最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

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第二章

セラはティファと恋バナをする

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なんでこんな事になってしまったのでしょう。

ずっと彼に会えるのを楽しみにしていました。
あの庭園でした約束を忘れられず夢見てしまってました。

冷静に考えたら、あんな子供の頃の約束なんて覚えているはずないです。
婚約者候補として顔合わせした時それを思い知りました。

「初めまして。サウジスカル騎士長のギャドだ」

「セラです。あの、ギャド様・・・・」

「早速で悪いんだが、俺は誰とも結婚するつもりはないんだ。宰相のおっちゃんに言われて今日は来たが、この婚約が成立する事はないから安心してくれ」

ギャド様。完全に私の事忘れていました。
約束も私と会ったことがある事も。
我儘を言ってやっとギャド様に会う事が出来たのに、私本当に愚かでした。しかもそれがショックで思わず泣いてしまって。益々ギャド様に嫌がられてしまいました。ガックリ。

「セラ。何故ギャドなんだ?お前なら他にも良い相手がいるだろう?」

「あの方でなくては嫌です。完全に望みが無くなるまで諦めたくはありません」

「・・・・セラ」

ごめんなさいお父様。
でも悔しいではないですか。
私だって女としての意地があります。
何もせずに諦めるなんて嫌です!

「あ。良い香り。何かしら?」

皆様お元気ですか?今更ですがセラです。
実は私、この間ティファ様達に呼んで頂いたピクニックという名の登山に行って来ました。そして、大暴走しました。

それなのに何故がギャド様と婚約を結ぶ事に成功しました。暴走、してみるものですね?一年限定ですが。

「あれ?セラさん?どうしたんですか?」

「こんにちは。すみません勝手に。入り口から声をかけたのですけれど」

「すみません。作業に没頭していてついー!」

この方はギャド様の恋人、と偽っていた宿舎の料理人ティファ様です。いえ、最初からおかしいな?とは思ってました。だってこの方、恋人だと言うわりに私に協力的でしたもの。ちょっとおかしい方なのかと思ってましたが。

「あの、今日は貴方にご迷惑をお掛けした事をお詫びに」

「え?迷惑ですか?何の事です?」

「私がギャド様に付きまとっていた事で貴方まで巻き込んでしまいました。申し訳ありません」

「そうなんです?別に構いませんよ?ギャドさんにはお世話になってますので」

この方。とても綺麗な方なのに、何というかちょっと変わってらっしゃいますよね?
わざとでしょうか?・・・・・いえ、違いますよね?
お肉を笑顔で叩いてますもの。怖い。

「あの?何をお作りになっているのです?」

「これですか?これは、差し入れです!宮廷に持って行こうと思いまして」

「カツレツですか?」

「ハイ!カツサンドを作ろうかと!」

へぇ。こうやって作るのですね。
あのソースも手作りですよね?美味しそうです。

「カツを揚げたら特製ソースに丸ごと漬けてトーストしたパンにバターマスタードを塗ってキャベツと茹でた卵を切ったもの、玉ねぎの薄切りを乗せてその上にこのカツをドーーン!パンで挟みまーーす!」

え?何ですかソレ。見ただけで涎が出そうです。食べたい。そういえばこの前の登山でもティファ様お弁当作ってくれてましたわ。食べられませんでしたが。今更になって後悔の念が・・・。

「そして、ザクーと半分に切って出来上がり!お弁当に詰めましょう!ふーふふーん!ん?」

「ハッ!すみません。つい食い入るように見てしまい。あまりにも、その、美味しそうだったので・・・」

「端の方で良ければ食べてみますか?」

「良いんですか?」

「はい!ドレス汚さないように気を付けて下さいね?」

私ったら恥ずかしいですわ。あんな近くでジッと見ていたら食べたいと言っているようなものでした。すみません。
でも、本当に美味しそうなんですもの。

「はい、どうぞ。召し上がれ」

「頂きます」

ちゃんと食べ易く切ってくれてあります。ティファさんってすごく気の利く方なのですね。こんな方に勝てるのでしょうか?

サクリ。

「~ッ!」

うわぁ!美味しい!中の具材が絶妙なバランスでカツの美味しさを引き立てています。それにこのソース!こんなソースの味初めてです。どうやって作ったんでしょう?挟んでいるパンも普通のパンと違いますね?これは、なんのパン?

「実は最近パンも焼き始めまして。そのサンドイッチのパンも私が焼きました!独自のブレンドで水分量も調整しています」

えええ!パンまで焼くのですか?凄い。もうお店を出したらいかがです?私絶対通います。

「セラさん。ギャドさんはとても恥ずかしがり屋さんで、ムキムキマッチョですが、お人好しでとってもちょろくて良い人です!」

あの、それは、褒めてるのでしょうか?
ギャド様って普段どんな扱い受けているのでしょう?

「頑張って下さい。私、応援してます」

「ティファさんは、ギャド様の事お好きではないのですか?」

「好きですよ?ギャドさんは良い人です。でも、私もギャドさんもセラさんが思っている好きではないと思います」

そうなのでしょうか?
そうなのかも知れませんが、何か引っかかります。

「ティファさんは、誰かに恋した事あります?」

「はい!実はその人がギャドさんと少し似ています!前々から似てるなぁーとは思ってたのですが。でも似てるだけですから」

それは、だから気になっていたと、いうことでしょうか?
なんとなく納得出来ました。その方とは上手くいかなかったのでしょうか?

「因みにその方はどんな方なのです?」

「私の生まれ故郷の村の族長です!体も大きくて筋肉モリモリ!豪快で怪力でその癖めっちゃ動きが俊敏なんですよ!!私5歳の頃から族長と山の中を走り回って獣を狩っていましたー!あー今思い出しても楽しい日々でしたぁ」

「え?では、その。年がかなり離れていたのでは?」

「はい!当時確か60歳くらいでした!かっこよかったです!」

それは恋ではなく強い者への憧れでは?ティファ様やはりズレてらっしゃる。

「あの村で私の頭を撫でてくれたのは族長だけでした!あ!抱っこもしてくれましたよ?族長元気でしょうかぁ」

やっぱりそれは恋ではないです!!
そしてギャド様に対する気持ちも違いますね?
私、安心しましたが、心配にもなってきました。
ティファ様、そんな調子で大丈夫なんですか?

「あの。何かお困りの事がありましたら私でよければご相談に乗りますからね?」

「本当ですか!では早速少し困っている事がありまして」

え?早速ですか?私嫌な予感しか致しませんが?

「実は数日前・・・・」

ティファ様。貴方鈍すぎますわ。何故、そんなにアピールされているのに、気が付かないのでしょうか?謎です。
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