最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

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第二章

ハイトは頭を冷やしたい

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「ハイトさんには日頃からとてもお世話になってます。だから黙ってましたが、最近ハイトさんは私に対して過保護過ぎます。私ハイトさんにそんな事、望んでいませんよ?」

ティファにそう言われて僕ちょっとショックでした。
そりゃそうですよね。ティファ迷惑だったみたいですね。それに、全然気付いてませんでしたね?あれだけあからさまにアプローチしていたのに。でも、ちょっとあの言葉で頭が冷えました。

「・・・・お腹空いた」

「ハイトさん。書類受け取りに・・・ハイトさん?」

「んーーー?ああ、そこに置いてある」

「前よりも、より一層ヤル気が失くなるって。どういう事っすか?」

ほっといてくれ。
僕もう今日は仕事しない。昼寝する。そして現実逃避する。起きてるとティファの事考えちゃうし、その度にお腹空くし、エンドレスだしーーーー!

「僕、今から仮眠取るから暫くほっておいて」

「堂々とサボると宣言しないで下さい」

最近はお昼もまともに帰ってないんです。
ティファの顔も全然見てないですし。
ティファがこの国に来て、こんなに長く彼女の側から離れたのは初めてかもしれないですね。正直かなり、辛い。

「やっぱり相手がいるのは面倒くさい」

そもそも恋愛自体面倒くさい。
僕の人生において、それは予定になかった事だし、まさか自分が恋愛するとも思わなかった。
周りの奴等が相手の反応で一喜一憂する様をみて、馬鹿だなぁと思ってました。
それが今やこの様ですよ。笑っちゃいます。

「・・・・・ハイト・・さん?」

ん?誰ですかね?僕さっき昼寝するって言いましたよね?
邪魔する気ですか?ぶっ飛ばしますよ?ん?でもなんだかとても良い香りがする。凄く、お腹が空く匂い。

「うーーーーっなに?」

「お疲れですか?大丈夫です?」

あれ?ティファの声がする。
でもここ仕事場だよね?あ、これ夢か。

「大丈夫じゃない。ティファのご飯食べたい」

「・・・・・・食べて下さい。私も、ハイトさんに食べて欲しいです」

そうだよね。料理だけで満足していれば良かったんだ。
でも、もう僕それだけじゃ満足出来ないからなぁ。

「ご飯も食べたいけど、それ以上に・・・・」

「え?ハイトさん?なんですか?」

無理かなぁ。でも、僕こう見えて諦めが悪いタイプなんだよね。今までやると決めた事は全て成功させて来た。
ただ今回は生身の人間相手だから簡単にはいかないよね。

「僕の事、もっと好きになって欲しい」

「・・・・・・・・・・」

無理矢理は嫌だ。
そんなの面白くない。
ティファが自分で僕を選んでくれないと。

「好きですよ?ハイトさんの事」

絶対違う。僕と同じ好きじゃない。断言できる。
でもいいかな。夢でもそれが聞けたなら。

「うん。僕も」

下らない嫉妬とか、好きな子を怒って困らせたりとか、本当に自分が嫌になったけど、しょうがないか。
そもそも最初から僕に勝ち目はないですから。




「おーーーーい!ハイト!起きろよ!」

「・・・煩い。フィクス、何?」

「もう夕方だぞ?お前いつまで寝てるんだよ」

え?夕方?あ、仕事終了ですね?今日はもう帰ろうかな?
ん?そのテーブルに置いてある物は?

「これお前にってさ。昼食ってねぇんだろ?食え」

「え?誰が?まさかベロニカ?」

そんな訳ないですよね。今日は要らないって伝えてあります。でも、これ。

「それ食っていい加減仲直りしろよ。俺は先に帰るからな」

やっぱりそうだよね?持ってみたら僅かに魔力を感じました。わざわざ作って持って来たんでしょうか。

それにしても、相変わらず美味しそうです。
ガッツリ、カツサンドだぁ。コレはヤバイ。

「うう。美味い。なんなのコレ」

酷い。あんなに僕、我慢したのに。
それなのに、この仕打ち!カツサンド美味い!最高です!

「あーー無駄な抵抗だったかぁーーモグモグ」

んん?ちょっと待って下さい?
ここにカツサンドがあるという事は、もしや、ティファこの部屋に来たという事でしょうか?いつの間に?

もぐもぐもぐもぐ。ゴックン。

「・・・・・え?なんの冗談?」

僕、すっかり夢だとばかり思ってたんですけど。
まさか実は本人が目の前にいたとかないですよね?
ちょっと僕嫌な汗が止まらなくなってきました。

え?僕とんでもないこと口走ってなかった?しかもティファ・・・・・。

それに、答えてましたよね?

「おーい!ハイト・・・・どうした?顔赤いけど、具合でも悪いのか?珍しい」

「・・・・ちょっと、コレはかなり重症かも」

「え?マジか!お前もう今日は帰れよ」

そうします。それでちゃんとティファと仲直りします。
だってそうしないと先に進めませんから。

「お?ハイト!お帰りー!今日もご飯美味そうだぜぇーイデデデデデ!!!」

「メルローお前懲りないな?」

「ティファ厨房にいる?」

「いや、裏庭に植えたハーブを採りにいってるけど?」

今回は敢えて僕が折れます。別の物も何箇所かへし折れた感じはしますが気にしません!

「ティファ?」

「あ。ハイトさんお帰りなさい!」

ほらね。やっぱりいつも通りだ。
でも大丈夫。僕もいつも通りにすれば、また元通りです。
表面上は!(悲)

「差し入れ。持ってきてくれたんだってね?ありがとうティファ。とても美味しかった」

「はい、それなら良かったです。・・あの、ハイトさん」

「うん?」

「私、ハイトさんがご飯食べに来てくれなくて、とても寂しいです。あの、私ハイトさんには、笑ってて欲しいです」

あ、無理。
いつも通りってなんだっけ?ちょっと記憶が曖昧ですね?

「それで、いつもみたいに笑って、ご飯美味しいって言って欲しいです!」

「うん。ごめんねティファ。そうだよね」

そういえば、僕ティファの髪に触った事なかったんですけど、とっても手触りが良いんですね。とても柔らかいのにサラサラしてます。撫で心地が良くて癖になりそうです。

「僕も、ティファが笑ってくれる方がいいや」

ティファが望むならそれを叶えてあげる事にします。
僕はいつも君が頑張っている事を知っていますから。

「・・・・ハイトさん?」

例え僕の願いが叶うことがなくてもそれは約束するよ?
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