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本編
第四章:ガラスの靴を脱ぎ捨てて
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都内某所、外資系高級ホテルの最上階スイートルーム。
分厚い絨毯に沈むハイヒールの感触を確かめながら、私は部屋のチャイムを鳴らす前に深く深呼吸をした。
私、藤堂くるみ(とうどう くるみ)は、今をときめく――と言えば聞こえはいいが、実際は選抜争いに必死な中堅アイドルグループのメンバーだ。
序列は三列目の端っこ。人気投票は圏外ギリギリ。
このまま消えていくのは嫌だった。だから、マネージャーから「特別なお食事会」という名の裏取引を持ちかけられた時、私は迷わず頷いたのだ。
身体を売って仕事が取れるなら安いもの。
どうせ中身のないジジイ相手に、可愛い声で喘いで、終わったらシャワーで全て洗い流せばいい。そうやって割り切ってきた。心なんてとっくに麻痺させている。
ガチャリ。
重厚なドアが開く。
私は営業用の、完璧な「アイドルの笑顔」を貼り付けて顔を上げた。
「お待たせしまし……た……?」
言葉が、宙に浮いた。
そこに立っていたのは、脂ぎったプロデューサーでも、下心丸出しのスポンサー企業の役員でもなかった。
シルクのブラウスに、タイトなスラックス。亜麻色のロングヘアを無造作に、しかし計算高く流したその女性。
業界で彼女を知らない人間はいない。
数々のヒット番組を手掛け、冷徹かつ敏腕として知られる「視聴率の女王」、西園寺玲子(さいおんじ れいこ)その人だったからだ。
「……入りなさい。立ち話もなんだから」
低く、ハスキーな声。
私は困惑しながらも、彼女に招かれるまま部屋へと足を踏み入れた。
***
夜景の見えるリビングで、私たちは向かい合ってソファーに座っていた。
クリスタルのグラスに注がれたミネラルウォーターの炭酸が、パチパチと小さな音を立てている。
「あの……西園寺さん、ですよね? どうして、ここに?」
「私が呼んだのよ。あなたのマネージャーに無理を言ってね」
西園寺さんは長い脚を組み替え、鋭い視線で私を射抜いた。
まさか。
この人も、そういう趣味があるってこと?
女同士の枕営業なんて聞いたことがないけれど、芸能界は何でもありだ。相手が西園寺さんなら、得られるメリットは計り知れない。男相手よりはマシかもしれない。
私は覚悟を決め、スッと立ち上がると、ブラウスの第一ボタンに手をかけた。
「……わかりました。私、なんでもします。だから、次の歌番組の枠、私のグループに……ううん、私個人にください」
慣れた手つきでボタンを外し、白い肌を晒そうとした、その時だった。
「やめなさい」
凛とした声が、私の動作を制止した。
西園寺さんが立ち上がり、私の手首を掴む。その力は驚くほど優しく、しかし拒絶を許さない強さがあった。
「え……? でも、身体が目当てなんじゃ……」
「馬鹿ね。そんな安っぽい取引のために、あなたを呼んだと思ってるの?」
彼女はため息をつき、私の乱れた襟元を丁寧に直してくれた。
微かに香る、サンダルウッドの高貴な香水。
至近距離で見る彼女の瞳は、テレビ局で見かける厳しいそれとは違い、どこか熱っぽく潤んでいた。
「私はね、藤堂くるみ。あなたのパフォーマンスを見ていたわ。三列目の端で、誰よりも高く脚を上げ、誰よりも楽しそうに、でも必死に笑っているあなたを」
「見……てた?」
「ええ。才能があるのに、埋もれている。それに……その瞳の奥にある、乾いた孤独に惹かれたの」
西園寺さんの指が、私の頬を滑り落ち、顎をすくい上げた。
ドキッ♥
男の人に触れられた時のような不快感がない。
むしろ、ひんやりとした指の感触に、胸の奥がキュンと締め付けられるような錯覚を覚えた。
「あなたの身体を買いたいんじゃない。私は、真剣に、私のパートナーになって欲しいと思ってるの」
「パートナーって……恋人、ってことですか?」
「そう言ってるわ。……試してみる? 男たちとの情事とは違う、本当の愛撫を」
断る理由はなかった。
いや、それ以上に、彼女の瞳に吸い込まれそうだった。
私が今まで武器としてしか扱ってこなかったこの身体を、「愛したい」と言ってくれる人が目の前にいる。
「……教えて、ください。本当の、気持ちよさ」
私が震える声で答えると、西園寺さんは微かに微笑み、私の唇を塞いだ。
***
チュッ……♥
触れるだけのキス。
でも、それは甘く、とろけるような感覚だった。
タバコや脂の臭いはしない。大人の女性の、洗練された香り。
「んっ……西園寺、さん……♥」
「玲子でいいわ。くるみ、口を開けて」
言われるがままに唇を開くと、滑らかな舌が侵入してきた。
レロ……チュプッ、ンチュ……♥
口腔内を愛でるような動き。舌先が絡み合い、唾液が交換される。
男の人の、ただ貪るだけのキスとは違う。こちらの反応を伺いながら、快感を与えようとする奉仕の精神を感じた。
「はぁ……っ、キスだけで、腰が……」
「可愛いわね。まだこれからよ」
玲子さんは私をソファーに押し倒した。
私の服が、一枚、また一枚と剥がされていく。
露わになった肌を、彼女の視線が舐めるように這う。
「綺麗……。やっぱり、私の目に狂いはなかった」
彼女の手が、私の胸を包み込む。
優しく、慈しむように。
マシュマロを扱うような手つきで揉まれると、乳首がツンと尖り、熱を持っていくのがわかった。
「あっ♥ や、そんな優しく触られたら……っ」
「普段は乱暴に扱われていたの? 可哀想に……今日は私が、たっぷりと可愛がってあげる」
チュゥッ、ジュルッ……♥
玲子さんが胸に吸い付く。
巧みな舌使いで乳頭を転がされ、同時に手のひらでお腹をさすられる。
快感の波状攻撃に、私の思考回路は真っ白に染まっていく。
「あぁっ、んっ! 玲子さん、そこ、気持ちいいっ……♥」
「正直な身体ね。ここも、もうこんなになってる」
彼女の手が、ショーツの上から秘部を圧迫する。
既にぐっしょりと濡れた布地が、恥ずかしい音を立てた。
グチョッ……♥
「準備万端じゃない。……男の人相手でも、こんなに濡れるの?」
「ち、違いますっ! こんなの、初めてで……っ!」
「ふふ、嬉しいわ。私だけで感じてくれてるのね」
玲子さんは満足げに微笑むと、私のショーツを脱がせ、秘部を露わにした。
そして、躊躇なく顔を寄せる。
「え、ちょ、そこは汚い……っ」
「汚くないわ。あなたの全てを味わいたいの」
ペロリ♥
長い舌が、秘裂を一撫でした。
ビクンッ!!♥
電流が走ったように、私の身体が跳ねる。
「ひゃああっ! あ、すごい、舌、あったかいっ……♥」
「ここが弱いの? それとも、中?」
玲子さんの舌は、まるで楽器を奏でるように巧みだった。
クリトリスを吸い上げ、周りの皮膚を舐め、時折舌先を中に挿し込んでくる。
ジュボッ、レロレロ……チュパッ……♥
部屋中に響く水音が、羞恥心を煽り、それがさらなる興奮へと繋がっていく。
「だめっ、玲子さんっ、そこ舐められたら、おかしくなるぅっ!♥」
「おかしくなりなさい。私の前では、アイドルの仮面なんていらないわ」
彼女の指が、濡れそぼった膣内へと侵入する。
爪が短く切り揃えられた綺麗な指。
中を掻き回される感覚と、クリトリスへの舌の刺激。
上下からの責めに、私は耐えきれず足をバタつかせた。
「ああっ、ああっ! くるっ、きちゃうっ! 玲子さん、好きっ、好きぃぃッ!♥」
「私もよ、くるみ。愛してるわ。……イッて!」
ズチュチュッ! と激しく指が出し入れされ、同時に強く吸い上げられる。
「んあぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!♥♥」
私は玲子さんの髪を鷲掴みにし、絶叫と共に絶頂を迎えた。
身体中の筋肉が収縮し、目の前で花火が散るような極彩色の快感が爆発する。
今まで「仕事」としてこなしてきたセックスとは、次元が違った。
これは、魂が震えるような交歓だった。
***
事後。
私は玲子さんの腕の中で、荒い息を整えていた。
彼女は汗ばんだ私の髪を優しく撫で、おでこにキスをしてくれた。
「……すごかったわ、くるみ」
「……私も。こんなに気持ちよかったの、初めてです」
嘘じゃなかった。
枕営業のつもりで来たのに、気付けば私は、心も体も彼女に奪われてしまっていた。
これじゃあ、「枕」じゃなくて、ただの「恋」だ。
「これからは、私のそばにいなさい。仕事も、プライベートも、私があなたを輝かせてあげる」
「……はい。玲子さん」
私は彼女の胸に顔を埋め、その温もりに身を委ねた。
芸能界という汚れた世界で見つけた、唯一の純粋な場所。
ガラスの靴を脱ぎ捨てて、私は魔女のような彼女と、禁断の果実をかじり続けることを選んだ。
だって、この蜜の味を知ってしまったら、もう元の世界には戻れないから。
「あーあ……私、とんでもない人に捕まっちゃったかも♥」
私の独り言に、玲子さんは「あら、光栄ね」と悪戯っぽく笑い、再び私に口付けた。
夜はまだ、始まったばかりだった。
(第四章 完)
分厚い絨毯に沈むハイヒールの感触を確かめながら、私は部屋のチャイムを鳴らす前に深く深呼吸をした。
私、藤堂くるみ(とうどう くるみ)は、今をときめく――と言えば聞こえはいいが、実際は選抜争いに必死な中堅アイドルグループのメンバーだ。
序列は三列目の端っこ。人気投票は圏外ギリギリ。
このまま消えていくのは嫌だった。だから、マネージャーから「特別なお食事会」という名の裏取引を持ちかけられた時、私は迷わず頷いたのだ。
身体を売って仕事が取れるなら安いもの。
どうせ中身のないジジイ相手に、可愛い声で喘いで、終わったらシャワーで全て洗い流せばいい。そうやって割り切ってきた。心なんてとっくに麻痺させている。
ガチャリ。
重厚なドアが開く。
私は営業用の、完璧な「アイドルの笑顔」を貼り付けて顔を上げた。
「お待たせしまし……た……?」
言葉が、宙に浮いた。
そこに立っていたのは、脂ぎったプロデューサーでも、下心丸出しのスポンサー企業の役員でもなかった。
シルクのブラウスに、タイトなスラックス。亜麻色のロングヘアを無造作に、しかし計算高く流したその女性。
業界で彼女を知らない人間はいない。
数々のヒット番組を手掛け、冷徹かつ敏腕として知られる「視聴率の女王」、西園寺玲子(さいおんじ れいこ)その人だったからだ。
「……入りなさい。立ち話もなんだから」
低く、ハスキーな声。
私は困惑しながらも、彼女に招かれるまま部屋へと足を踏み入れた。
***
夜景の見えるリビングで、私たちは向かい合ってソファーに座っていた。
クリスタルのグラスに注がれたミネラルウォーターの炭酸が、パチパチと小さな音を立てている。
「あの……西園寺さん、ですよね? どうして、ここに?」
「私が呼んだのよ。あなたのマネージャーに無理を言ってね」
西園寺さんは長い脚を組み替え、鋭い視線で私を射抜いた。
まさか。
この人も、そういう趣味があるってこと?
女同士の枕営業なんて聞いたことがないけれど、芸能界は何でもありだ。相手が西園寺さんなら、得られるメリットは計り知れない。男相手よりはマシかもしれない。
私は覚悟を決め、スッと立ち上がると、ブラウスの第一ボタンに手をかけた。
「……わかりました。私、なんでもします。だから、次の歌番組の枠、私のグループに……ううん、私個人にください」
慣れた手つきでボタンを外し、白い肌を晒そうとした、その時だった。
「やめなさい」
凛とした声が、私の動作を制止した。
西園寺さんが立ち上がり、私の手首を掴む。その力は驚くほど優しく、しかし拒絶を許さない強さがあった。
「え……? でも、身体が目当てなんじゃ……」
「馬鹿ね。そんな安っぽい取引のために、あなたを呼んだと思ってるの?」
彼女はため息をつき、私の乱れた襟元を丁寧に直してくれた。
微かに香る、サンダルウッドの高貴な香水。
至近距離で見る彼女の瞳は、テレビ局で見かける厳しいそれとは違い、どこか熱っぽく潤んでいた。
「私はね、藤堂くるみ。あなたのパフォーマンスを見ていたわ。三列目の端で、誰よりも高く脚を上げ、誰よりも楽しそうに、でも必死に笑っているあなたを」
「見……てた?」
「ええ。才能があるのに、埋もれている。それに……その瞳の奥にある、乾いた孤独に惹かれたの」
西園寺さんの指が、私の頬を滑り落ち、顎をすくい上げた。
ドキッ♥
男の人に触れられた時のような不快感がない。
むしろ、ひんやりとした指の感触に、胸の奥がキュンと締め付けられるような錯覚を覚えた。
「あなたの身体を買いたいんじゃない。私は、真剣に、私のパートナーになって欲しいと思ってるの」
「パートナーって……恋人、ってことですか?」
「そう言ってるわ。……試してみる? 男たちとの情事とは違う、本当の愛撫を」
断る理由はなかった。
いや、それ以上に、彼女の瞳に吸い込まれそうだった。
私が今まで武器としてしか扱ってこなかったこの身体を、「愛したい」と言ってくれる人が目の前にいる。
「……教えて、ください。本当の、気持ちよさ」
私が震える声で答えると、西園寺さんは微かに微笑み、私の唇を塞いだ。
***
チュッ……♥
触れるだけのキス。
でも、それは甘く、とろけるような感覚だった。
タバコや脂の臭いはしない。大人の女性の、洗練された香り。
「んっ……西園寺、さん……♥」
「玲子でいいわ。くるみ、口を開けて」
言われるがままに唇を開くと、滑らかな舌が侵入してきた。
レロ……チュプッ、ンチュ……♥
口腔内を愛でるような動き。舌先が絡み合い、唾液が交換される。
男の人の、ただ貪るだけのキスとは違う。こちらの反応を伺いながら、快感を与えようとする奉仕の精神を感じた。
「はぁ……っ、キスだけで、腰が……」
「可愛いわね。まだこれからよ」
玲子さんは私をソファーに押し倒した。
私の服が、一枚、また一枚と剥がされていく。
露わになった肌を、彼女の視線が舐めるように這う。
「綺麗……。やっぱり、私の目に狂いはなかった」
彼女の手が、私の胸を包み込む。
優しく、慈しむように。
マシュマロを扱うような手つきで揉まれると、乳首がツンと尖り、熱を持っていくのがわかった。
「あっ♥ や、そんな優しく触られたら……っ」
「普段は乱暴に扱われていたの? 可哀想に……今日は私が、たっぷりと可愛がってあげる」
チュゥッ、ジュルッ……♥
玲子さんが胸に吸い付く。
巧みな舌使いで乳頭を転がされ、同時に手のひらでお腹をさすられる。
快感の波状攻撃に、私の思考回路は真っ白に染まっていく。
「あぁっ、んっ! 玲子さん、そこ、気持ちいいっ……♥」
「正直な身体ね。ここも、もうこんなになってる」
彼女の手が、ショーツの上から秘部を圧迫する。
既にぐっしょりと濡れた布地が、恥ずかしい音を立てた。
グチョッ……♥
「準備万端じゃない。……男の人相手でも、こんなに濡れるの?」
「ち、違いますっ! こんなの、初めてで……っ!」
「ふふ、嬉しいわ。私だけで感じてくれてるのね」
玲子さんは満足げに微笑むと、私のショーツを脱がせ、秘部を露わにした。
そして、躊躇なく顔を寄せる。
「え、ちょ、そこは汚い……っ」
「汚くないわ。あなたの全てを味わいたいの」
ペロリ♥
長い舌が、秘裂を一撫でした。
ビクンッ!!♥
電流が走ったように、私の身体が跳ねる。
「ひゃああっ! あ、すごい、舌、あったかいっ……♥」
「ここが弱いの? それとも、中?」
玲子さんの舌は、まるで楽器を奏でるように巧みだった。
クリトリスを吸い上げ、周りの皮膚を舐め、時折舌先を中に挿し込んでくる。
ジュボッ、レロレロ……チュパッ……♥
部屋中に響く水音が、羞恥心を煽り、それがさらなる興奮へと繋がっていく。
「だめっ、玲子さんっ、そこ舐められたら、おかしくなるぅっ!♥」
「おかしくなりなさい。私の前では、アイドルの仮面なんていらないわ」
彼女の指が、濡れそぼった膣内へと侵入する。
爪が短く切り揃えられた綺麗な指。
中を掻き回される感覚と、クリトリスへの舌の刺激。
上下からの責めに、私は耐えきれず足をバタつかせた。
「ああっ、ああっ! くるっ、きちゃうっ! 玲子さん、好きっ、好きぃぃッ!♥」
「私もよ、くるみ。愛してるわ。……イッて!」
ズチュチュッ! と激しく指が出し入れされ、同時に強く吸い上げられる。
「んあぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!♥♥」
私は玲子さんの髪を鷲掴みにし、絶叫と共に絶頂を迎えた。
身体中の筋肉が収縮し、目の前で花火が散るような極彩色の快感が爆発する。
今まで「仕事」としてこなしてきたセックスとは、次元が違った。
これは、魂が震えるような交歓だった。
***
事後。
私は玲子さんの腕の中で、荒い息を整えていた。
彼女は汗ばんだ私の髪を優しく撫で、おでこにキスをしてくれた。
「……すごかったわ、くるみ」
「……私も。こんなに気持ちよかったの、初めてです」
嘘じゃなかった。
枕営業のつもりで来たのに、気付けば私は、心も体も彼女に奪われてしまっていた。
これじゃあ、「枕」じゃなくて、ただの「恋」だ。
「これからは、私のそばにいなさい。仕事も、プライベートも、私があなたを輝かせてあげる」
「……はい。玲子さん」
私は彼女の胸に顔を埋め、その温もりに身を委ねた。
芸能界という汚れた世界で見つけた、唯一の純粋な場所。
ガラスの靴を脱ぎ捨てて、私は魔女のような彼女と、禁断の果実をかじり続けることを選んだ。
だって、この蜜の味を知ってしまったら、もう元の世界には戻れないから。
「あーあ……私、とんでもない人に捕まっちゃったかも♥」
私の独り言に、玲子さんは「あら、光栄ね」と悪戯っぽく笑い、再び私に口付けた。
夜はまだ、始まったばかりだった。
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