黒き死神が笑う日

神通百力

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パンツ当てゲーム

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「……黒か?」
「いや、白だな」
 熊野くまのはどこか勝ち誇ったように言った。俺と熊野は最近、女子生徒のパンツの色や柄などを当てる遊びにハマっている。
「そんなに自信があるなら、俺が確かめてやる」
 俺は椅子から立ち上がると、数人の女子生徒と雑談している三崎みさきのスカートをめくった。スカートの下から現れたのは白色のパンツだった。俺の予想は外れ、熊野が当たっていた。
 予想が外れたことに悔しがっていると、鳩尾みぞおちを殴られた。うめき声をあげつつ、三崎の表情を伺う。鬼のような形相で俺を睨みつけていた。その表情に身を竦めながら、俺は席に戻った。
「次は伊野口いのぐちにしよう。容姿から考えて白のレースだと思う」
 女子生徒たちの冷たい視線を感じながらも、俺は予想を続けた。こんなことで予想を止めたら、男が廃るというものよ。
「いや、ああ見えて過激な下着を穿いているかもしれない。俺は黒のTバックだと思う」
 熊野はパンツを確かめるために、伊野口の元に向かおうとした。
「熊野、必ず生きて帰ってこいよ」
「ああ、必ず生きて帰る。約束は守るさ」
 熊野はまるで戦場に赴く兵士のような面持ちだった。どこか緊張したような足取りで伊野口の元に向かうと、勢いよくスカートをめくりあげる。ウサギの絵が大きく描かれたパンツだった。俺たちの予想は大きく外れていた。まさか小さい子が穿くようなパンツだと思わなかった。
 伊野口はギロリと熊野を睨み付けると、足を払って床に倒し、関節技を決めた。見た目とは裏腹に武闘派だった。熊野はギブアップの合図を出したが、伊野口は腕を締め上げるばかりで止める気配を見せなかった。やがて腕が折れる音がし、伊野口は熊野を解放した。
 熊野は腕を抑えながら、伊野口から離れると、俺の目の前で立ち止まった。
「熊野……よく生きて帰ってきた」
「言っただろ、約束は守るって」
 俺たちは無事に再会できたことを喜び合い、熱い抱擁を交わした。女子生徒たちの呆れた視線を感じたが、別に気にしない。
「次は園内そのうちだ。水玉模様のパンツだと思う」
「俺は白の紐パンだと思う」
 熊野は腕をさすりながら言った。表情からして相当に痛むようだ。
 俺は園内の元に向かい、スカートをめくりあげ、驚愕した。スカートの下から現れたのはトランクスだった。周りの女子生徒たちも驚いている。
「お、お前、男だ――」
 最後まで言い切る前に股間を蹴られた。男の急所とも言える股間を蹴るとはなんて奴だ。あまりの痛さに蹲ってしまう。
「お母さんが私のパンツを全部洗濯しちゃったから、仕方なく弟のトランクスを借りて穿いているだけよ。男だなんて失礼ね」
 園内は言いながら、俺のズボンを脱がしにかかる。突然のことに困惑する。
「女の子のスカートをめくったんだから、罰ゲームを与えないとね。今日はずっと下着姿で過ごしてもらうわよ。もちろん帰宅時もズボンを穿いたらダメよ。熊野君もね」
 園内は悪魔のような笑みを浮かべ、熊野のズボンも脱がしにかかった。

 翌日、変質者が出たと街中が大騒ぎになった。
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