルも砕けそうだ。

「実はね、明日一緒に料理の材料を探しに行って欲しいんだよ。鰹節と味噌の汁をこの前渡しただろう。それで何か作って欲しくて。どうかな?」

随分と急だな…、よしさんに聞いてみないとわからない。
お得意様なのでむげには断れないし…。

「店の方に許可が取れたら大丈夫だと思います。今聞いて来るので少々お待ちください。」



私は店の奥にいるよしさんの元に行き、事情を説明した。
よしさんは快く許可して、なぜだか応援されてしまった。
店の外で待っているりゅうさんに許可を取れた事を伝えに外に出た。

「店の方に許可を頂いたので明日は行けます。」

「そう、良かった。朝ここで待ってるから。」

りゅうさんはそう言うと店を後にした。
その姿を多くの女性が頬を少し赤らめながら見つめていて、その気持ちはわかると思いながら何度も頷いた。
翌日、朝出かける準備をしているとよしさんに後ろから呼び止められた。

「あんた、その恰好で行く気かい?」


「はい、これしか無いですし、仕事なのでこのままでもいいかと思ったんですけど…。」

いつも来ているオレンジ色の着物なのだが、出かけるにあたって何かダメな部分があっただろうか。
自分の着物姿をつま先から見てみるが可笑しい所は無い気がする。

その様子を見ていたよしさんは深くため息をつき、自分のタンスから一着の着物を取り出した。
その着物は桃色の着物で、何の花かはわからないが、大小の花がいくつもついている可愛い着物だった。

「わぁ~、可愛い着物ですね。」

「これを着ていきなさい。せっかくの逢瀬なんだから可愛くしないとね。」

ん?逢瀬って確かデートていう意味だったような…。
私、今から逢瀬ではなくて仕事に行くんですけど…よしさん勘違いしてないか。

「よしさん…、逢瀬ではなくて仕事ですよ…?」

よしさんに本日二回目のため息をつかれてしまった。

「とにかく良いからこれに着替えなさい。お客さんが来てしまうよ。」

よしさんの言うとおり早くしないとお客さんが来てしまうため、急いで桃色の着物に着替えた。
やはり、可愛い服に着替えると少し気分が上がる。
着物を貸してもらったよしさんにも見てもらい太鼓判を貰った。

外でりゅうさんを待っていると、りゅうさんが向こうの橋から渡ってくるのが見えた。
私の姿を見て少し目を見開きまたいつもの笑顔に戻る。

「今日はとても可愛い恰好をしているんだね。」

「ありがとうございます。店の方から貸して頂いたものなんですよ。今日はよろしくお願いします。」

お世辞でも可愛い着物を褒められるとやはり嬉しい。
深くお辞儀をした後、りゅうさんの後をついて行く。

朝市は初めてなので昨日から楽しみにしていた。
食材もそうだが、本や書く物などもあるのなら見てみたい思っている。

紙に売り上げを書いて利益を目で見える形にしたいのだ。
そうすることで大体の仕込み量がわかったりするので書き物をする道具を見つけられたらと思っている。

少し歩くと道に茣蓙を敷いて商売をしている人や天幕の中で野菜や魚を売っている人がいた。
奥に進むにつれて店を開いている人の数が多くなっていくのと同時に行きかう人の数も増えてきた。
その中で一つ気になる店を見つけて足を止めた。





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