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今日もアクアオッジ家は平和です
43 ⑱悪魔の本性
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光のあるところには、影が出来る──
ソルが走り出して悪魔に近づいたかと思うと姿が消える。
地面に膝をついて荒い息を繰り返していた王子がすぐに気が付いた。【影入 Lv10 MAX】の力だと。
途端に悪魔が変な動きを繰り返した。
"ぐぬぬぬぬ……こん畜生っ!? だ、誰よ、勝手にアタシの身体をぉっ!!"
ソルが悪魔の身体を影から操ってる!?
悪魔が必死に抵抗すればするだけ、糸の切れた操り人形のようにヘンテコな動きでジタバタしている。
元がバニー姿の変態にしか見えないため、余計に人形っぽい。
──とソルの身体が、いきなり影から浮かび上がって天井に叩き付けられた。
【身体強化 Lv10 MAX】を使う間もなく影から追い出されたのだ。
受け身も取れずドサっと地面にそのまま落ちてしまう。
「ぐ……ぅっ!」
ソルがうずくまり、鮮血を吐いた。
何本か骨が折れていても不思議ではない衝撃を、スキルも無しで生身で受け止めた代償が予測出来なくて、メリルは叫んだ。
「ソル!!」
"アンタら……いくら可愛くたってもう許さない……いたぶりながら壊してあげる……"
バニーの口が裂け、鋭い牙が剥き出しになった。目が吊り上がり、悪魔の身体が膨れ上がると同時に服がはじけ飛び、黒い瘴気が全裸の悪魔の周りに立ち込めた。
「ぎゃー! 変態!!」
メリルが目のやり場に困って、思いっきり目を瞑り両手で目を覆いながら叫んだ。
"だぁれが変態よー! この極クソ女があっ! 殺してやるわ!!"
(あれ、でもなんか黒いモヤモヤが出てたから大丈夫かも?)
目を覆っていた両手のすき間から恐る恐る覗いてみた。
……ふぅ、ちゃんと隠れてる。
絶体絶命なのに、メリルはいつも通常運転だ。
しまった。こんなの見てる場合じゃない。ソルは大丈夫!?
ソルの周りにはポヤポヤした光が飛んでいて、光の精霊が治療してくれているのが目に入った。
(……あぁ! 良かったあ)
額縁の中から細く黒い腕が二本伸びてきて、悪魔の身体に絡み付いた。そのまま力任せに引きずり込んでいく──
「ダークネス!?」
ウィルフレッドが叫んだ。メリルも気が付いた。
"いけいけダークネス!"
"早くこの悪魔を閉じ込めちゃいましょ"
闇の精霊が悪魔を元の額縁に引きずり込むと、黒い影が躍り出て、ウィルフレッドの影に収まった。
「あ、精霊たち!?」
"やっと戻れたぞ!"
「そうか! 王子が真名を縛って支配したから、バニー男が弱体化したのか」
"いきなり空気が変わったから、どうしたのかと思ったらそうだったのね"
"おかげで俺たちが出られるようになったみたいだな"
「ダークネスも……手伝ってくれたのか……ありがとう」
引きこもりなのに頑張ってくれたんだね……とウィルは、感謝してるんだか、してないんだかよく分からないことを言っていて、メリルは首を傾げた。
ガチっと絵のほうから音がして、みんながぎょっと振り向くと、初めて見るキラキラしい美形のお兄さんが、額縁を180度回転させたあとだった。
「ええっと……どちら様ですか?」
メリルが仰天しながら訊ねると、
"わしじゃ。ノームじゃよ"
そう名乗った。
「うわっ。ノーム……姿形と喋り方のギャップが……」
ウィルも同じことを思ったようだ。無理もない。
"この大きさは力を使いすぎてだめじゃー……"
言うや否や、ポンと音を立てて、ノームが他の精霊たちと同じ大きさに戻ってしまう。
ほんわかした気分になった途端に、それを破る嫌な音がした。
(戦闘中なの、うっかり忘れてたよ!)
ドン! と音がして額縁を見ると、逆さまになった悪魔がバニー姿に戻って、何もない空間を叩いている。
"アンタたちの……全身の穴という穴から血を噴出させて浴びたいわ……笑いながら噴き出した血を啜ってやったらさぞ美味でしょうね……こんな結界、ずっと叩いていればいずれ壊れるのよ……未来のあんたたちみたいに、ね……お前らを壊したあとが本番……クヒヒ"
闇雲に叩いていて、悪魔とみんなは目が合うことはなかった。
どうやら額縁に閉じ込められているうちは、外の様子は見えないようだ。
ダンダンと叩く音が一層大きくなって、なんと額縁からピシリと嫌な音がした。
ずっと金切り声のような音がしていると思ったら、悪魔が裂けた口から息を吸い込みながら叩き続けている。
まずい。この額縁以外に悪魔の閉じ込め方をわたしたちは知らない。壊れたらおしまいだ。
悪魔が閉じ込められている壁のような、結界だと悪魔が言ってたものにも、とうとう亀裂が入った。
今まで見えなかったのに、亀裂が入って透明じゃなくなったからなのか、結界がはっきりと見える。
蜘蛛の巣のような亀裂が額縁の内側を一気に走り、全体がひび割れた。
悪魔がニヤリと嗤って──"今すぐそっちに戻るわよ……目玉を抉り出してる姿をお前らの眼球で見せてあ・げ・る……"
金属音のような軋む声で、そう言った。
いいえ。こっちの部屋は定員オーバーです!
そこにいて下さい!
ソルが走り出して悪魔に近づいたかと思うと姿が消える。
地面に膝をついて荒い息を繰り返していた王子がすぐに気が付いた。【影入 Lv10 MAX】の力だと。
途端に悪魔が変な動きを繰り返した。
"ぐぬぬぬぬ……こん畜生っ!? だ、誰よ、勝手にアタシの身体をぉっ!!"
ソルが悪魔の身体を影から操ってる!?
悪魔が必死に抵抗すればするだけ、糸の切れた操り人形のようにヘンテコな動きでジタバタしている。
元がバニー姿の変態にしか見えないため、余計に人形っぽい。
──とソルの身体が、いきなり影から浮かび上がって天井に叩き付けられた。
【身体強化 Lv10 MAX】を使う間もなく影から追い出されたのだ。
受け身も取れずドサっと地面にそのまま落ちてしまう。
「ぐ……ぅっ!」
ソルがうずくまり、鮮血を吐いた。
何本か骨が折れていても不思議ではない衝撃を、スキルも無しで生身で受け止めた代償が予測出来なくて、メリルは叫んだ。
「ソル!!」
"アンタら……いくら可愛くたってもう許さない……いたぶりながら壊してあげる……"
バニーの口が裂け、鋭い牙が剥き出しになった。目が吊り上がり、悪魔の身体が膨れ上がると同時に服がはじけ飛び、黒い瘴気が全裸の悪魔の周りに立ち込めた。
「ぎゃー! 変態!!」
メリルが目のやり場に困って、思いっきり目を瞑り両手で目を覆いながら叫んだ。
"だぁれが変態よー! この極クソ女があっ! 殺してやるわ!!"
(あれ、でもなんか黒いモヤモヤが出てたから大丈夫かも?)
目を覆っていた両手のすき間から恐る恐る覗いてみた。
……ふぅ、ちゃんと隠れてる。
絶体絶命なのに、メリルはいつも通常運転だ。
しまった。こんなの見てる場合じゃない。ソルは大丈夫!?
ソルの周りにはポヤポヤした光が飛んでいて、光の精霊が治療してくれているのが目に入った。
(……あぁ! 良かったあ)
額縁の中から細く黒い腕が二本伸びてきて、悪魔の身体に絡み付いた。そのまま力任せに引きずり込んでいく──
「ダークネス!?」
ウィルフレッドが叫んだ。メリルも気が付いた。
"いけいけダークネス!"
"早くこの悪魔を閉じ込めちゃいましょ"
闇の精霊が悪魔を元の額縁に引きずり込むと、黒い影が躍り出て、ウィルフレッドの影に収まった。
「あ、精霊たち!?」
"やっと戻れたぞ!"
「そうか! 王子が真名を縛って支配したから、バニー男が弱体化したのか」
"いきなり空気が変わったから、どうしたのかと思ったらそうだったのね"
"おかげで俺たちが出られるようになったみたいだな"
「ダークネスも……手伝ってくれたのか……ありがとう」
引きこもりなのに頑張ってくれたんだね……とウィルは、感謝してるんだか、してないんだかよく分からないことを言っていて、メリルは首を傾げた。
ガチっと絵のほうから音がして、みんながぎょっと振り向くと、初めて見るキラキラしい美形のお兄さんが、額縁を180度回転させたあとだった。
「ええっと……どちら様ですか?」
メリルが仰天しながら訊ねると、
"わしじゃ。ノームじゃよ"
そう名乗った。
「うわっ。ノーム……姿形と喋り方のギャップが……」
ウィルも同じことを思ったようだ。無理もない。
"この大きさは力を使いすぎてだめじゃー……"
言うや否や、ポンと音を立てて、ノームが他の精霊たちと同じ大きさに戻ってしまう。
ほんわかした気分になった途端に、それを破る嫌な音がした。
(戦闘中なの、うっかり忘れてたよ!)
ドン! と音がして額縁を見ると、逆さまになった悪魔がバニー姿に戻って、何もない空間を叩いている。
"アンタたちの……全身の穴という穴から血を噴出させて浴びたいわ……笑いながら噴き出した血を啜ってやったらさぞ美味でしょうね……こんな結界、ずっと叩いていればいずれ壊れるのよ……未来のあんたたちみたいに、ね……お前らを壊したあとが本番……クヒヒ"
闇雲に叩いていて、悪魔とみんなは目が合うことはなかった。
どうやら額縁に閉じ込められているうちは、外の様子は見えないようだ。
ダンダンと叩く音が一層大きくなって、なんと額縁からピシリと嫌な音がした。
ずっと金切り声のような音がしていると思ったら、悪魔が裂けた口から息を吸い込みながら叩き続けている。
まずい。この額縁以外に悪魔の閉じ込め方をわたしたちは知らない。壊れたらおしまいだ。
悪魔が閉じ込められている壁のような、結界だと悪魔が言ってたものにも、とうとう亀裂が入った。
今まで見えなかったのに、亀裂が入って透明じゃなくなったからなのか、結界がはっきりと見える。
蜘蛛の巣のような亀裂が額縁の内側を一気に走り、全体がひび割れた。
悪魔がニヤリと嗤って──"今すぐそっちに戻るわよ……目玉を抉り出してる姿をお前らの眼球で見せてあ・げ・る……"
金属音のような軋む声で、そう言った。
いいえ。こっちの部屋は定員オーバーです!
そこにいて下さい!
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