最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

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第一章

ヨシュアはティファと戦いたくない☆

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「え?私と手合わせがしたい?」

久しぶりだな!俺はヨシュア!ヨークシャじゃねぇぞ!ヨシュアだ!そういうボケはここではいらねぇからな!!

いやいや?別に名前を覚えられない程度で怒るほど俺は子供じゃねぇから?ここ数ヶ月の俺の成長は目を見張るものがあると思うぜ?自分で言うのもなんだけどな!!

そもそも少し前の俺は、確かに大人気なかったと思うぜ。
いくら敵国の人間とはいえ、ティファみたいなボケボケ女を警戒してたなんてよ?本当子供だった。イタい奴だった。

「ああ。悪いが王命なんだ。一度でいい」

あ。そうそう。さっきからティファと話してんのは俺じゃねぇよ?最近ティファの飯目当てで、宿舎に入り浸ってるうちのムキ男・・・もといギャドが・・・・・とんでもないこと言い出してんな?あれ?なんでティファと戦う流れになってんだ?!

「あのぉ。一体誰と?」

「そ、そうだよギャド!しかもコイツ最近ずっと料理ばっか作ってるから剣の腕だって鈍ってるだろ?怪我したらどうすんだよ!!」

いや、別にティファの心配してるとかじゃねぇよ?でも、一応女じゃん?それをさぁ大人の男と戦わせるとかマジでどうなのって話だよ。

「怪我するまでやる訳ねぇだろ。陛下はティファの実力が知りたいんだと」

「そんなの知ってどうするんでしょう?スカウトならお断りですが?」

「え?お前シレッと何言ってんの?そんな簡単にスカウトされる訳ねぇだろ!これでも俺達この国で一番実力がある騎士団だぞ?」

お前マジ図々しいな!?そして神経図太いな!そんで敵国の捕虜の癖にスカウト断わるなよ!

「とにかく庭に来てくれ。服は汚れるといけないからコレを」

おいおい。ティファ、すげぇ微妙な顔してるじゃん?ギャド大丈夫なのかよ?ってギャド?

「お前。ティファと戦ってみるか?」

「は?お、俺が?」

ちょ、ちょっと待てよ!なんで俺なんだよ!勝っても負けても気分悪ぃじゃんよ!却下!

「嫌だね。戦争でもないのに女と戦う趣味はない。ギャドだってそうだろ?」

「そうなんだけどなぁ。だが、ティファを長くここに置くなら必要な事なんだよ。それに、いつまでもハイトをティファに引っ付けとく訳にも、いかんだろ?」

ん?何だ?もしかして結構真剣な話なのかコレ?

「俺は一応ティファの身元引受人だ。捕虜から解放した後アイツの面倒は俺がみる事になる。アイツがどれだけ強いのか知っておかないといけない。万が一ティファが俺より強かったら何かあった時、俺では止められんだろ」

・・・・・・は?

ちょっとこの人何言ってんの?
あんたここの騎士団の団長で、この国屈指の剣士ですよね?そのムキムキの腕一本で俺達が一斉に立ち向かっても敵わないぐらいの強さがありますよね?そんなあんたよりティファが強いわけねぇだろが。

「ギャドさーん!これ、ちょっと大きいんですけどぉ」

「え?マジか?ど、どうすっかな?ちょっ!ティファ!あんま俺に近づいて来んな!!」

あ。コレ、揶揄われたっぽいな。

あんたティファに自分の服着せたかっただけだろ?
バレバレなんだよ。ティファが好みなの。

「何してるの?ティファ、何その格好?」

「あ!ハイトさん。あの、ちょっと運動したいので服貸して頂けませんか?」

「え?僕?何で?」

「だって、ここにいるメンバーで私と体格が近いのがハイトさんしか、いないんです」

っておおい!!そこで俺を見んじゃねぇよ!!
別に俺はチビじゃねぇぞ!!お前らやティファが無駄にデカイだけだからな!!断じて俺はチビではない!!!

全く!失礼な奴等だぜ。
でも、暇だからなんとなく、ついて来ちゃったけどな!?

「え?二人共剣を使うの?訓練用の棒じゃなくて?」

そうだよ!忘れてたけどそれなら怪我の心配ないじゃん?

「え?駄目ですよぉ。あれだと逆に手加減出来ずに相手に怪我させてしまいますから。本物の剣が一番です!」

うん?どゆこと?あれかな?再起不能になるまで棍棒で殴り続けるつもりなのかな?アハハ・・・・怖っ!!

「あれ?ギャド?ティファも何やってんの?こんな所で。ティファ男装してんの?可愛いね?」

おいおい他の奴らも気付いて来ちゃったじゃんよ?どうすんだよコレ。

「俺はいつでも構わないぜ?ティファ。攻撃して来い」

「・・・・・・はぁ。分かりました」

ほらぁ。ティファ嫌がってんじゃんよ!ギャド嫌われたなコレ。まぁギャドも流石にティファ相手に本気を出す事なんて・・・・・・。

「お、おい」

「え?どういう事?」

・・・えーと。何で二人共構えたまま動かないんだ?
しかも、とても空気がピンと張り詰めてるんだけど?

「何で二人共攻撃しないんだ?」

「おい。黙って見てろ」

フィクスが珍しく真剣な顔しててビックリした。
っつーか皆んな、いつの間にか真顔になってんな。
どうなってんだよ本当。

「では。行きますね?」

ビュンッ!!

「「「「え?!」」」」

正直に言っていいか?

俺、ここだけの話、ティファの動きが早すぎて何が起こったのか分かんなかったんだけど?
そんでもってそれを止めて身を翻したギャドの剣さばきもよく見えなかったんですが?

二人は二、三撃打ち合って離れると、またお互い睨みあって動きをピタリと止めた。
そして、ギャドは剣をおさめると両手を挙げた。

「参った」

「「「え!?」」」

なんでだ?今ので何が分かったんだ?

「あ。もう良いですか?」

「ああ。今ので大体分かった」

な・に・が・で・す・か?
わかんねぇ!!全然わかんねぇよ!

「じゃあ私。料理の仕込みがあるのでコレで失礼しますね?ハイトさん。服は洗ってお返ししますので」

「うん。いつでも大丈夫」

呆然とする俺達の前をティファがトトトッと小走りに走って行く。

え?この空気なんなの?どうすればいいんだ?

「で?どっちなんだギャド。ティファの実力」

フィクスは何故かすげぇ困った顔してんな。
よく周りを見ると青い顔半分困り顔半分って感じだ。
俺?お、お、俺はもちろん・・・・。

「ヨシュア。お前、俺の申し出を断ってよかったな?」

も、もちろん・・・・・。

「ティファ。あれで実力の半分も出してねぇぞ。多分死んでたな。お前」

真っ青にもなるわ!ボケェ!!!なんちゅう振りかましやがる!ギャドォォオォオ!!
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