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三章 金塊マネーを狙います!

十二話 敗北ルートも力業で突破です!

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 早くも三番目の分岐点に到着した。また右左に道が分かれている。

「これって全部で何回あるの? 」

「5回です。なんで、これ含めてあと3回選べます。」

「全部ゴーレム引く確率は八分の一か。」

「欲張りですね、ロータスさん。ツイてないくせに。」

「ゔっ、それは……。」

結局、ミヤビが右を選んだ。

 ……正解だ。ゴーレムがうじゃうじゃいた。全部で七匹か。さっきより多い分、収穫にも期待が持てる。

 俺たちは『隠密』を使ってはぶん殴るのを七回繰り返した。ゴールデンゴーレムたちはいとも簡単に倒れていく。

「慣れてきましたね。」

「まあそうだね。それにしてもやっぱり君がクリティカル以外出さないのは凄いな。」

出会ってからこれまで、ミヤビの攻撃はことごとくクリティカルの判定だ。

「逆にそれ以外がでないんですよね。一回クリティカルじゃなくしてみようと試して見たんですけど、ダメでした。」

単純に攻撃力が三倍になるようなものなのだから、喜ばしい限りだとは思うが。

 巨大金塊をポーチにしまうと、また次の分岐路へと向かう。

「これにも飽きてきちゃったね。」

「本来ならドキドキしながら選ぶんですけどね。」

今回も道を選んだのはミヤビ。今度は左を選んだ。

 連続正解! またもやゴールデンゴーレムがひしめいていた。

「やりましたよ、大漁ですね! 」

「ここまで引きが強いと恐ろしいよ。」

「ロータスさんが外しすぎなんですよ。」

 今度のゴーレムは合計で九匹。9回も同じことを繰り返すのは骨が折れるが、それに見合いすぎるほどの報酬が待っている。

 また俺たちは『隠密』を使用した。

「それ! 」
「おらっ! 」

息はどんどん合うようになっていく。

「私たち、なかなか相性いいと思いませんか? 」

「まあはぐれ者同士だしね。」

「それは言わないお約束ですよ。」

ゴーレムの数は増えたというのに、前よりもはやく片付いてしまった。

 巨大金塊の数は、これで二十一個。一個あたりの値段がいくらなのかはよく知らないが、かなりの価値があるのだろう。今からもうすでに換金のことを考えてワクワクしてしまっている。

 次で最後の分岐路だ。

「最後までしっかりゴーレムを引きますよ! 」

ミヤビは意気込んでいた。

 最後の分岐点にたどり着いたのは、俺たちだけではなかった。もう一つパーティーがいたのである。彼らは正規のクリアルート、つまりはこれまでの四回全てでゴーレムのいない方を引き当てるというルートで来ている。

 これが本来のクリアルートなのだが、これはこれでかなりの低確率だ。

「おや、僕たち以外に残存パーティーがいたのか。」

「あれ、でもさっきまで私たちだけじゃなかったかしら。」

向こうのパーティーは俺たちのことを見て不思議がり、コソコソ話していた。

「彼らには俺たちが幽霊にでも見えてるのかな? 」

「アハハ、たしかに。私たち、ありえないルートから来ましたからね。」

 もう一方のグループは他にも面白い話をしていた。

「このイベントは、情報さえ知っていれば楽勝なのにな。」

「ええ、ほんとに。全ての分岐点で左を選べばいいだけの話なのに。他の人たちはよく調べてなかったのかしらね。」

イベントにはどうやら裏技があったようだ。

 「なるほど、情報を知ってさえいれば楽勝のようですね。これ。」

「最初から右を選んだ俺はまさにマヌケだったのか。それにしても、どうしてそんな情報が手に入ったのだろうか。」

もしかしたら情報が事前に漏洩でもしていたのか。それならば、その情報を得て使ったこいつらは違反じゃないのか?

 ミヤビが遠慮することなくズカズカとそのパーティーに近づいていった。

「あの、今聞こえちゃったんですけど。全部左に行けばいいっていう話はどこで? 」

 突然話しかけられて、他パーティーの人たちは戸惑っていたが、答えてくれた。

「ああ、それですね。図書館で見たんですよ。やっぱり大事なのは情報ですからね。よく調べておかないと。」

疑ってしまって申し訳ないな。全然正当な方法だった。

 町の図書館は、景観の一部とばかり思っていたが、そういう機能があるとは。まったく知らなかった。

 「そんなわけですから、僕たちはここも左に行こうと思います。右にはここのボスが待ち構えているようですから。知った以上はあなた方もそうするでしょう? 」

彼らは左に行こうと進み始めた。

 ミヤビはこちらに戻ってくると、俺に一言。

「よかったですねロータスさん。正解が分かりましたよ。そういうわけで、右行きましょうか。」

ミヤビの一言に、他パーティーの人たちは全員こちらへ振り向いた。

「ちょっと! 話聞いてたんですか? 左が正解だと言ったでしょう。」

「あいにく、私たちにとっては右が正解なんですよ。」

ミヤビがそれだけ言い残してさっさと右の道に進んでいってしまったので俺もそれについて行った。







 道の先はこれまで以上に開けていた。広い場所の中央奥、ボスは分かりやすく待ち構えていた。

 見た目は巨大なゴールデンゴーレム。ただし、拳が異常に発達している。頭上に現れた種族名は、「ゴールデンフィスト」。確かに名前負けしない立派な拳だ。
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