最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

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第一章

ギャドは隊長の座を譲りたい

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「オラオラオラァーーー!!」

「ちょ!ギャド!一人で突っ込んでくな!お前うちの指揮官だろが!!誰よりも先に走って行くんじゃねーよ!」

うっせーな!

こういうのは先手必勝なんだよ!
とりあえず頭数減らしておかないと面倒だろ?ああー面倒だ!ぶっ倒す!

「あーーもぅ。だからギャドの班は嫌なんだよぉ。誰が止めんの?あの人」

「ほっとけほっとけ。腕がもげたって死にはしねぇよ。寧ろ生えてくんじゃね?」

キィィィン

「てかもうさ?アイツ一人に任せとけば良くね?さっきから来る敵来る敵なぎ倒してんじゃん?俺もう疲れたー」

バキィ!

「メルロー駄目だぞ?そんなんじゃ騎士として上に行けない」

「え?キルトそんな向上心あったの?流石!爽やか青年と名高いキルトさん!是非そのポジティブさでフィクスのポジションを狙って頂きたい!」

「え?向上心?何それ美味しいの?」

お前らいい加減温厚な俺でもキレるぞ?
仕事しろやぁぁ!!

バキィ!グシャ!ドガァァァァァ!!

「はぁ。やっと終わった。おい!西側加勢に行くぞ?」

「えーー!?マジでぇ?もうそっちはフィクス達に任せればいいじゃん?」

「そうだそうだー!今日の俺達の勤務時間は既に過ぎている!残業手当よこしやがれ!」

お前等・・・。

段々とティファに似てきたな。
だがお前等はティファと違って全然可愛くないから却下。

「じゃあ今すぐ団長の座をくれてやろうか?給料は格段に上がるぞ?そのかわり今の倍以上の激務と責任がのしかかるけどよ?」

「「ア、ソレハ遠慮シマス。スミマセンデシタ」」

いや、冗談じゃなく誰か代わってくれよ。

俺このままじゃブラックな職場の所為でいつか過労死すると思う。そもそも城に泊まり込みで仕事しなきゃならないってなんなんだ?何故俺だけ?総合的な能力だったらハイトの方が団長に向いてるんだぞ?

あ、だからだった。
アイツに嵌められたんだった。

「おーーいギャド!片付いた?」

噂をすればお出ましだよ。

澄ました顔しやがって。
お前は自分の望みの為なら、どんな手段をも躊躇なく実行する恐ろしい男だと俺だけは知ってるんだぞ?

「そっちも片付いたみたいだな?攻撃魔法も余り飛んで来なかったぞ?おかしいよな?」

「・・・・そうなんだよね。何か他に目的が・・・・」

ん?ハイト?どうした?驚いた顔しやがって。

「ギャド!ソイツから手を離せ!」

ん?ソイツ?ソイツって今さっき倒した敵の事か?
俺は手には何も・・・・・・。

「馬鹿が。死ね!」

げぇ!いつの間に?え?そこで光っちゃう?自爆しちゃう?コレもう逃げられなくね?
つーーかお前等俺を置いてダッシュするなぁぁぁ!!

はい。俺死んだー!

ドーーーーーーーーーン!!!

死ぬには早いけどそれなりにいい人生だったぜ。

気安い仲間にちょっとブラックだけど規律の緩い職場で楽しく仕事出来たしな?それに何よりティファが来てからは美味い飯を毎日の様に食べる事が出来たしな?アレ美味かったなぁ七面鳥の中に沢山の具が入ってたやつ。外側の皮はパリパリで香ばしいのに中はホクホクジューシーで外側と内側それぞれ楽しめるヤツーあー腹減ったぁ!ん?腹減った?

「ギャド!おい、ギャド!無事か?マジか!」

「え?どういう事?なんで爆発に巻き込まれたのに無傷?ギャドの筋肉は遂に人間の限界を超越したの?無敵マッチョなの?」

「・・・・・お前等。いい加減にしねぇとランダムで選んだ上で団長に推薦するぞ?勿論ハイトにも推薦状を書かせた上でな」

「「ギャドマッチョ団長オ許シクダサイ」」

「マッチョは余計だっつーんだよ!!」

俺、生きてるよな?
こいつ等もあんな近くにいて無傷・・・・なんで、ん?
なんか俺等体が僅かに光ってね?

「なんだコレ?魔法防壁?」

「みたいだね?でも、思ってた以上の効果だね?」

「なになに?ハイトコレ何か知ってんの?」

いつの間にこんなのかけられたんだ?
全く記憶にねぇんだけど?ん?いや、待てよ?まさか。

「ティファだよ。彼女料理に魔力を込めてるんだ。きっと無意識だけど」

「「「「は?」」」」

あーーーーーだから?だからあの時あんな呆れた顔を?

「僕は最初から気付いてたよ?皆んな、あんなにティファの料理食べてたのに全く気がつかないんだから。まぁだから僕も強く止めなかったんだけどさ」

「え?じゃあハイトが最初ティファの料理を隠してたのってそれを隠す為だったの?」

そうか!もし知られてたら大騒ぎになってたかも知れないしな?お前も結構やるじゃねぇか!

「いや?普通に独り占めしたかったから」

テメェェェェ!!!

「おーーーい?生きてるかなー?」

おい。今俺は何も聞こえなかった。皆んなもそうだよな?な?そういうことにしとけ!

「あれ?デズロ様なんでこんな所に?相変わらず自由っスね?」

「そんな事ないよ?でも、僕の心はいつもあの雲の様に、自由だよ?」

ああ。そうかよ。つまりあんたの頭の中はスカスカって事だな?そういう認識でOKだな?あんたそんな事ばかりしてるとその内、陛下に闇討ちされっからな。

「で、急なんだけどさ?今から誰かにティファを救出しに行って欲しいんだよね?ギリギリ国境越えられちゃってさぁ?僕行けないの」

・・・・・・は?何だって?ティファを救出?

「ごめんねぇ。僕もちょっと油断してた。ヨシュアに首輪を渡すために少しティファから離しちゃったんだよね。その隙、狙われちゃったよ。だから最速で君達の誰かをティファの所に届けてあげるよ?誰が行く?」

そんなん俺が行くに決まってんだろ!聞くなよ!

「一つ質問が。どうやってティファの下まで、届けるつもりですか?」

「ん?僕の魔術でビュンって飛ばすんだよ?ヨシュアに首輪を着けてあるから、それを目掛けてね?」

「「「・・・・・・・・」」」

あ、前言撤回。
どうしてもって言うなら譲ってやらなくもないぞ?
おい。皆んな清々しいくらい分かりやすく目を逸らしやがったな?

「じゃあ僕が行こうかな?」

しょうがねえ、やっぱり俺が、え?ハイト?

「即答したね?結構キツイと思うけどいいの?」

そうだぞハイト。お前普段から筋トレもサボってるから到着する頃には、ありとあらゆる関節が外れるかも知れないぞ?やめとけよ。

「この中で僕が一番多くティファの料理を食べてるから。大丈夫でしょ?それに・・・・・」

あれ?俺もしかして、いや、間違いなく出遅れた?

「話を聞いた時から馬鹿王子に最初に制裁を与えるのは僕だと、決めてマシタカラ。イイヨネ?ギャド?」

あ。お怒りなんだな?それもお怒りメーター振り切れてるんだな?どうぞご自由に。っつーかさ?やっぱりお前が団長やれよ!怖えよ!
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