【更新中】落第冒険者“薬草殺し”は人の縁で成り上がる【長編】

杜野秋人

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第六章【人の奇縁がつなぐもの】

6-48.サポートパーティ(2)

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銀麗インリーが選定会議さい移籍する……っちゅうともむつかしかろうねえ」
『そりゃあ蒼薔薇騎士団に加入するのと同じことっすからね。ムリっすね!』
「ではやはり、諦めるほかはないかしら」
「えぇ…ヤダ…」

 クレアさん、ワガママ言っちゃいけません。

『ところでレギーナ氏』
「…………なによ」

 どうにも抜け道がなさそうだと悄然とするレギーナに、通信鏡越しにマリーが声をかけ、それに憮然と返事をしたレギーナだったが。

『蒼薔薇騎士団のサポートパーティを結成する気はないっすか?』
「……ん?」
『だからっすね、レギーナ氏は一度蛇王に敗けたじゃないっすか』
「うるさいわね。いちいち言われなくたって分かってるわよ」
『そういった場合、任務ミッションの確実な遂行のために、勇者パーティを直接的に支援するサポートパーティを組むことが認められてるんすよね』

「…………あっ!勇者条約第34条ね!」
『そっす!』

 勇者条約第34条とは、勇者とそのパーティが単独で遂行困難なほど難易度の高い任務に臨む際に、そのサポートをどうするのか取り決めた条項である。第1項はサポートパーティの結成と運用、第2項は支援を表明した特定の国家との連携、第3項は複数の国家との国際契約による広範な暫定的支援同盟の締結について、それぞれ定められている。

『そんで、今そこに、もうすでにサポートパーティのメンツがっすよね?』

 マリーにそう言われて、レギーナは思わずアルベルトを見た。彼は最初の蛇王戦では戦うことが認められていなかったから、レギーナがピンチに陥るまでは後方で戦況を眺めていただけだった。彼は前衛で、白加護である。
 次いでレギーナは、銀麗を見た。白加護の前衛でアルベルトと丸被りするが、もしも彼女がサポートパーティに加入できるのであれば、蛇王戦限定ではあるがレギーナの望みはほぼ叶う。

「前衛は揃ってるわねえ」
「後衛もるやん、そこ」
「…………は?オレか!?」

 ヴィオレの言葉を受けたミカエラが指差して、ナーンが素っ頓狂な声を上げた。

「ねえアルミタ」
「えっ、はい……?」
「蛇王戦の間だけでいいから、よろしくね?」
「えっ…………えええええ!?」
「よっしゃ回復役も確保したばい」

 前衛二枚に探索者、そして法術師(兼魔術師)。これだけ揃えばパーティとして、最低限の体裁は整っている。

「まだ私、お受けするなんて申しておりませんけれど!?」
「まあまあ良かやん」
「よくありませんよ!」
「あとでメフルナーズ殿下にもお許しもらっとくけんが」
「無理ですってば!」

 侍女アルミタが涙目で抗議しているが、多分おそらく却下である。なにしろレギーナは言い出したら聞かないのだから。

「いやいや待て待て!そらアカンて!」
「そうですよ!横暴反対!」

「うん、反対意見は無さそうね」
『じゃあそれで暫定登録しとくっすね!』
「うわぁ……有無を言わせないなあ……」
「感心してないで止めてくれんか主!」
「言って止まるようなら止めてるんだけどね」
「そんな!」

 とか言いつつ、そのアルベルト自身はサポートパーティの結成も加入も望むところだったので、実のところ止める気など全くなかったりする。

「よし、じゃああとはこちらの問題だけだね」
「朧華さま、お願いしても?」
「任せてくれていいよレギーナどの。どのみち、君と少年は銀麗の修行にも付き合ってもらう予定だったからね。見返りにそのくらいはお安い御用さ」

 というわけで、蒼薔薇騎士団のサポートパーティ結成プロジェクトが唐突に発足したのであった。
 ちなみに、アルミタは再三の固辞の結果、暫定メンバーとしての登録である。他に適当な回復役が捕獲……もとい、見つかれば、彼女は晴れてお役御免となる。

拝火院アータシュカデの神官から、誰か生贄に出してもいいわよ?」
「いや姫ちゃん、言い方」
「さ、さすがに身代わりを差し出すのは……」
「まあ、それはさすがに冗談だけど。でも拝炎教にコネクションを作っておきたいのは本当よ」
「そういうことでしたら……」

 正式メンバーにアルミタがなるのか、それとも他の誰かがなるのかはさておくとしても、回復役となる法術師は必須である。なにしろ前衛だけでなく、回復役もミカエラしかいないのだ。
 それも蒼薔薇騎士団の弱点のひとつであり、蛇王戦でミカエラが前線に出てレギーナを救えなかった要因のひとつでもあったのだから、その補完も必須と言えよう。

『ちなみに回復役が決まらないうちは、サポートパーティの正式発足とは認められないんで、よろしくっす!』
「ううう、私、責任重大じゃないですか……!」

「ところでミカエラ、こないだ話してたアレはどうなったわけ?」
「アレ?……あー、アレね。今クレアと術式ば組みよるけん、もうちょい待っとって」

 アレとは、クレア発案のレギーナの“必殺技”のことである。
 新たな攻撃力と、頼れる仲間たち。レギーナ自身の訓練の進捗とも相まって、蒼薔薇騎士団の戦力増強は今のところ順調と言えようか。



 ー ー ー ー ー ー ー ー ー


【おことわり】
なろう版が更新停滞している間に、アルファポリス版が追いついてきてしまいました。つきましては5日ごとの更新をこれで終了とし、6月からは毎週日曜日20時更新(なろう版と同様)とさせて頂きます。悪しからずご了承下さい。
よって、次回更新は6月1日20時となります。

なお六章【人の縁がつなぐもの】は残り2話で完結の予定です。その後は七章【変わりゆくもの、変わらないもの】の更新を開始します。お楽しみに。



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