最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

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第二章

ティファは昔を思い出す

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「なんだティファ。また来たのか?お前も懲りないなぁ?」

「族長わたしもいっしょにいきます!」

「はは!お前は本当にお転婆だなぁ?よし、じゃあ今日は獲物の捌き方を教えてやろう」

妹が出来てから、お父さんもお母さんも、とても怒りっぽくなりました。私が妹に触ると怪我するので、とても嫌だったみたいです。私、本当に力加減が下手な子供でした。

でも、族長はとても強くて丈夫な人だったので目一杯手を握っても全然へっちゃらです!それに獣の追い方、狩のノウハウ、あと敵との闘い方を教えてもらいました。

「テゼールは何故あの子の才能を認めてやらないんだろうねぇ?」

「アイツは頑固だからな。それに恐らくティファはアイツに似過ぎている。見ていると辛いんだろう」

一度族長と奥さんが話しているところを聞いてしまって、それがどういう事なのか、その時はよく分からなかったんですけど、もう私も大人なので何となく理解しています。

「族長!!族長起きてください!!」

「おい、ガキがいるぞ?しかも女だ。ついてるなぁ?コイツは高く売れそうだ!」

「ティファ・・・・逃げ、ろ」

人の体がどうなっていて何処を攻撃すれば壊れるのか私よく知ってます。いつからですかね?でも、実際人で試した事は無かったんです。あ・の・日まで。

「・・・・・ティファ」

気付いたら盗賊は皆死んじゃってました。
初めてだから手加減出来なかったんです。でも、この人達だって私達を殺そうとしたんだからおあいこですよね?

だからそんな顔で私を見ないでください。

「人殺し」

まぁ私も血塗れでしたからね。
でも村の人にそんな風に言われたのは心外でした。

もうその頃からカスバール全体に自然災害や魔物の被害が広がっていて食料もとても高くて暮らすのも結構大変だったので私この時、村を出ようと決意しました。

それに族長も旅に出て行ってしまって、私一人になってしまいましたし。ん?おかしいですね?厳密に言えば一人ではないんですが。

「ティファ。どんな生き物にも弱点が必ずある。それを見極める目を持て。そして、どんな窮地でも冷静であれ。お前は、そうでなければならない。なぜかわかるか?」

「なんでですか?」

「お前は強すぎるんだ。お前が我を失って誰かを攻撃したら相手はすぐに壊れてしまう。だから、お前は常に冷静でいるんだ。それが出来ないなら戦っては駄目だ」

「壊しちゃ駄目なんですか?」

「・・・・・・生きる為以外に命を奪ってはいけない。お前は狩人より、料理人になったらどうだ?」

「でも、お父さんもお母さんも薬師になれって。それ以外は駄目だって言ってますよ?」

でも私、何故かそちらの才能皆無でした。
妹は子供の頃から薬に魔力を付与出来たのに、私は一切出来ませんし、まともな薬が出来た事ないです。出来ても強烈な睡眠薬ぐらいです。解せませんね?

「お前の両親は頑なで困るなぁ?メリルがいるんだからティファには好きな事をさせてやればいいものを・・・」

そうなんですよ。
なんでですかね?メリルがいるんだから私まで薬師にならならなくても良いですよね?それに、私に薬師の才能がないのってやっぱり・・・・・。

「ティファ?そんな荷物持って何処に行く?」

「私ここを出て行きます!この前兵士に志願して合格したんです」

「お前はまた、突拍子のない。今度は、なんの悪ふざけだ」

「ここにいても私薬も作れませんし生活が圧迫されてしまいます。兵士になればお給料ももらえるし食事も出ますから!」

「はぁ、そうか。もう、勝手にしろ。お前には何を言っても無駄だからな」

「はい!長い間お世話になりました!さようなら!」

兵士になって沢山お金を稼いで、いつか自分のお店を持ちます。お腹を空かせている人に沢山食べてもらって満足させてあげたいです!!グフフ!族長もいつか・・・・。

「ティファ、生き残って幸せになれ。今は一人でも、生きていれば、ありのままのお前を受け入れてくれる人に、きっと出会える」

「ぞくちょお?」

「それまで、諦めるな。いいな?俺がいなくなっても、お前は生き続けろ。約束だぞ?」


はい。いつかまた、会えますよね?
でも、たまーにとても会いたくてしょうがなくなる時がありました。そんな日はあまりいい気分じゃなかったので、ベロニカをしごいて気を紛らわしていました。
エヘ?あの子は素直で良い子です!

そういえばサウジスカルに来てからは族長の事、前ほど思い出して変な気分にならなくなりましたよ?

こちらは毎日忙しくて刺激的な毎日です。
それに、皆んないつも楽しそうに過ごしていて、私も嬉しいです!こちらに来てから私ちゃんと大人しくしてます!偉い子です!だから褒めて欲しいです。族長。

頭を撫でて「偉いぞティファ」って。

「ティファ?」

「・・・・ぞくちょお?」

あれ?族長がいる?おかしいですね?こんな所に居るはずないのに。

「大丈夫か?回復魔法はかけてもらったけどよ?かなりダメージが残ってるらしいから、絶対安静だ」

「ぞくちょお。わたし、がんばりました。だから、ほめて・・・」

ちょっと失敗もしちゃったけど、生き残りましたよ?
褒めて褒めて!!

「だっこして、ナデナデしてください」

「・・・・・・・・」

ん?族長?なんで?いつもなら褒めてくれるのに。

「ふぇ・・・」

「よ、よしよし!偉い!偉いぞティファ?よくやった!」

やっと撫でてくれました。そうですよ。私ずっと良い子でした!ムフフ!

「はやく、ぞくちょうにあいたいです、いつになったら、あいに、いけます?」

あ、せっかく会えたのに。また、意識が・・・グルグル。
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