黒き死神が笑う日

神通百力

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千年の揺り籠

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 私は荒野を歩いていた。大地はひび割れ、辺りには人骨が転がっている。恐らく荒野の果てにあるとされる『千年の揺り籠』を目指したのだろう。しかし、途中で力尽きて白骨化してしまったと考えられる。
 白骨化した者たちは興味本位で目指したのだろうが、私にはどうしてもそこに行かなければならない理由があった。
 太陽が燦々さんさんと輝く中、荒野を歩き続けること数時間、ようやく『千年の揺り籠』にたどり着いた。そこは洞窟だった。この中に『千年の揺り籠』があるのだ。
 私は深呼吸した後、洞窟に足を踏み入れた。洞窟の奥に石の台座があり、その上で揺り籠が静かに揺れていた。やっと見つけたと思った瞬間、涙が溢れ出した。
 私はされていた。だったために、村人たちから恐れられ、封印されたのだ。
 長い年月を経て封印の力が弱まっていたおかげで、簡単に破壊することができた。それから私は『千年の揺り籠』を探し続け、荒野の果てにあることを知った。
 私は揺り籠に近づくと、中を覗いた。赤ちゃんが眠っていた。千年前に村人が私から奪った赤ちゃんだった。村人たちは私だけでなく、魔女の血を引く赤ちゃんも恐れ、荒野の果ての洞窟に封印したのだ。
 村人たちは揺り籠に封印術を仕込んだらしく、その影響で揺り籠は千年間も止まることなく揺れ続け、赤ちゃんの成長が止まってしまった。
 赤ちゃんを抱きあげた瞬間、轟音とともに。どうやら赤ちゃんを揺り籠から離すと、トラップが発動する仕組みになっていたようだ。出口も岩で塞がってしまっている。
「……助けてあげられなくてごめんね」
 私は赤ちゃんに謝りながら、岩石が降り注ぐ中で目を閉じた。
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