最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

文字の大きさ
72 / 144
第二章

デズロは二人を放牧する

しおりを挟む
「ねぇねぇラット?カスバールの厄災って五年前に起きたんだっけ?原因って結局分かったの?」

「はぁ?厄災の理由なんて分かるかよ。その年は前の年から雨も全然降らなかった地方と逆にずっと雨が降り続けた地方があってどちらも作物が育たなかったんだよ」

「あーあれは酷かったわねぇ。その次の年には魔物の数もかなり増えたから。いくつかの村はそれで壊滅したわ」

あ?皆元気にしてたかな?
最近めっきり会えなかったけど僕は元気だよ?
元気過ぎてもう一山穴開けたいくらい元気満々なんだ!

「ふぅむ?雨がねぇ?そういえば最近この辺りも全く雨、降らないよね?エルハドが心配してた」

「へぇ?まぁ早めに備えるに越したことはねぇわな?この国は大丈夫なんじゃねぇの?設備がちゃんとしてるし、魔力もたっぷりとこのクリスタルに溜まってる。俺達の労働でなぁ!!」

「雨の量はともかく。魔物が突然現れたのは解せないなぁ?人為的な物でもなかったし。原因はなんなんだろ?」

「無視かコラ!少しは休ませろや!」

この前、突然サンチコアの街に現れた魔物。
この国では見かける事がない種類なんだよねぇ?
ライスベガは群れで行動するから何処かで暮らしていた筈なんだけど、その場所が分からないんだよね?

一体どこから何の目的で来たんだろう?

「あ、エリスとラットさ?暫くサンチコアで暮らす気はない?」

「は?」

「ティファを護衛しろと?」

うーん。惜しいエリスちゃん!ちょっと違う。

「ティファは護衛しなくても強いって知ってるでしょ?君達もそろそろ自立に向けて用意しておかないとね?」

「は?何言ってんだあんた。俺達はあんたのペットなんだろ?」

「そうそう!でもいい加減外の空気も吸わせてあげないとね?勿論首輪はつけたままだよ?エリスちゃん買い物行きたいって言ってたよね?」

「え?ええ。でも・・・・」

戸惑ってるねぇ?
わかるわかる。カスバールって本当クソみたいな国だよね?早く国王、変わらないかなぁ?

「暫くはティファ達の宿舎で過ごして貰うけど、ちゃんと二人が住む場所探しておいてあげるからね?それまで皆と仲良くね?」

「ま、魔力はもういいのかよ?」

「うん。そもそもコレ僕一人がいればすぐ満タンになるの。既に別のクリスタルにストックもあるし」

「え?じゃあ何で私達に毎日魔力、注がせたの?」

「え?苦しむ様を見て面白がってただけだけど?」

「「悪魔!!」」

え?聞こえないな?
あ、そうだ。

「二人共こっちにおいで?」

おや?嫌そうだねぇ?躾が足りなかったかな?
あはははは?逃げても無駄無駄。はい、確保ー!!

「な、何すんだコラ!!」

「ちょっ!デズロ様?」

「はーいちょっと脱いでー?」

大丈夫、全部じゃないよ。一部だけだよ。女の子をこんな所で素っ裸にするわけないでしょ?

「一瞬痛いけど我慢してねー?」

「「え!」」

バチィ!!

「いでぇ!!」

「キャア!!」

「はーい終わり。おーいササラー!ちょっと来て」

ササラもそんな嫌そうな顔で登場しないでほしいな?
スマーイルスマーイル!せっかく綺麗な顔してるんだからさぁ?

「この子達の肌治療してあげて。綺麗に消えてると思うけど」

「・・・デズロ様。何を考えていらっしゃるのですか?」

「何って?ずっと不愉快だったんだよね?この二人は僕のペットなんだから、前の所有者の印なんて要らないだろ?」

まぁこの子達に関しては完全に使い捨てられた感じだったけどね?ナシェスの近況は散々聞いてきたのに君達の事なんて最初からいなかった扱いだったもんね?
でもこれが普通なのかなぁ?一兵士や奴隷の事なんて歯牙にも掛けないんだろうね?お陰で殺して送り返す気にもならなかったよ僕。

「お前。こんな事して、俺達が逃げたらどうすんだよ?」

「え?好きにしたら?」

「は?」

「デズロ様!!」

なんだよササラ。怖いよ顔が。本当に怒りっぽいよね?

「前々から申していますが、お遊びが過ぎますよ?いい加減にして下さい」

あれ?本気で怒ってるのかな?僕の息子は優しいねぇ?

「子供をいじめて遊ばないで下さい。それで?私が連れて行けばいいのですね?」

「よくわかってるぅ。流石ササラ!僕の自慢の息子だね?」

「では支度がありますから。エリス、ラット、立ちなさい」

あれぇ?暫く会えないのに挨拶もなしに出て行くの?
やっぱり躾、足りなかったかな?

「エリス?そんなに痛かった?大丈夫?」

「・・・・・さようなら」

「とっととクタバレ変態魔術師」

おぅ?拗ねちゃったかな?
本当にハリネズミみたいにトゲトゲしてて可愛いよね?
僕あれ見る度に全部毟り取ってツルツルにしてから愛でたい欲求に襲われるんだよねぇ?え?歪んでる?あはは?

「さて、準備も出来たし僕も暫く旅行でも行こうかな?」

あ、そういえばエルハドもやっと息子に帝位を継ぐ準備が出来たらしいし、この機会に一緒に遊びにでも行こうかな?アイツずっと外に出たがってたもんね?

「最初アイツが皇帝になるって言い出した時は絶対無理だと思ってたのになぁ」

本当に。人生何が起こるかわからないよね?
僕も、こんな長生きするとは思わなかったよ?エルハド。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

処理中です...