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悪役令嬢なりに婚約破棄を阻止します。
流石ゲーム補正
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私達はドレスを購入したブティックから離れ、様々なジャンルの飲食店が並ぶ二階へと移動する。
要と歩いていると改めて要の気遣いが隅々まで行き届いているなと思う。
歩き始めれば自然と手を取り、優しく道を誘導し尚且つ私の手が空くようにバッグ等の手荷物は全て要が持ってくれる。(というか気づいたら手元に荷物がなかった。)
エスカレーターに乗るときは私が誤って転落しないように支えながら先に乗らせてくれる。
これを紳士と呼ばずしてなんとよぶのか・・・(あぁ、またの名をイケメンとも呼ぶかもしれない。)
「結構店の数は多いんだな。」
「あら、要ここでご飯食べたことないの?あそこのお店とか美味しいわよ。」
そう言いながら以前家族で食べに行ったことのあるお店を指さすと、視界の端に見たことのある桜色の髪の毛が見えた。・・・あれもしかしてヒロインじゃない?いよいよ次のイベントって訳ね、どう動くのが最適なのか。
ヒロインに要を奪われたくないからって別にヒロインに被害を被ってほしいわけじゃない。
だから今回のイベントの回避作戦を立てるに当たって重要なことは、要のヒロインに対しての好感度を上げずさらにヒロインがモブ共に絡まれないようにすることだ。
要と関わらせたくないにしても、もし私たちがここでヒロインと接触せずこの場を離れたとして、ゲーム補正が働き私達のあずかり知らぬところでヒロインが襲われる可能性がある。
なので今回のイベントを完全に無視することは不可能。
また挨拶だけ済ましてその場を離れることも最善策とはいえがたい、離れた後に、ということも考えられるからだ。
・・・駄目だ、かっこつけて普段使いもしない頭をフルに使ったせいで頭痛が・・・。
ここは一旦要とヒロインを合流させて私はトイレとでも言って作戦を練ることにしようかな。
「ごきげんよう、凜さん。こんなところで会うなんて奇遇ね、今日はお買い物かしら?」
「あ!美咲さん!!ご、ごごごきげんよう・・・えへへ、噛んじゃった・・・じゃなくて、はい!」
くぅっ・・・かわいいなぁ。
「花園か、久しいな。」
「はい、えーっとこの間廊下で助けていただいた時以来でしょうか。お二人もお買い物ですか?」
え?廊下で会った?
いや同じ校内にいるのだから廊下で会うのなんて当たり前よね。
「・・・助けた、とは?」
「あぁ、この間移動教室の場所が分からずに廊下で立っていたから道を教えただけのことだ。」
・・・私の知らないところで好感度を上げにこようとは・・・、不覚だったわ。
「そうなのね、校内は広いから私も実はまだ覚え切れていないのよ・・・っと私少しお手洗いに行ってくるわ。どこで食べるか決めておいて貰える?」
「あぁ、俺もついて行かなくて大丈夫か?」
「平気よ。そうだ、凜さんも一緒に食べましょ!要とよく相談して決めてね。」
要たちと離れて道の角を一つ曲がると、見つからないように二人を観察する。
トイレ行くなんて当然嘘、このままヒロインと離れずに危機を救っておくれ・・・。
「何が食べたい?」
「えーっと、美咲さんはあぁ言ってましたけど西園寺さんはそれでも大丈夫ですか?私ははっきり言って邪魔者かと・・・。」
「・・・美咲が言うんだから仕方ない。俺は今日の予定はデートだと思ってるんだがな・・・。」
え、デート?!あ・・・そういえば昨日ショッピングデートだっていってたかも。
くぅ、このイベントさえなければ要との仲を詰められたのにな。
「美咲さんってどんなのが好きなんでしょう?決めておけと言われましても私は好みを全く知らないのでここは話し合いよりも、美咲さんの事をよくご存じでいらっしゃる西園寺様が提案してくださると嬉しいのですが・・・。」
盲点だった・・・、まさか私の好みに合わせてお昼を決めようとするなんて。
でもそうか、周りから愛される人間とそうじゃない人間というのはこういうところでかわってくるのだろうか。
・・・自分に自信がなくなってくる、ヒロインと自分のさはここかと再確認して落ち込むくらいには。
「ねぇ、お姉さん。」
自分の駄目なところを再確認していると、何やら少女漫画などでありそうな所謂典型的なナンパの台詞が聞こえてきた。あれ?でもヒロインのところには要が一緒についているはずなのに。
可笑しいなと思い2人がいる方へ向き直ろうと面を上げると2人がいると思って居たところはまさかの壁だった。
・・・???
いや、正しく言うならば、壁のようにでかい人だったのだ。
一体なんでこんなところに人が立って居るのかとその人の顔を見上げると目が合った。
「お。やっと気づいてくれた!君のことえお呼んでたんだよ、お姉さん。」
・・・あれ、私?
要と歩いていると改めて要の気遣いが隅々まで行き届いているなと思う。
歩き始めれば自然と手を取り、優しく道を誘導し尚且つ私の手が空くようにバッグ等の手荷物は全て要が持ってくれる。(というか気づいたら手元に荷物がなかった。)
エスカレーターに乗るときは私が誤って転落しないように支えながら先に乗らせてくれる。
これを紳士と呼ばずしてなんとよぶのか・・・(あぁ、またの名をイケメンとも呼ぶかもしれない。)
「結構店の数は多いんだな。」
「あら、要ここでご飯食べたことないの?あそこのお店とか美味しいわよ。」
そう言いながら以前家族で食べに行ったことのあるお店を指さすと、視界の端に見たことのある桜色の髪の毛が見えた。・・・あれもしかしてヒロインじゃない?いよいよ次のイベントって訳ね、どう動くのが最適なのか。
ヒロインに要を奪われたくないからって別にヒロインに被害を被ってほしいわけじゃない。
だから今回のイベントの回避作戦を立てるに当たって重要なことは、要のヒロインに対しての好感度を上げずさらにヒロインがモブ共に絡まれないようにすることだ。
要と関わらせたくないにしても、もし私たちがここでヒロインと接触せずこの場を離れたとして、ゲーム補正が働き私達のあずかり知らぬところでヒロインが襲われる可能性がある。
なので今回のイベントを完全に無視することは不可能。
また挨拶だけ済ましてその場を離れることも最善策とはいえがたい、離れた後に、ということも考えられるからだ。
・・・駄目だ、かっこつけて普段使いもしない頭をフルに使ったせいで頭痛が・・・。
ここは一旦要とヒロインを合流させて私はトイレとでも言って作戦を練ることにしようかな。
「ごきげんよう、凜さん。こんなところで会うなんて奇遇ね、今日はお買い物かしら?」
「あ!美咲さん!!ご、ごごごきげんよう・・・えへへ、噛んじゃった・・・じゃなくて、はい!」
くぅっ・・・かわいいなぁ。
「花園か、久しいな。」
「はい、えーっとこの間廊下で助けていただいた時以来でしょうか。お二人もお買い物ですか?」
え?廊下で会った?
いや同じ校内にいるのだから廊下で会うのなんて当たり前よね。
「・・・助けた、とは?」
「あぁ、この間移動教室の場所が分からずに廊下で立っていたから道を教えただけのことだ。」
・・・私の知らないところで好感度を上げにこようとは・・・、不覚だったわ。
「そうなのね、校内は広いから私も実はまだ覚え切れていないのよ・・・っと私少しお手洗いに行ってくるわ。どこで食べるか決めておいて貰える?」
「あぁ、俺もついて行かなくて大丈夫か?」
「平気よ。そうだ、凜さんも一緒に食べましょ!要とよく相談して決めてね。」
要たちと離れて道の角を一つ曲がると、見つからないように二人を観察する。
トイレ行くなんて当然嘘、このままヒロインと離れずに危機を救っておくれ・・・。
「何が食べたい?」
「えーっと、美咲さんはあぁ言ってましたけど西園寺さんはそれでも大丈夫ですか?私ははっきり言って邪魔者かと・・・。」
「・・・美咲が言うんだから仕方ない。俺は今日の予定はデートだと思ってるんだがな・・・。」
え、デート?!あ・・・そういえば昨日ショッピングデートだっていってたかも。
くぅ、このイベントさえなければ要との仲を詰められたのにな。
「美咲さんってどんなのが好きなんでしょう?決めておけと言われましても私は好みを全く知らないのでここは話し合いよりも、美咲さんの事をよくご存じでいらっしゃる西園寺様が提案してくださると嬉しいのですが・・・。」
盲点だった・・・、まさか私の好みに合わせてお昼を決めようとするなんて。
でもそうか、周りから愛される人間とそうじゃない人間というのはこういうところでかわってくるのだろうか。
・・・自分に自信がなくなってくる、ヒロインと自分のさはここかと再確認して落ち込むくらいには。
「ねぇ、お姉さん。」
自分の駄目なところを再確認していると、何やら少女漫画などでありそうな所謂典型的なナンパの台詞が聞こえてきた。あれ?でもヒロインのところには要が一緒についているはずなのに。
可笑しいなと思い2人がいる方へ向き直ろうと面を上げると2人がいると思って居たところはまさかの壁だった。
・・・???
いや、正しく言うならば、壁のようにでかい人だったのだ。
一体なんでこんなところに人が立って居るのかとその人の顔を見上げると目が合った。
「お。やっと気づいてくれた!君のことえお呼んでたんだよ、お姉さん。」
・・・あれ、私?
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