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44話 安里翔
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「まさか、この私が君に、こうもあっさりと敗れるとは・・・」
「アンタ、わざと俺に負けようとして手加減してただろ?」
「確かに初めは、私にも迷いはあった。君を倒した所で私がこの世界に選ばれなかったと言う事実は変わらない。
君は魔王の力を手に入れ、300年間ひたすら剣の腕を磨き続けた私が放った渾身の一撃を防いだ。
それに対して、私は未知の可能性と同時に不覚にも嫉妬心を抱いてしまった。
私が長い時間を費やしても辿り着けなかった場所に、君なら簡単に到達出来るかもしれない。
端から私には世界に選ばれなかった事を嘆くだけの実力も資格も無かったのだと思い知らされた。
そして私は戦いの最中こう考えたんだ。君に敗北し、魔王の力を引き継いで貰おうと。
しかし、途中で君が剣を持ち替えて、刃を交えた瞬間に思わず、剣士としての欲が出てしまった。
私は今、最高の剣士と相見えているのだと。そんな相手と死力を尽くして戦いたいと。
だから、私は手加減をして君に敗れたのでは無い、持てる力の全て出して敗れたのだ。」
「だけどアンタは最後まで魔法は使わなかっただろ。」
「それは魔法を使わない相手と一対一で戦う私のプライドであり、流儀だからだ。それを見失っては私は只の卑怯者に成り下がってしまうからな。」
魔王は手に持っていた剣を大地に突き刺した。
そして、両膝を地面に突き、空を見上げた。
その目は、これまでの思い出を振り返り、懐かしんでいる様にも見えた。
「さあ、止めを刺してくれ。」
「出来ないよ!俺にはアンタを殺す理由なんて初めから無いんだから!」
「記念碑に書かれてあった、選ばれし者がゲートを通る為の条件の一つ。それは、魔王の力を手に入れる事なのだよ。」
「そんなぁ・・・」
「それともう一つ、これは私の個人的な頼みだ。
・・・私は300年以上も不毛な時を過ごして来た。
見たくは無いものも沢山見て来た。
そろそろ楽にしてくれないか。」
魔王は覚悟を決めてゆっくりと目を閉じた。
元の世界に戻る目的を果たす事は終ぞ叶わなかった。
思い残す事も、後悔も大きい事だろう。
それ程300年という時は、残酷で余りにも長過ぎた。
だけど、一人の男が覚悟を決めたのだ。
それに応えない訳にはいかない。
頭では理解していても、それでも心がそれを拒絶する。
「うぅぅ・・・。何でだよ!!!うわーーー!!!」
俺は泣きながら、剣を力一杯振り上げた。
残酷な条件が記された記念碑を作った奴を心の底から恨んだ。
いくら魔王が望んだ事だからって、それは俺にとっては、とてもじゃないが受け入れ難い事だった。
「すまない、魔王!!!」
俺はせめて魔王が苦しまないで済む様に、力を込めて、思い切りで剣を振り下ろした。
"パリーンッ!"
この時、急な強風によって、戦いで痛んでいた剣の刃が割れた。
割れて地面に落ちた刃を見て俺は持っていた剣をその場に置いた。
タイミングよく剣が割れてくれて、心の底から安堵した。
きっと魔王は今ここで死ぬべきでないと誰かが伝えようとしたんだ。
そう思う事にしよう。
「この偶然は、アンタはまだこんな所で死ぬべきじゃないって事なんじゃないのか?」
魔王は割れた剣の刃を拾い、俯きながら見つめていた。
震える手の平に乗せられた刃の上に魔王の涙が零れ落ちた。
「私にも・・・まだやるべき事が残されているのか?」
「ああ。きっとそうだ!アンタまだ生きてなきゃいけないんだよ!」
俺は魔王の手を取り、魔王はその力で立ち上がり、俺と向き合った。
「その時が訪れるまで、私も君達と共に戦い続けよう。」
「アンタ、わざと俺に負けようとして手加減してただろ?」
「確かに初めは、私にも迷いはあった。君を倒した所で私がこの世界に選ばれなかったと言う事実は変わらない。
君は魔王の力を手に入れ、300年間ひたすら剣の腕を磨き続けた私が放った渾身の一撃を防いだ。
それに対して、私は未知の可能性と同時に不覚にも嫉妬心を抱いてしまった。
私が長い時間を費やしても辿り着けなかった場所に、君なら簡単に到達出来るかもしれない。
端から私には世界に選ばれなかった事を嘆くだけの実力も資格も無かったのだと思い知らされた。
そして私は戦いの最中こう考えたんだ。君に敗北し、魔王の力を引き継いで貰おうと。
しかし、途中で君が剣を持ち替えて、刃を交えた瞬間に思わず、剣士としての欲が出てしまった。
私は今、最高の剣士と相見えているのだと。そんな相手と死力を尽くして戦いたいと。
だから、私は手加減をして君に敗れたのでは無い、持てる力の全て出して敗れたのだ。」
「だけどアンタは最後まで魔法は使わなかっただろ。」
「それは魔法を使わない相手と一対一で戦う私のプライドであり、流儀だからだ。それを見失っては私は只の卑怯者に成り下がってしまうからな。」
魔王は手に持っていた剣を大地に突き刺した。
そして、両膝を地面に突き、空を見上げた。
その目は、これまでの思い出を振り返り、懐かしんでいる様にも見えた。
「さあ、止めを刺してくれ。」
「出来ないよ!俺にはアンタを殺す理由なんて初めから無いんだから!」
「記念碑に書かれてあった、選ばれし者がゲートを通る為の条件の一つ。それは、魔王の力を手に入れる事なのだよ。」
「そんなぁ・・・」
「それともう一つ、これは私の個人的な頼みだ。
・・・私は300年以上も不毛な時を過ごして来た。
見たくは無いものも沢山見て来た。
そろそろ楽にしてくれないか。」
魔王は覚悟を決めてゆっくりと目を閉じた。
元の世界に戻る目的を果たす事は終ぞ叶わなかった。
思い残す事も、後悔も大きい事だろう。
それ程300年という時は、残酷で余りにも長過ぎた。
だけど、一人の男が覚悟を決めたのだ。
それに応えない訳にはいかない。
頭では理解していても、それでも心がそれを拒絶する。
「うぅぅ・・・。何でだよ!!!うわーーー!!!」
俺は泣きながら、剣を力一杯振り上げた。
残酷な条件が記された記念碑を作った奴を心の底から恨んだ。
いくら魔王が望んだ事だからって、それは俺にとっては、とてもじゃないが受け入れ難い事だった。
「すまない、魔王!!!」
俺はせめて魔王が苦しまないで済む様に、力を込めて、思い切りで剣を振り下ろした。
"パリーンッ!"
この時、急な強風によって、戦いで痛んでいた剣の刃が割れた。
割れて地面に落ちた刃を見て俺は持っていた剣をその場に置いた。
タイミングよく剣が割れてくれて、心の底から安堵した。
きっと魔王は今ここで死ぬべきでないと誰かが伝えようとしたんだ。
そう思う事にしよう。
「この偶然は、アンタはまだこんな所で死ぬべきじゃないって事なんじゃないのか?」
魔王は割れた剣の刃を拾い、俯きながら見つめていた。
震える手の平に乗せられた刃の上に魔王の涙が零れ落ちた。
「私にも・・・まだやるべき事が残されているのか?」
「ああ。きっとそうだ!アンタまだ生きてなきゃいけないんだよ!」
俺は魔王の手を取り、魔王はその力で立ち上がり、俺と向き合った。
「その時が訪れるまで、私も君達と共に戦い続けよう。」
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