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私は年齢を公式で言いたい!
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「雪子ちゃんっていくつになったんだっけ?」
幸恵叔母さんがプレゼントを持ったまま、私に聞いてきた。今日は私の誕生日だったから、幸恵叔母さんはプレゼントを持って家に訪ねてきたのだ。
幸恵叔母さんは私の誕生日は覚えていたようだが、年齢までは覚えていなかったようだ。年に数回程度しか会わない姪っ子の年齢など覚えているわけないか。誕生日だけでも覚えてくれただけありがたいというものだ。
「3×8-(2+6)の答えが私の年齢だよ」
「え? やだ、耳が遠くなったのかしら? 公式が聞こえた気がしたけど」
「もう一度言うからよく聞いてね。3×8-(2+6)の答えが私の年齢だよ」
幸恵叔母さんはホッとため息をついたが、すぐに頭を抱えた。どうやら耳が遠くなったわけじゃないことには安心したようだが、私が公式で言ったことに疑問を感じているみたいだった。私は昔から計算が大好きで年齢を公式で言いたいのだ。ただ私は頭が良くないから、簡単な公式しか思いつかない。
「さあ、幸恵叔母さん、公式を解いて私の年齢を当ててよ」
「……子供の頃から計算が大の苦手で解こうとすると頭が真っ白になるのよね」
「幸恵叔母さんって私よりもバカなんだ」
「もう、褒めても何も出ないわよ」
「いや、褒めてないんだけど」
私がそう言うと、幸恵叔母さんはイタズラっ子のように舌を出した。三十路が舌を出す姿はきついなと思いつつも、私は幸恵叔母さんを傷つけないように愛想笑いを浮かべた。
「ねえ、雪子ちゃん、電卓を使って計算してもいいかしら?」
「別にいいけど」
「えっと、3×8-……()ってどこを押せばいいのかしら?」
「えっと……分からない」
「こうなったらパソコンで計算するしかないわ」
幸恵叔母さんはそう言うと、すぐにパソコンの電源を入れた。しかし、慣れていないのか、キーボードを打つスピードが遅かった。何とか公式を打ち、幸恵叔母さんは計算を始めた。
「雪子ちゃんの年齢が分かったわ。雪子ちゃん、16歳の誕生日おめでとう」
幸恵叔母さんは満面の笑みで言うと、持っていたプレゼントを私の目の前に出した。
「ありがとう、幸恵叔母さん」
私はお礼を言い、プレゼントを受け取った。プレゼントは水玉模様の包装紙で包まれている。リボンは赤色だった。
「開けていい?」
「もちろんよ、雪子ちゃん」
幸恵叔母さんの許可を貰い、私はプレゼントを開けた。中には黒色のハンドバックが入っていた。黒が大好きな私にとっては嬉しいプレゼントだった。雪子だけど、白は好きにならなかった。
「あ、そうだ。幸恵叔母さんの年齢を教えてよ。もちろん公式でね」
「え? こ、公式? えっと、さ、30+4の答えが私の年齢!」
「いや、簡単すぎるよ、幸恵叔母さん。34歳でしょ」
「バカでごめんね、雪子ちゃん」
幸恵叔母さんは申し訳なさそうに謝った。別に謝る必要はなかったと思うけど、そんな幸恵叔母さんが私は大好きだ。
「ねえ、今日はうちに泊まってよ」
私は幸恵叔母さんの目をじっと見つめた。
「もちろん、そのつもりよ。一緒に寝ようね、雪子ちゃん」
「うん!」
私は嬉しくて幸恵叔母さんに抱きついた。
幸恵叔母さんがプレゼントを持ったまま、私に聞いてきた。今日は私の誕生日だったから、幸恵叔母さんはプレゼントを持って家に訪ねてきたのだ。
幸恵叔母さんは私の誕生日は覚えていたようだが、年齢までは覚えていなかったようだ。年に数回程度しか会わない姪っ子の年齢など覚えているわけないか。誕生日だけでも覚えてくれただけありがたいというものだ。
「3×8-(2+6)の答えが私の年齢だよ」
「え? やだ、耳が遠くなったのかしら? 公式が聞こえた気がしたけど」
「もう一度言うからよく聞いてね。3×8-(2+6)の答えが私の年齢だよ」
幸恵叔母さんはホッとため息をついたが、すぐに頭を抱えた。どうやら耳が遠くなったわけじゃないことには安心したようだが、私が公式で言ったことに疑問を感じているみたいだった。私は昔から計算が大好きで年齢を公式で言いたいのだ。ただ私は頭が良くないから、簡単な公式しか思いつかない。
「さあ、幸恵叔母さん、公式を解いて私の年齢を当ててよ」
「……子供の頃から計算が大の苦手で解こうとすると頭が真っ白になるのよね」
「幸恵叔母さんって私よりもバカなんだ」
「もう、褒めても何も出ないわよ」
「いや、褒めてないんだけど」
私がそう言うと、幸恵叔母さんはイタズラっ子のように舌を出した。三十路が舌を出す姿はきついなと思いつつも、私は幸恵叔母さんを傷つけないように愛想笑いを浮かべた。
「ねえ、雪子ちゃん、電卓を使って計算してもいいかしら?」
「別にいいけど」
「えっと、3×8-……()ってどこを押せばいいのかしら?」
「えっと……分からない」
「こうなったらパソコンで計算するしかないわ」
幸恵叔母さんはそう言うと、すぐにパソコンの電源を入れた。しかし、慣れていないのか、キーボードを打つスピードが遅かった。何とか公式を打ち、幸恵叔母さんは計算を始めた。
「雪子ちゃんの年齢が分かったわ。雪子ちゃん、16歳の誕生日おめでとう」
幸恵叔母さんは満面の笑みで言うと、持っていたプレゼントを私の目の前に出した。
「ありがとう、幸恵叔母さん」
私はお礼を言い、プレゼントを受け取った。プレゼントは水玉模様の包装紙で包まれている。リボンは赤色だった。
「開けていい?」
「もちろんよ、雪子ちゃん」
幸恵叔母さんの許可を貰い、私はプレゼントを開けた。中には黒色のハンドバックが入っていた。黒が大好きな私にとっては嬉しいプレゼントだった。雪子だけど、白は好きにならなかった。
「あ、そうだ。幸恵叔母さんの年齢を教えてよ。もちろん公式でね」
「え? こ、公式? えっと、さ、30+4の答えが私の年齢!」
「いや、簡単すぎるよ、幸恵叔母さん。34歳でしょ」
「バカでごめんね、雪子ちゃん」
幸恵叔母さんは申し訳なさそうに謝った。別に謝る必要はなかったと思うけど、そんな幸恵叔母さんが私は大好きだ。
「ねえ、今日はうちに泊まってよ」
私は幸恵叔母さんの目をじっと見つめた。
「もちろん、そのつもりよ。一緒に寝ようね、雪子ちゃん」
「うん!」
私は嬉しくて幸恵叔母さんに抱きついた。
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